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【モンキー】49ccのままで125km/h!! 驚速エンジンの”秘密のレシピ”を教えます

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【モンキー】49ccのままで125km/h!!  驚速エンジンの”秘密のレシピ”を教えます

数あるモンキーカスタムの中でもノーマル排気量でのチューニングはとくにディープ。そんな世界で名を馳せる凄腕プライベーターが、49cc&8インチベースの車両で125km/hの最高速を叩き出した!そのキモとなった心臓部(エンジン)を大公開。【月刊モトチャンプ2018年10月号より】PHOTO●小林克好REPORT●モルツ

4スト50ccレース用がベース

【ホンダCLICK 150i試乗】2種スク相当の軽量ボディにPCX150のエンジンを積載!だからメチャ速い!

最高出力7.77psとワイドなトルク特性!

耐久性にも配慮した定番+独自チューン

 モトチャンプ誌でお馴染みのモンキーチューナーから、49ccで最高速125km/hをマークしたという情報が届いた。取材班は早速、彼のガレージへ赴き詳しい話を聞くことに。この記録を達成したのは、8月16日に富士スピードウェイで行われたマックスゾーン第2戦でのこと。「当日は追い風だったのでたまたまです」と謙遜しつつもこれは公式記録であり、この速度をハイスピードに不利な8インチ仕様で成し遂げている点も見逃せないところだ。

 並木さんは、2万rpm近くまで回る超高回転型エンジンを開発するなど“そこまでやるか!”という過激チューンで知られるが、今回はノーマル排気量でのトピック。「4スト50レースが転機でした。それまではストリート前提でのカスタムが主でしたが、ロスを徹底的に排除して少ないパワーを絞り出す面白さに気づかされました」と、まさにチューナー冥利に尽きる課題だったのだ。

 その結果、完成したのが最高出力7.77㎰を叩き出すエンジンである。ピーク回転数は1万3500rpmを狙ったが、結果的には1万1500~2000rpmに落ち着いた。パワーこそ正義とまでは言わないが、あればレースでも有利なのは間違いないし、最高速アタックに限って言えばパワーグラフの数値からおおよその結果が見通せるのも事実。
 パワーアップとトレードオフになる耐久性についても熟考されており『2時間走りきれない改造はしない』をモットーに、クランクやコンラッドなど耐久性に難が生じる箇所には一切手を付けていない。並木さんは「一瞬の計測だけなら8㎰超えも可能だと思いますが、普段使いとサーキットを両立できなければ成功とは言えないと思っています」という信念を持ってマシンを作っている。

 さて、今回の記録達成は、懇意にしているカスタムショップBREの長谷川社長&店長などお仲間の助力、そして幾度もの試行錯誤があって実現した。その証拠に、最近は週に1回、多い時では3回も同店に訪れて情報交換をしつつシャシダイでのパワーチェックを行なっており、並木さんのガレージにはストック部品とそれ以上の失敗作がごっそり保管されている(バルブスプリングだけでも100個以上)!それだけ49ccでのチューニングは難しいのだ。「124ccクラスならポート加工を多少失敗しても排気を絞ったり、バルブタイミングでごまかすこともできますが、49ccではそれがまったく通用せず、一つ間違うとパワーが出ません。また、会心の出来栄えのピストンを別のシリンダーに入れ替えたら、なぜか0.5㎰以上も落ちるなんてことも日常茶飯事で、部品同士のマッチングもシビアです。ようやく方向性が見えた段階で、まだまだ完成には程遠いです」と並木さん。49ccモンキーはどこまで速くなるのか。その可能性に魅せられた男の野望はまだまだ尽きない。

ピストン:最大のキモは“混合気のセンター寄せ”!

キタコ製モンキーFI用ハイコンプピストンのスキッシュ部分を大胆に削って中央部に厚みを持たせている。これによって混合気を中央に集め、バルブを奥に追いやることで圧縮低下を防ぎ、無駄なく燃焼させることに成功。この山(クラウン)の角度や形状でピークパワーは大きく変化するという(※写真は試作品。左は比較用のキタコ製12V用ハイコンプ)。さらに、スリット加工を施して潤滑効果を高め焼き付きを防止。

シリンダーヘッド:ポート形状に秘密あり!?

モトラ用のハイカムを使用するため、シリンダーヘッドも同車種用をチョイス。燃焼室はバルブの作用角に対して追い込み加工を施したうえ、0.5mmほど面研磨することで圧縮を維持。各ポート加工については秘密だが、入口付近には手を加えず、内側にだけ独自の処理を施している。なお未計測だが、圧縮比13.5は出ているとのこと。

シリンダー:冷却効率を高めるジェット加工

シリンダーは12Vモンキー純正。これにドリルで1.2mmの穴を貫通させ、ピストンの裏側にオイルを直接散布して冷却効果を高めるオイルジェット加工を施している。ピストンが高温になるチューンエンジンや耐久レースなどではトラブルを未然に防ぐためメジャーな手法であり、「レースの際、焼き付いてもここからオイルが潤滑するので、一時的にでも持ちこたえられるようにしました。これには何度か助けられていますね!」と並木さん。

プラグ:ロングリーチ+スペーサー

NGKレーシングプラグロングリーチ(9番)を使用。これにワンオフのアダプターを追加し、この高さによって任意に点火時期を遅角させることも。今回の仕様では、デイトナ製CDIで点火時期を35度に設定し、プラグアダプターで-2度(33度)に変更。

カムシャフト:カムプロファイルでチョイス

ハイカムシャフトはSP武川製のモトラ用(写真右)を使う。モンキー用とはベアリングの支持部の形状が大きく異なるのが特徴。カムはサージングに大きく影響するため、このハイカムのカムプロファイルが、自身が目指す耐久性とパワーアップを両立したエンジン特性に合致していたので採用した。

SP武川製のモトラ用ハイカムはリフト量がIN5.0mm/EX5.9mm、バルブ作用角はIN226度/EX236度の設計。リフトカーブはなだらかに大きく、バルブが開いている時間が長いためオーバーラップに優れる。

バルブ:モトラ純正は改造に最適!?

バルブもモトラ純正でこちらはモンキーRと同じ。モンキー純正品よりも吸気、排気バルブともに1mm大きく改造ベースに適している。ウエスト加工して5mmから4mmにスリム化し、流入抵抗を低減。なおバルブフェイス角は45度のまま変更なし。

ロッカーアーム:6V用で耐久性を重視

高回転を狙うならロッカーアームは軽量化がセオリーだが、あえてカムとの接触面が大きい6V系の純正品(写真右)を使用する。面圧を軽減することでカム山の摩耗を抑える耐久性重視のセレクトだ。これを12Vモンキー純正と同等程度(約36g)まで削り、アジャストスクリューをチタンナットで組み付けてスムーズに回るように仕上げている。

バルブスプリング:スペーサーで張力をコントロール

社外、純正問わず状況に適した様々なバルブスプリングを使用し、今回は荷重24kgのものを装着。ポイントはスプリングのセット長を任意に変更できるように、何通りもの高さのスペーサーを自作していること。エンジンによって入れ替え、適正なテンションが掛けられるようにしている。リテーナーは軽量化し、高回転域での追従性をアップする。

クランクシャフト:ウエストバランスを大きく改善

CD50系のクランクシャフトを流用し、ウエイト部を削っている。回転に片寄りのあるウエイトバランスを見直し、軽やかに回るフルカウンタータイプの特性にアレンジ。なおバランス率は極秘とのこと。これに伴い、オイルポンプはシフトアップ製の大容量タイプに変更し、ケース側のオリフィスを1.5mmに拡大してオイル流量を増大している。

キャブレター:呼気ロスを最大限防ぐ!

キャブレターはセッティングが出しやすいとのことからCR-mini(φ22)を組む。マニホールドには、キャブの段付きに合わせたスリーブ付きのスペーサーを追加してシリンダーヘッド間のガタ付きを防ぎ、吸気漏れを極力なくしている。

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