■続々と頭角を表し始めた次世代ラリーストたち
実質第2戦として佐賀県で開催された全日本ラリー選手権(JRC)第3戦「ツール・ド・九州 2021 in唐津」。ついこの前唐津に来た気がしたのだけど、それもそのはず。20年11月末の最終戦が唐津だったのでした。
●ラリー直前に仕上がった奴田原・東組のGRヤリス
【画像ギャラリー】JRCの2021年シーズンを彩る、ラリーカーたち
昨年から海外に行けず、今年もまだ行ける目処が立たないこともあり、久々に春の唐津を取材しているのだけど、イキのいい若手の台頭が目立ちます。例えば今回JN3クラスで優勝した大竹直生選手はまだ20歳。奴田原文雄選手が主宰するヌタハララリースクールで直々の手ほどきを受け、頭角を表してきた選手。走りを見ていても20歳とは思えない落ち着いた走りで、しかも速い! ボクが20歳の頃なんて。。。二輪の世界選手権じゃ10代の選手が当たり前のように活躍しているので、大竹選手にも早く世界の舞台へ飛び出して欲しいなあ。
●JN3優勝の大竹・藤田組とトヨタ86
その大竹選手の師匠である奴田原選手は、この唐津から自らのチームを率いてアドバンカラーのGRヤリスでJN1クラスに参戦を開始しました。コ・ドライバーには今年から東駿吾選手を起用。23歳の東選手もまたヌタハララリースクールの出身で、親子ほどの年齢差コンビの誕生です。東選手も年齢に似合わず落ち着いた振る舞い。ヤリスでの初参戦にも関わらず、2台のシュコダ ファビアR5を抑えてLEG1を首位で折り返し、周囲を驚かせました。
●全日本トップカテゴリー初参戦とは思えないほど落ち着いていた東
■世界基準のラリーマシン“R5”がJRC初勝利!
前戦の新城でも注目を浴びた2台のファビアR5は、福永・齊田組が2位、柳澤・保井組が4位でそれぞれLEG1を終えました。そして、迎えたLEG2。朝から好調の福永・齊田組が奴田原・東組を抜いて首位に浮上。柳澤・保井組も最終ステージで奴田原・東組を抜いて2位に入り、ファビアのワンツーフィニッシュを達成しました。福永・齊田組はJRCにおけるR5マシンでの記念すべき初勝利です!
●R5マシンのJRC初勝利は福永・齊田組のファビアR5
いろいろと制約があるので台数は簡単には増えないと思うけど、仮ナンバーで走れるようになったことでガラパゴスな日本のラリー規定にようやく風穴がほんの少しだけ開いた気がします。日本で走ってるラリー車両は、そのままでは世界選手権やヨーロッパ選手権には出られないし、逆もしかり。ちなみに、随分前にR3T規定の某マシンをJRCに導入するきっかけを作ったのはボクです。ようやくR5が走れるようになったかあ、と感慨深いです。仮ナンバーは見た目がダサいから個人的にはキライだけど。
■意外とちゃんとラリーカーの走り
それと今回、JN3クラスに異色のマシンが2台参戦しました。なんとハイエース! 2Lエンジンの後輪駆動ってことで、トヨタ 86などと同じこのクラスになります。昨年、ハイエースがJAF登録されたのを知って、何に使うねん? と思ったらまさかのラリーです。
転がったらどうやって起こすの? とか正面から突っ込んだら、とかいろいろ頭のなかを巡るけど、意外や意外、走ってる姿はちゃんとラリー車してました。昔、ラリージャパンが開催されたとき、十勝の林道をオフィシャルのハイエースがスゴいペースで下って来るのを見て、思わず撮影したことがあったけど、まさか競技車両になって参戦するとは驚きでした。
●意外にもちゃんとラリーしていたハイエース。伸び代が大きい分、今後の活躍に期待、していいのかなあ(笑)
ハイエースは2台エントリーし、1台が無事に完走。もう1台は最終日にパワステトラブルが出てリタイアしてしまいました。運営しているのはハイエース用の市販パーツを手がけるチームですが、これからJRCの舞台でいろいろと試しながら、そのノウハウは市販車用部品の開発に生かされるようです。
昨シーズンまでの、WRXとランサーの一騎打ちとはガラッと顔ぶれが変わった、2021年のJRC。多彩なマシンが見せる迫力の走りがボクたちメディアだけではなく、一般のギャラリーも早く見られるよう、コロナ禍が一刻も早く終息してくれることを願うばかりです。
<文と写真=山本佳吾>
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