フルモデルチェンジしたルノーのコンパクトSUV「キャプチャー」に小川フミオが試乗した。
欧州で大人気のキャプチャー
ハッチバックではもの足りないひとに向けて開発され、欧州で大ヒットしたのがルノー「キャプチャ-」だ。やや背の高いスタイリングと取りまわしのしやすいサイズ、そして意外なほど余裕ある室内空間で人気を集めたという。
日本メーカーが手がけるハッチバックは激減したいっぽう、欧州ではその実用性の高さゆえ、いまも市場規模は大きい。もちろん日本でも、ハッチバックで育ったひとたちは多く、その利便性や軽快なルックスのアピール度は高い。
キャプチャーは2013年に初代(先代)が発表されて、すぐ大ヒット。ハッチバックのパイオニア的存在のルノーだけに、奇をてらったところはなく、スタイリングは”まっとう”だった。べつの言い方をすれば、真正面からいいクルマづくりに挑んで成功したのだ。
2020年の欧州のハッチバック市場では、首位のフォルクスワーゲン「ゴルフ」に僅差でルノー「ルーテシア」が迫り、キャプチャーも6位につけている。
あたらしいキャプチャーは、全方位的によく出来ている。結論的にいうと、“使いやすい欧州製コンパクトカーが好きなら乗ってみてほしい”と、勧めたいモデルだ。
コーナリングは得意種目
新型ルーテシアと共用するルノー日産アライアンスの「CMF-B」プラットフォームに、やはりルーテシアと共通の1.3リッター直列4気筒ガソリンターボ・エンジン搭載の前輪駆動と、ドライブトレインも基本的におなじだ。
ルーテシアも走りがたのしいクルマである。キャプチャーは、さらにみがきがかかっている感があった。基本的におなじユニットながら、最高出力は113kW(154ps)でルーテシアにプラス7kW(23ps)、最大トルクは270Nm(同プラス30Nm)になる。
ルーテシアに比べ、車両重量は110kg 増し、ボディが155mm伸びて車高が120mm上がったぶん、パワーアップされた。そのため、性能的にはルーテシアと遜色ない。それどころか、体感的にはおおきなちがいが感じられるほどだ。
ルーテシアではエンジン回転が2500rpmより上でもりもりとトルクが出てきて、いっきに活発な走りが味わえる。いっぽう、キャプチャーのトルクの出かたはフラットで、発進から高速にいたるまで、力が足りないと思う場面がない。
ゆっくり踏んでいっても、高速での中間加速でも、もたつく場面は皆無だった。かつ、押し返してくるような感触のアクセルペダルを通しての微妙な踏みかげんにもきちんと反応する。クルマと会話するような加速感が気持ちよくて、運転に飽きなかった。
操舵力はやや重めで、かつステアリングのギア比は、ルーテシアよりも低められて(つまりクイックになって)いる。足まわりはやや硬め。それゆえ、コーナリングは得意種目だ。ボディのロールは少なめで、ひらりひらりとコーナーをこなす。日常的にアルプスごえとかする欧州人のためのクルマなのだなぁと実感した。
高速では期待以上に静粛性が高い。風切り音もロードノイズもエンジンのメカニカルノイズも排気音も、うまくひとつに丸めて、乗員の気にさわらないような音質にしている。そこもうまいなぁ、と、感心した。
クオリティの高い内装
2640mmに達するクラストップレベルをうたうロングホイールベースの恩恵もあって、リアシートはレッグルームもヘッドルームもおとなふたりに十分な空間だ。新型では、後席に2人で座るばあい、ふたりの間隔がプラス4cmも広くなっている。荷室の広さもクラストップとのこと。
運転支援システムも、ドイツや日本のライバルと遜色ない。ACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)は迅速かつ正確だし、上級グレードでは車線中央維持支援システムとも連動出来る。
内装のクオリティも高い。液晶ディスプレイで呼び出すコマンドにくわえて、使用頻度が高いものは物理的スイッチが割り振られているので、たいへん扱いやすかった。
エンジン・アイドリング時のオートストップ機構の解除も、センターダッシュボードのスイッチで操作する。私はこの機構を好まないので、手をすっと伸ばしたところに設けられているスイッチゆえ、簡単にオフにできてありがたかった。
インフォテインメントシステムは、Apple CarPlayやAndroid Autoも使える。ナビゲーションシステムは現時点で用意がない。ただしルノー・ユーザーのナビゲーション装着率は約4割だそう。マジョリティは、車載モニターにミラーリングさせたスマートフォンのアプリを使っている。コストでも地図の更新頻度でも、合理的な選択だからだろう。
グレードは2種類
ラインナップは、ふたつのグレードで構成される。「インテンス」(299万円)と、今回試乗した「インテンステックパック」(319万円)だ。
1.3リッターエンジンにデュアルクラッチタイプの7AT、前輪駆動という基本はおなじだ。どちらのモデルも装備は豊富で、後者はさらに、操舵支援機構や運転席電動シート、レザーシート、スマートフォンワイアレスチャージャーが備わる。
ボディカラーは、ルーフとボディが2トーンの塗り分けになる。同色はない。キャビンはすべてのピラーがブラックアウトされている、いわゆるフローティングルーフだ。
サイドウィンドウ下のベルトラインは、日産「リーフ」や「ノート」を連想させるリアクオーターウィンドウのところでキックアップするデザイン。そこにクロームのトリムがはめこんであり、キャビンの存在感が薄められて、ゴンドラのようだ。
基本的に内装はブラック。これはすこし硬い。
唯一「インテンス」に設けられた「オランジュアタカマ」というダークなオレンジの外板色にのみ、ブラックとオレンジのコンビネーションを使った内装と、やはり同種のカラースキームによるファブリックシートが用意される。
個人的にはこれがいちばん好みだ。
どうせだったら楽しい雰囲気がいいではないか。
文・小川フミオ 写真・安井宏充(Weekend.)
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