渡辺学は、今シーズンに対しての意気込みが例年を遙かに凌いでいた。ほぼ年間の全戦を手中に納めながらも、勝利に対してのモチベーションを、高めてきていた近年の姿勢は、そもそも賞賛に値すべきものだけど、そこからさらに踏み込んだ意識があった。
マシンはあえてクロスカントリー向けをハズして、モトクロッサーのYZ450F。現代における、ヤマハの旗艦は決して生やさしいバイクではないが、これを乗りこなせなければ自分はうまくなれないと考えたようだった。昨年のISDEで肌で感じた、世界との距離を少しでも縮めたいという思いもあったろう。チームジャパン内で、ゴールドを期待されながらも届かなかったことに、憤りも感じたかもしれない。ともかく、渡辺学の2020年は例年に増して気合いに満ちあふれている。
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たとえば、このバーパッドに仕込まれた液晶をみてもらいたい。これは、FIならではのガソリン使用量を計測する機能を使って、どれだけガソリンを使ったか正確に計ろうというものだ。給油回数、あるいはタイミングを自由自在に操ることができれば、ライバルに対して大きなアドバンテージを持つことが出来る。
対して、ライバル達はYZ250Xを揃えた。日本のクロスカントリーでは、なかなか4スト450ccのアドバンテージを活かしづらく、特にヤマハ勢では最大排気量のYZ450FXを差し置いて、2ストロークが好まれる傾向にある。この傾向は、現在トップクラスで巨大な力を持っているBeta勢も同じだ。特に世界GPに傾倒するBetaは、4ストロークよりも断然2ストロークのシェアが高い。かつては、エンデューロも4ストロークに置き換えられたが、現代では北米GNCCを除いて2ストロークが非常に大きな力を持っている。
会場、プラザ阪下はひどい雨に見舞われた。サンド質の泥が、マシンを消耗することを、ベテラン達は知っている。雨のプラザ阪下で、決してノンシールチェーンを使ってはいけない、切れてしまうから…と言われるほど雨の阪下は過酷だ。
2020年3月8日
大阪府プラザ阪下
JNCC Rd1 サザンハリケーン
馬場大貴、田中教世らモトクロス組が序盤猛ダッシュ
オープニングラップは、YZ250Xに乗る鈴木健二と馬場大貴が飛び出した。スタートにおけるエンジンのかかりやすさや、瞬発力が活きた形だ。対して渡辺学がエンジンかかりづらく出遅れてしまう。そこからの追い上げがいつもであれば効くはずだが、渡辺の1周目は7番手。長丁場といえどクロスカントリーで序盤にリードを拡大されるのは、苦戦を強いられる。2周目、類を見ないラップタイム9分5秒を渡辺はマーク、4番手まで順位を上げる。馬場は、鈴木を2周目にパスしてトップに立つ活躍。やはり9分13秒と、こちらも序盤のダッシュが効いた形だ。
面白いのは、川上龍司モトクロスで3階級特進、現在IAを走る若手のライダーがスポット参戦しているのだが、1周目4位のあとミスが目立って10分台を連発、しかし大きく順位を落とさず淡々と上位を狙う形。
3周目、馬場が大きく順位を落とすと、鈴木に食らいついたのは田中教世。エンデューロ的なセクションは苦手という田中も、さすがレジェンドモトクロスライダー、あっというまにログセクションを攻略。9分前半のタイムを刻み、3周目には馬場に変わってトップへ。鈴木健二とのバトルになった。鈴木が持ち前の強さでトップを切るが、中盤にはピットインのタイミングで田中に切り替えされるシーンも。
だが、田中はまさかのガス欠でリタイアしてしまう。
残る強豪、タイトルホルダーの渡辺は、3番手で苦戦していた。「久々に450でレースに出ました。思った以上に、ガソリンの減りが早い。1時間30分はもつと思って10Lのビッグタンクをつけてきたのに、あっという間に給油タイミングになってしまう。それに、エンジンのかかりづらさに、ちょっと手間取ってしまった。もうちょっと、次戦ではしっかり作りこんできたいなと思いました。クロスカントリーでは、エンジンがかかりやすいモードに切り替えるマッピングスイッチがあっても、いいかもしれない」と渡辺はレース後に語る。
鈴木は、後半の10周~17周を単独トップで走りきり、みごとに数年ぶりの優勝を遂げた。「スタートからうまくいきました。寒かったんで、最初はカッパ着て、手袋まで暖かいやつにして…中盤でようやく脱げましたね。久々の2ストだったんですが、サスペンションは125のままで何もあわせてなくて、柔らかすぎました(笑)。今日は楽しかったですねぇ、自分も余裕があったし、ライディングを楽しめましたよ」とのこと。
寄る年波には敵わないことを、モトクロス経験のあるライダー達は知っている。1971年生まれの鈴木はとうにアスリートとしてのピークを過ぎていて、それでも成績を落とすまいとしてきた。さらに今年は、例年よりもトレーニングをして体を作ってシーズンに臨んでいる。バイクも万全ではないと言うものの「前の日に、メインジェットを絞りました。元々、HGSの排気系にあわせたセッティングデータは持っているので…」と。ベースとなる実力が、単純に高いのだ。
コロナウイルスに負けず…
今大会は、全日本モトクロスや、トライアルなどのレースが続けて延期・中止表明をしていくなかで、開催に踏み切った。開幕を切れず、いまだくすぶる競技も多い中で、表彰式のスキップやスタッフのウイルス感染対策など、万全の保護対策をした上でJNCCは2020年も幕を開けた。まだ、その評価は定まらないが、経済的・文化的観点から英断であったと言われる日が来るだろう。
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