AP1のピーキーな特性を抑え込むスプーン流チューニングに迫る
ドライバーの不安解消は速さに直結する!
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S2000は、コーナリングマシンであると同時に挙動がピーキーだと言われている。その動きは初期型が顕著で、ノーマルにして「乗り手を選ぶクルマ」と恐れられたほどだ。ホンダ車チューンの老舗“スプーン”では、そんな特性の原因がバンプステア量の大きさに起因するものだと分析し、時間をかけて対策を確立させたのだ。
バンプステアというのは、タイヤが上下動した際のトー変化で、決してそれ自体が悪いというわけではないが、S2000ではその量が大きすぎてコーナリング時に特性が大幅に変化してしまうのだ。そこで、スプーンではバンプステアを抑えるために独自のゼロバンプステアキットを開発。
これは、ステアリングラックの取り付け位置を上げてタイロッド角を矯正し、トーの変化量を抑え込むというもの。当然ながらローダウン時にも有効なパーツだ。リヤ用も開発され、そちらはボールジョイント型のロールセンターアジャスター(ロアアームの取り付け位置を下げるパーツ)となる。
車高調は、全長調整式のダンパーキットを装備。この足は、車高を変化させても乗り心地が悪化しないことが最大の特徴だ。スプリングのゼロタッチ領域はそのままに、車高だけを変化させる事が可能なので、ダンパー本来の「減衰特性」のセッティングができる。また、ハイレートのスプリングでも十分な性能を発揮するよう、ダンパー油性向上など様々な開発テストを経て誕生した自信作とのこと。
また、ローダウンによってネガティブキャンバーが付いた状態でも、アームを水平に保てるようにしたオフセットボールジョイントもピーキーな特性を消すのにひと役買っている。
心臓部は、ボア87φ×ストローク90.7mmで排気量を2156ccまで高めたスプーンのコンプリートユニットを搭載。圧縮比は11.8に設定される。特別なパーツは使っていないが、重量公差0.02gに合わせ、量産をはるかに上回る精度で熟練メカニックが組み上げたエンジンは、ノーマルとは比べ物にならないほどスムーズな吹け上がりを見せる。
AP1純正の液封エンジンマウントは振動が大きい。そこで、それを改善するために開発したのが、このエンジンマウントトルクキャンセルダンパー。ボルトオン装着できるのもポイントだ。
コクピットまわりで交換しているのは、ステアリングとシフトノブのみ。デモカーでありながら、基本的な部分は、ユーザーに一番近い状態でテストしているのだ。
スプーンのオリジナルパーツは、どれも『単なる足し算ではなく素性の良さを見極めた上で、ドライバーが笑顔になる性能』というコンセプトに基づいて開発されている。そしてそれは、突き詰めると速さに直結するのだ。
●取材協力:スプーン 東京都杉並区荻窪5-2-8 TEL : 0120-112-095
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