■納車前でもパーツが売れる理由とは?
2018年7月に発売されたスズキの4代目「ジムニー」。2020年2月現在でも、多くの納車待ちを抱えているといいます。そんななか、ジムニーのカスタム業界では、多種多様なカスタムモデルが登場しているほか、実用向けなパーツも多くの車両が納車前にも関わらず人気を博しているといいます。いったいなぜなのでしょうか。
【画像】ジムニー乗りではなくても欲しい! 実用アイテムやカスタムを見る!(31枚)
ジムニー向け便利アイテムとして販売されているのは、星光産業の「EXEAジムニー用アイテム」です。いわゆる自動車パーツ量販店などで販売されている商品で、全9アイテムのラインナップがあります。
商品をチェックしてみると、アシストグリップに装着するスマホホルダーや、同じくアシストグリップの隙間に付ける小物入れ、さらには窓開閉スイッチのエクステンション、リアデフォッガーの配線を保護するカバー、インパネに装着するUSBソケットなど、さまざまなアイテムが設定されていました。
同社は、トヨタ「アクア」や「ノア/ヴォクシー」でも専用品を発売していますが、9点というアイテム数は異例だといいます。開発・企画の経緯について、担当した中島淳氏は次のように説明します。
「発売直後からジムニー専用商品を作ってみたらどうかという話になりまして、一度、会社でレンタカーのジムニーを借りてみました。
すると、性能を特化させた分だけ不便なところもあることが分かりました。弊社はフレキシブルで自由な社風があるため、これはビジネスとしてはおもしろいのではないかと話になったのです」
その後、社内でアイデアを募ったところ、40点ほどの企画が集まり、結果的に9点を商品化することになったといいます。
しかし、ジムニーといえば納車までの時間が長いことでも知られるクルマです。カスタム業界では、そのバックオーダー期間までの長さゆえに、苦戦しているアフターパーツメーカーも少なくありません。そのような車種の専用品を出すことに不安は感じなかったのでしょうか。
それについて中島さんは、次のように語ります。
「バックオーダーの多さについては、社内でも話題になりました。実際は生産台数が少ないだけで、それほど売れていないのではないかと。数を見てみると、たしかにアクアや日産『ノート』などと比較すると少ないですが、それは気にならなかったほどです」
※ ※ ※
なぜ、販売台数はビジネスに影響がないと判断したのでしょうか。それはジムニーという車種ゆえの事情があります。
一般的な車種は3年くらいで内外装が大きく変更されるため、商品も6年くらい経つと変更を余儀なくされるといいます。
しかし、ジムニーはモデルサイクルが非常に長いクルマで、中古車市場の流通などを考えても、10年は同じアイテムで勝負できるようです。
つまり、いま爆発的なヒットを記録しなくても、ジムニー用アイテムは息の長いビジネスが期待できるといえます。
■納車前から人気なジムニー用アイテムとは?
実際、ジムニー用アイテムの売り上げを尋ねたところ、意外な答えが返ってきました。
「おかげさまで、納車待ちのお客さまからも多く購入頂いています。納車されたら、すぐに付けますということのようです。東京オートサロン2020でも、そういったお客さまに買っていだけて、我々も驚きです」
ちなみに、現在のヒット商品は、ドアグリップを小物入れとして使えるようにできる「ドアグリップポケットベース」と、剥き出しの配線をカバーする「リアデフォッガーカバー」。どちらも初期ロットは完売となり、再生産するほどの売れ行きだといいます。
元々、ジムニーの業界はアフターパーツが売れることで知られていますが、こうした“便利グッズ”がヒットするのは異例ともいえます。
その理由は一体なぜなのでしょうか。中島氏は次のように話します。
「ジムニーは新しいモデルになってから、そのカタチの良さゆえに、これまでクロスカントリー4WDに興味が無かった人たちが多く購入しているといいます。
そのような人の多くは、これまで最初からさまざまな便利機能、快適機能が付いているようなクルマを選んでいる人が多かったようです。
ところが、ジムニーはまったく違うため、そういうクルマから乗り替えたユーザーさんは、もっとああしたい、こうしたいという欲求が高いようです」
※ ※ ※
こうした商品に対して、ジムニーパーツ業界からも賞賛の声があるようです。あるカスタムショップの関係者は「いわゆる小物系といわれるパーツは、やはり専門メーカーではないと、なかなか製造するのが大変です。星光産業さんの商品は、じつにうまい所を突いたニッチな商品。我々プロでも欲しいと思わせるアイテムがかなりあります」と話します。
ちなみに、ジムニー専用をうたう自動車用品は、競合他社からも発売されており、この市場はますます成長しそうです。
カスタムパーツ市場でも、多くの商品が出ているジムニー。車両のデリバリーが加速すれば、アフターパーツ市場はさらに成長が見込めるのではないでしょうか。
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