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【超名門車 51年の歴史に幕】「ありがとうマークX」生産終了までの軌跡と後継車の行方

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【超名門車 51年の歴史に幕】「ありがとうマークX」生産終了までの軌跡と後継車の行方

 かつては、マークII/チェイサー/クレスタの三兄弟でハイソカーブームを牽引し、1980年代後半には3台合わせて月販4万台以上を販売するという快進撃を続けた。

 しかし時代は移り変わり、後継車のマークXへとバトンタッチしてから徐々に人気は下降。俳優の佐藤浩市さん演じる「部長」のCMが話題となるなどしたが、ついにその歴史に幕を下ろすこととなった。

【生産終了したエスティマがまさかの復活!?】燃料電池車とHVで2021年登場の可能性を追う!!

 2019年12月23日、愛知県のトヨタ元町工場にある走行センター(ふだんはスープラを日本仕様にするための最終調整をしている場所)にて、マークX生産終了イベントが開催されたので報告しよう。

文・写真/吉川賢一
初出/ベストカー2020年2月10日号

【画像ギャラリー】その名を歴史に刻んだ名車、歴代マークII&マークXの系譜をプレイバック!!

■笑いと笑顔で包まれた。マークXの最終車生産終了! 最後の1台がラインオフ

 トヨタの元町工場は、1959年8月に製造を開始した伝統のある工場。トヨペットクラウンやコロナ、チェイサー、クレスタ、ソアラ、スープラ、RAV4、プログレ、マジェスタ、レクサス LFA、現在はクラウン、エスティマ、そしてマークII/マークXの生産工場として大切な役割を担っている。

 マークIIは、初代「コロナマークII」(1968年登場)から始まり、5代目に「マークII」(1984年)となったあと、10代目で初代マークX(2004年)となり、そして、現行の2代目マークX(2009年)が最終モデルとなった。このように、51年という長きにわたり作り続けてきたこともあり、元町工場に長年勤務してきた従業員たちにとって、マークII/マークXは、非常に思い入れの深いモデルであるようなのだ。

ラインオフした最終車を囲み「X」のポーズを決める、マークX関係者や元町工場従業員。皆、いい笑顔だ

 イベントには二之夕裕美(にのゆひろよし)工場長を始め、2代目マークXの友原孝之CE(チーフエンジニア)、そのほかマークX関係者や元町工場従業員、総勢150名ほどが集まり、歴代マークシリーズの振り返りや思い出を話し、湿っぽさなど微塵もなく、笑顔で包まれたイベントとなった。


二之夕工場長は「エスティマに続きマークXも生産終了。元町工場も変わらねば」と変革の必要性を感じていた

2代目マークXの友原CEは「レクサスの台頭でマークXは役目を終えました」とその終了理由を語った

■マークII/マークXが残した記録とは?

 マークIIは累計生産台数651万8000台、マークXになってからは累計36万3500台、マークシリーズ合計では51年間で688万1500台、歴代モデルを通して年平均13万5000万台/年という、途轍もなく売れたクルマ。そのうち、この元町工場で生産されたのはその約半分となる349万5248台。

 マークIIの生産がピークだったのは、1989年~1990年の6代目マークIIの時代。その後、1990年代中頃を過ぎると、セダン離れと、ミニバンやRVの人気に火がついたことで、マークIIの販売台数は減少。さらには、レクサスブランドが立ち上がったことで、トヨタのなかでの「トヨタ製セダン」へのプライオリティが徐々に下がっていった。そして2019年、ついにマークXは車種整理の対象となってしまったのだ。


元町工場でのマークII&マークX累計生産台数は349万5248台にものぼった

■マークII/マークXの存在意義とは何だったのか?

 マークIIの誕生は、高度経済成長期の1960年代、会社でバリバリ働き、昇進して経済的に余裕ができるに従い、クルマも、カローラ、コロナ、クラウンと、ちょっとずつ高級車に乗り替えていきたい、というお父さんの「見栄心」から生まれてきた一台。

 クラウンが似合う役職にはまだ遠いけど、中間のコロナよりは上がいい、そうした「中間」の需要に応えるため、コロナに上級車の装備を付けて豪華版とし、コロナの「マークII」として、1968年に初代が登場したのが始まりだった。車名の「MARK」は英語の「Mark(目標、成功、名声)」を、IIは「コロナの第2世代」「コロナの上級車」を意味しているそう。

3代目コロナの上級モデルとして誕生した初代コロナマークII

 その後、1972年に2代目、1976年に3代目、1980年に4代目、といったように、4年に一度、必ずFMC(フルモデルチェンジ)を行い、その都度フレッシュなモデルを提供し続けてきた。

 4年に一度FMCし続けられた、ここにはトヨタのタフさが現われている。最終モデルとなった、初代から数えること12代目の2代目マークXは、マイチェンでフェイスリフトやアップデートも行われつつも、歴代マークシリーズでは最長となる、10年間も同じモデルで売られ続けた。

■今後、マークXの後継車は登場するのか?

 イベントを終えたあと、二之夕工場長、友原CEの談話があった。

「現在、元町工場が担っていた車種のうち、エスティマの生産終了に続き、マークXも生産終了となります。時代の流れについていくため、自動車メーカーとして変わっていかねばならない時が来ています。エスティマは、上級移行となるアルファード/ヴェルファイア、そしてミドルクラスのノア/ヴォクシー/エスクァイア3兄弟へと、バトンを繋ぐことができたため役割を終えました。

 マークXはレクサスの台頭によって、中途半端な立ち位置となってしまったのは事実です。今の時代に即した、新たな1台の生産へ移行したいとトヨタ社員一同が考えています。元町工場は、その時代の需要に即したクルマつくりをこなせるだけのポテンシャルがあります。

 先ほどのイベント中でも冗談話として飛び出しましたが、仮に、マークE(※マークXのEV版を作りたいという工場従業員さんの願い)なるものが出てきても、受け止めることができます。まだその話はないですが」

とのこと。

 結局、「マークXの後継車はあるのか」、その答えは具体的には示されなかった。おそらくそうした計画はまだ、この場にいた誰も知らないのだろう。国内販売をけん引するトヨタだが、販社統合で車種半減し、全車種併売化をするなど、今まさに変わろうとしている。

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