現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 「ジムニー」は本当に人気? 盛り上がるカスタム市場で売上が伸び悩む理由

ここから本文です

「ジムニー」は本当に人気? 盛り上がるカスタム市場で売上が伸び悩む理由

掲載 更新 8
「ジムニー」は本当に人気? 盛り上がるカスタム市場で売上が伸び悩む理由

■流行りのカスタムは、オフロード系SUV?

 33万人以上の来場者を集めた、日本最大級のカスタムカーの祭典「東京オートサロン2020」。会場では個性溢れるクルマが花を咲かせていましたが、2019年に引き続き来場者の注目を集めていたのが、オフロード系SUVのカスタムカーです。

やはり出てきた「ジムニートラック」! スズキが「ジムニーシエラ」ピックアップ仕様を出展!

 スズキ「ジムニー」をはじめとする50台以上のSUVが出展され、未だに納車が追いつかないジムニーへの渇望感もあるとはいえ、その注目度は高まるばかりです。しかし、なぜオフロード系SUVのムーブメントが起こっているのでしょうか。

 今回のオートサロンの会場において、オフロード色の強かった展示のひとつがヨコハマタイヤのブースでした。

 ヨコハマタイヤは「ホビータイヤ」という位置づけで、5ジャンルのタイヤをリリースしていますが、そのひとつがオフロードです。商品力訴求のために、フォード「F-150ラプター」の荷台の上に、福岡のコンドーオートがカスタムしたジムニーを載せるという大胆な展示を実施。

 その展示について、ヨコハマタイヤの広報担当者は次のように説明します。

「あのブースは、オフロードタイヤだけを強調する目的だったわけではないのですが、ジムニーとラプターの展示には反響をいただきました。

 とくにジムニーに履かせたジオランダーX-ATのサイズについての問い合わせを会場で多くいただきました。他社さんもオフロード系の展示が多かった気がしますが、やはりキャンプブームの影響があるのではないでしょうか」

 2019年に日本オートキャンプ協会が発表したデータによれば、2018年のオートキャンプ人口は850万人と推定され、6年連続で増加傾向にあるといいます。

 ピークだった1996年時点の1580万人には到底及びませんが、東日本大震災以降、確実に回復傾向にあります。オートキャンプ人口の増加に伴って、アウトドアグッズ市場も成長傾向にあり、4400億円規模といわれる市場の中心は、やはりライトにアウトドアを楽しむユーザーです。

 昨今は、中高年のソロキャンパーやゆとり世代のキャンパーの増加が注目されており、そのユーザー層に合致しているクルマがSUVです。都内にあるアウトドアショップのスタッフは次のように話します。

「オートキャンプは登山などに比べると技術的な敷居が低いため、これまでアウトドアライフを経験してこなかった層が多く入ってきており、加えてアウトドアファッションからキャンプに入ってくるという人も少なくありません。

 そういうユーザーのファッションアイテムのひとつがSUV。単にフィールドに道具を運ぶという目的だけではなく、アウトドアの香りを周囲にアピールするのに重要なアイテムのひとつなんだと思います。

 最近では、オートキャンプしかしないのにオフロード系のカスタムをしたSUVに乗っている人が多いです」

※ ※ ※

 今回のオートサロンで、ジムニーのカスタムカーを出展していた大阪の「Kブレイク」。元々はVIP系のカスタムパーツメーカーですが、初めてクロスカントリー系SUVのカスタムを手がけています。

 しかも同社が創り上げたジムニーはローダウン系ではなくリフトアップ系です。開発スタッフに話を聞いてみました。

「会場にはメルセデス・ベンツ『Gクラス』を模したジムニーカスタムが多かったのですが、ウチは先々代ジムニーのイメージを出したかったこともあって、オフロードの香りがするような街乗りカスタムにしました。

 オートサロンでは非常に好評でしたし、なかでも女性のお客さまからの反響が多かったのには驚きました。おそらく、キャンプやアウトドアファッションといったムーブメントに支えられてオフロードテイストが受けているのではないでしょうか。

 弊社はこれまでVIP系やワゴン系のカスタムを中心におこなってきましたが、オフロード系に興味を持つお客さまはこれまでと雰囲気が明らかに違っており、ファッションに敏感な人が多いと感じました」

 さらに会場には、いま販売絶好調のトヨタ「RAV4」のカスタムも多く展示されていました。RAV4の生産を担当している豊田自動織機が“救助隊ルック”のコンセプトカーを出展したほか、モータースポーツのイメージの強いTRDもオフロード系カスタムのRAV4を出展しています。

 TRDの関係者によれば、クルマが趣味の目的ではないアウトドア系のユーザーにも、十分にアピールできたのではと手応えを語っていました。

■オフロード系SUVに注目が集まる一方で冷静な意見も

 オートサロンの常連でもあるSUV系パーツメーカーの関係者は、世の中の空気感は明らかに変わってきていると話します。

「SUVカスタムの市場の空気感は、まちがいなくヘビーデューティな香りをクルマ生活に取り入れたいという方向に向かっています。

 ただユーザーは本物感を求めていても、本物を求めているわけではなく、あくまでも“香り”です。新しく市場に入ってきたお客さまはより手軽な商品を求めており、カタチの良さだけでは受け入れてもらえない気がします。販売店で簡単に取り付けられるとか、そのままで車検に通るとかといった手軽さが重要です」

 乗用車系カスタムブランドの多くも、オフロード系SUVのカスタムに新規参入したことで会場は大いに盛り上がりました。

 しかし、一方でオフロード系SUVのカスタムについて冷静な意見もあります。某パーツメーカーの代表は次のように語ります。

「オフロード系SUVカスタムの反響は相当なものですが、オートサロンに来るお客はオフロード系SUVを目的にして来る人は少ない気がします。

 普段あまり見たことがないクルマだから、新鮮味があってウケている感じです。実際、展示しても、ビジネスと反響の大きさとは比例していません。

 もちろんオートサロンというイベントの主旨が、別なカテゴリーにあるということも要因にあると思います。いずれにせよ、実際にライフスタイルの一環としてSUVに乗っている人が、どこまでカスタムに注目しているのかは未知数です」

 今回オートサロンで、注目を集めたオフロード系SUV。取材の過程で聞いた話では、今後のオートサロンでは、SUV系カスタムカーをひとつの会場に集めて、展示を差別化するという計画も出されているといいます。

 近い将来に市場は縮小するのではないか、という見方もあるSUVカテゴリーにおいて、カスタム業界がかつての四駆ブームのような盛り上がりを見せることができるのか、今後の展開に注目です。

こんな記事も読まれています

トヨタが「新型モデル」世界初公開! クロスオーバー&SUV 2台同時に! 25年半ばまでに発売!? 「bZ3C」と「bZ3X」中国で登場
トヨタが「新型モデル」世界初公開! クロスオーバー&SUV 2台同時に! 25年半ばまでに発売!? 「bZ3C」と「bZ3X」中国で登場
くるまのニュース
フォーミュラEの改良型マシン『GEN3 EVO』が初公開。4輪駆動化と超高速充電対応で2025年デビュー
フォーミュラEの改良型マシン『GEN3 EVO』が初公開。4輪駆動化と超高速充電対応で2025年デビュー
AUTOSPORT web
フォルクスワーゲンが次世代大型電動SUV『ID.CODE』を発表
フォルクスワーゲンが次世代大型電動SUV『ID.CODE』を発表
レスポンス
最近、スズキのデザインが尖ってきたワケ「キーワードはGSX-R DNAとプラットフォーム」
最近、スズキのデザインが尖ってきたワケ「キーワードはGSX-R DNAとプラットフォーム」
モーサイ
鉄道はあれど重い荷物にはバスのほうがラクだが……運休!? 空港行きの高速バスで2024年問題を痛感した!
鉄道はあれど重い荷物にはバスのほうがラクだが……運休!? 空港行きの高速バスで2024年問題を痛感した!
WEB CARTOP
全長5m超えのトヨタ「大型バン」登場! 斬新“観音ドア&縦4灯テール”採用!? 特許庁が「新ハイエース」公表、反響は?
全長5m超えのトヨタ「大型バン」登場! 斬新“観音ドア&縦4灯テール”採用!? 特許庁が「新ハイエース」公表、反響は?
くるまのニュース
これ全部ベスパ!? 1万5000台による大パレードが行われたベスパワールドデイズ2024
これ全部ベスパ!? 1万5000台による大パレードが行われたベスパワールドデイズ2024
バイクのニュース
[カーオーディオ 逸品探究]実力ブランド「モレル」の最新ハイエンド機『イレイト カーボン』の魅力に迫る!
[カーオーディオ 逸品探究]実力ブランド「モレル」の最新ハイエンド機『イレイト カーボン』の魅力に迫る!
レスポンス
7代目フォルクスワーゲン パサートは中身の濃い変更が行われていた【10年ひと昔の新車】
7代目フォルクスワーゲン パサートは中身の濃い変更が行われていた【10年ひと昔の新車】
Webモーターマガジン
決算期3月は乗用車全セグメントで前年実績割れ!SUVマーケットはどうなっている?(24年3月の軽自動車を含むSUV車販売登録ランキングTOP20)
決算期3月は乗用車全セグメントで前年実績割れ!SUVマーケットはどうなっている?(24年3月の軽自動車を含むSUV車販売登録ランキングTOP20)
カー・アンド・ドライバー
ホンダが新型「5ドアスポーツクーペ」を世界初公開! 流麗デザイン×斬新ハンドル採用! 25年内に登場予定の新型「GT コンセプト」 北京で初披露
ホンダが新型「5ドアスポーツクーペ」を世界初公開! 流麗デザイン×斬新ハンドル採用! 25年内に登場予定の新型「GT コンセプト」 北京で初披露
くるまのニュース
グーグルマップの“2台使い”が最適解!? GWの高速道路で大渋滞!「そのまま乗り続けるか次のICで降りるべきか」問題をどう乗り切る?
グーグルマップの“2台使い”が最適解!? GWの高速道路で大渋滞!「そのまま乗り続けるか次のICで降りるべきか」問題をどう乗り切る?
VAGUE
トヨタ新型「“SUV”ミニバン」発表! タフ顔&高級内装がカッコイイ! アンダー400万円の“充実装備”が嬉しい「GX O」印に登場
トヨタ新型「“SUV”ミニバン」発表! タフ顔&高級内装がカッコイイ! アンダー400万円の“充実装備”が嬉しい「GX O」印に登場
くるまのニュース
うおおおお!!  マツダ6の後継が中国で爆誕!?  新型セダン[EZ6]超絶カッコいいやん!!  丸テールに内装もハンパない【北京ショー】
うおおおお!!  マツダ6の後継が中国で爆誕!?  新型セダン[EZ6]超絶カッコいいやん!!  丸テールに内装もハンパない【北京ショー】
ベストカーWeb
FIAスライエム会長が批判にコメント「世論の法廷で有罪判決を受けたかのよう」会員からの支持も強調
FIAスライエム会長が批判にコメント「世論の法廷で有罪判決を受けたかのよう」会員からの支持も強調
AUTOSPORT web
レッドブル育成ハジャルが3日目最速。宮田莉朋は午後3番手/FIA F2バルセロナテスト最終日
レッドブル育成ハジャルが3日目最速。宮田莉朋は午後3番手/FIA F2バルセロナテスト最終日
AUTOSPORT web
ついに[レガシィ]の名が消える…… 2025年春にメイン市場の北米で生産終了! でもアウトバックは生き残る!
ついに[レガシィ]の名が消える…… 2025年春にメイン市場の北米で生産終了! でもアウトバックは生き残る!
ベストカーWeb
スズキ「アヴェニス125」【1分で読める 国内メーカーのバイク紹介 2024年現行モデル】
スズキ「アヴェニス125」【1分で読める 国内メーカーのバイク紹介 2024年現行モデル】
webオートバイ

みんなのコメント

8件
  • そろそろSUVの次を考える所に来てるね
  • こ記事の画像に「ラパン」が入っているのだが。
    あげる前によく確認してね。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

165.4200.2万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

11.8398.0万円

中古車を検索
ジムニーの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

165.4200.2万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

11.8398.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村