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キープコンセプトに見えてこだわり満載! 新型スズキ・ハスラーのデザイナーにインタビュー

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キープコンセプトに見えてこだわり満載! 新型スズキ・ハスラーのデザイナーにインタビュー

 変化感にこだわったエクステリアデザイン

 まったく新たな軽クロスオーバーカーとして大ヒット作となった、スズキの「ハスラー」が2019年12月24日に2代目へと進化。2020年1月20日より販売が開始された。その大ヒットした初代を受けて、二代目のデザインは一見キープコンセプトを貫いたように思えるが、じっくり見ると少なからず変化したことが浮かび上がってくる。

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 そんな新型ハスラーのデザインの狙いについて、スズキ四輪商品・商品企画本部 四輪デザイン部 エクステリア課の長田宏明(おさだひろあき)係長と、同四輪インテリア課の粒来 広(つぶらいひろし)係長にに聞いた。

──今回取材に来ているほかのメディアの方たちからは、キープコンセプトではないかという声が多く挙がっています。実際のところはどうなのでしょうか?

 長田:実際のところは、変化感にこだわってデザインしています。初代ハスラーがデビューした2013年末とは時代そのものが変わっているので、それに合わせてハスラーも変化していかなければならないという意識を持っています。

──時代の変化という点では、御社のジムニーを含めて、本格オフローダーが再びクローズアップされるようになってきていますよね。雰囲気としては、新型ハスラーはジープ・ラングラーに近いものになった印象がありますが、本格オフローダーの流行は意識されているのでしょうか?

 長田:本格オフローダーというよりは、アウトドア自体が2019年にどうなっているのかというリサーチを行った結果、街のショップで普通にサーフアイテムとカフェが一緒になっていたりしたんですね。あとは普通にアウトドアウェアを着て六本木や表参道を歩いていて、ファッションのいちアイテムとして使っているというのがすごく印象に残りました。ですのでその辺にフォーカスしてエクステリアデザインに取り込んだらどうかなと。そこからタフ、力強さというテーマが出てきました。

 ですから本格オフローダーのテイストをそのまま使ったわけではなく、時代とともに変化するアウトドアをリサーチした結果こうなった、というのが本当のところですね。

──そうした方向性は、インテリアの方がより明確に出ているような気がしますね。

 粒来:インテリアは開発当初から、アウトドアグッズをスケッチを始まる前に持ち寄って、その魅力は何かを検証しました。すると、アウトドアグッズはひとつの目的に向かって機能があり、その機能の集約が形としての魅力につながっていることがわかりました。ですので、ひとつひとつの機能をキレイに表現することを考えました。

 また、初代ではカラーパネルがお客さまから非常に好評でしたので、ツヤありのカラーパネルを使おうということでスタートしています。カラーパネルを使いつつ、タフなイメージを作っていくというのがテーマですね。

 大きな機能としてはインパネアッパーボックスがありますが、これはテーブルと収納ボックスが初代ではサイズが小さかったので、それを大きくするよう今回は提案しました。

──それがデザイン上のアクセントにもなっていて、かつ機能も内包されているというのは面白いですね。

 粒来:機能とデザインを上手くバランスさせるのが、一番工夫したところですね。

──現行ジムニーも多分にそういうところがありますので、その知見が新型ハスラーにも活かされたのではないかと、勝手に想像してしまいましたが。

 粒来:クルマの開発としては横目で見ていましたので当然知ってはいるのですが、ジムニーはプロ用の道具ですね。ハスラーはどちらかというと、日常での使い勝手がメインになっていますので、そうした出発点は違いますが、表現したいものは力強くてタフという点で共通しています。

 非常に手間をかけた2トーンカラーの塗り分け

──新型ハスラーはカラーリングがエクステリアもインテリアも個性的ですが、2トーンボディカラーの塗り分けを、生産工程ではどのように行っているのでしょうか?

 長田:塗り分けの位置が人の視点に近いところなので難しいですね。初代はなるべく粗が目に付きにくいよう工夫しているのですが、新型はそれを基準にしつつ、目印になるような溝を設けて階段形状にしています。塗り分けそのものはマスキングを手作業で行っていますね。

 新型では初めてリヤクウォーターウインドウを設定しましたので、それを囲むようにL字型にすることで、新型ハスラーの特徴を出しています。2トーンボディカラーは初代ハスラーが先鞭を付けて、そこから普及した経緯がありますので、今回はぜひ新しい形で2トーンを展開したいという想いは、初めからありましたね。

──内装色に関しては、新型では黒を強く訴求している印象がありますが、初代は非常に幅広いバリエーションを持っていましたよね。

 粒来:基本色は初代のデビュー当時も同じ黒で、パネルの色自体も同じような展開ですね。後からバリエーションを増やしていきました。

──新型のインテリアはバリエーションに幅を持たせるのが難しいデザインのように感じるのですが、新型でも初代にあったような癒やし系のバリエーションを展開するお考えはあるのでしょうか?

 粒来:今のところまだ予定はしていませんが、ご要望があればやっていきたいと思っています。カラーパネルの部分は色を変えられますから、そこで訴求していきたいですね。

──カラーパネルは今回3色が設定されていますが、理想を言えばボディ色全色欲しいところですよね。

 粒来:そうですね、本当は全部欲しいところですが(笑)。

──用品での展開はあるのでしょうか?

 粒来:はい、用品でもいくつかバリエーションを用意しましたので、お客さまのお好みに応じて選んでいただけるようになっています。

──ハスラーのユーザーは女性比率が高いとのことですが、女性は色に対するこだわりが非常に強いですよね。

 長田:東京モーターショーでは「可愛いね」と仰る女性が多く、何が可愛いのかを聞くと、四角いのが可愛いというんですね。シンプルな形は逆に主張が強くて響くのかなと。ジムニーも「可愛い」という女性が多いようですので、タフになったから男性寄りというわけではなく、女性にも受けるのではないかと期待しています。

──ジムニーはヘッドライトが丸くなりましたので、それもポイントかもしれませんよね。

 長田:そうですね。ハスラーは、新旧でヘッドライトのプロフィールはさほど変えていませんが、内部はポジションランプが昼間でも目立つよう、中央の色味を暗くしています。

 新しいボディ形状がインテリアにも好影響をもたらす

──シートの形状やサイズ、材質は、今回変更されていますか?

 粒来:とくに大きくは変えていませんね。

──ユーティリティの面には力を入れていらっしゃいますよね。

 粒来:フロントシートがベンチ式だったのを、新型ではフロアコンソールを設置して使い勝手を高めようと、セパレート式にしています。またセパレート式に変更したことで、サポート性も良くなっています。

──新型ではよりピラーを立てていますよね。これは、デザインと機能、両面から考えてそうしたのでしょうか?

 長田:そうですね。エクステリアではルーフを伸ばしてバックドアを立てて、より四角い形を狙っています。それによって生まれたスペースに、リヤクォーターウインドウが付けられるようになりました。その結果後方がより見やすくなったことで、機能的にもベターになっていますね。

──広さの面でも、ヘッドクリアランスが拡大していますよね。

 長田:そうですね、感じていただけると思います。「タンブル」と言っていますが、前から見たキャビンの傾き方も減っているので、左右方向も広く感じていただけると思います。

──それはまさに、アウトドアギアに通じる機能とデザインの両立、ということですね。

 粒来:仰る通りです。お客さまにアウトドアを楽しんでもらいたい、使い倒してもらいたいという気持ちで作りました。

──ジムニーもそうだと思いますが、実際のところはその機能を本気で使い倒す人が意外に少ないと思います。ですがファッションアイテムとしても、新型ハスラーは非常に個性の強いものになっていますよね。東京モーターショーの一般公開日でもお客さまの反応は非常に良かったので、本当に売れそうな気がしています。

 粒来:ありがとうございます。

 長田:アウトドアアイテムも日常化してくると、目立たないとファッションになりませんよね。クルマもSUVがどんどん溢れてきて、そのなかでいかに主張していくかが重要になってきます。初代ハスラーがデビューした2013年末はそれほどSUVが多くありませんでしたが、ハスラーはその先駆けとしていかに新しさや驚き、楽しさを2019年に出すのかが、開発のなかで大きなテーマになっていました。

──新型ハスラーの純正アクセサリーには4種類のコーディネートが設定されていますが、車両の開発初期からこれらを展開する想定で内外装をデザインされたのでしょうか?

 粒来:そうですね。ある程度基本のボディができてきた段階で、用品も早めに開発をスタートしましたので、こういう世界観で進めようということを話し合ってきました。そのなかで「POP」は、初代ハスラーの元気さを表現できるなと。「Tough」はSUVらしさ、「NATURAL」はキャンプなどで女性が楽しむような、もう少し優しいイメージですね。「Stylish」は都会的でクールなものというところです。

──どれも特別仕様車としてそのまま販売できそうですよね。

 粒来:はい、そのくらいの気持ちで作っています(笑)。

──ありがとうございました。

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