アニメの世界が現実に？ 特務機関 NERVの災害対策車両を三菱自動車が開発

アウトランダーPHEVをベースとした災害時特化車両

ゲヒルンと三菱自動車工業、スカパーJSATは、災害による長期停電や通信網の途絶に備えて、防災情報配信サービスの継続と近隣自治体への支援を目的とした災害対策車「特務機関 NERV（ネルフ）制式 電源供給・衛星通信車両 5LA-GG3W（改）」を共同製作した。

2006年のクレーン船事故による首都圏停電、2011年の震災後計画停電、2018年の北海道胆振東部地震に起因する北海道全道停電、2019年の台風15号による千葉県を中心とした長期間停電などといった近年各地で発生している事故や災害を教訓として、長期化する停電へのBCP（事業継続計画）に取り組んでいく。

「新世紀エヴァンゲリオン」から生まれた防災情報サービス

ゲヒルンは、防災情報配信サービスを特務機関 NERVアプリ等にて展開しているが、情報発信サイドが停電や通信障害によって機能不全を起こすリスクを限りなく減らすための施策を検討。特務機関 NERVのオペレーション拠点が情報配信機能を喪失した場合に、防災情報配信サービスを継続するための災害対策車両開発を計画し、これに三菱自動車が賛同してアウトランダー PHEVを2台提供することで実現した。

この災害対策車両はアウトランダー PHEVをベースに、カイタメ社の平面アンテナ端末を搭載し、スカパーJSATの通信衛星を経由してインターネットへの接続を可能としたもの。アウトランダー PHEVは満充電の状態で一般家庭が消費する一日分の電力を賄い、エンジンの発電機能を利用すればガソリン満タンで最大10日分の一般家庭消費電力を供給できる。さらにツインモータ―4WDを利した高い走破性とSUVの利便性を兼ね備え、被災地に出動して活動することも可能だ。

スカパーJSATの衛星通信サービスは、衛星通信の強みである「耐災害性」「広域性」「柔軟性」をもつインターネット接続サービスを提供。衛星を自動捕捉・追尾する平面アンテナによって誰でも簡単に双方向衛星通信を利用でき、BCPや人命救助活動等での活躍が期待できる。今回はゲヒルンがスカパーJSATに協力を呼びかけ、スカパーJSATが平面アンテナ端末と通信サービスを提供することになった。

また、ゲヒルンは内閣府準天頂衛星システム戦略室にも協力を依頼し、衛星安否確認サービス「Q-ANPI」端末の貸与を受けた。「Q-ANPI」は避難所の情報を“みちびき”経由で管制局に送信・収集する手段として活用する。

災害対策車両は災害対策本部や避難所等に派遣されると、電源供給・充電サービス／Wi-Fiによるインターネット接続サービス（初号機のみ）／みちびきの衛星安否確認サービスによる安否・避難所情報の通信サービスを提供していく。

2020年2月1日から東京エリアで初号機が運用を開始し、弐号機は同日に札幌エリアでの運用開始を予定している。

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