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【トヨタ20年ぶりの自社開発スポーツカー】新型「GRヤリス」の奥深い魅力とは

掲載 更新 11
【トヨタ20年ぶりの自社開発スポーツカー】新型「GRヤリス」の奥深い魅力とは

■新型ヤリスとは全然違う? GRヤリスの凄さとは

 2017年、18年ぶりにWRCの復帰を果たしたトヨタ。WRCへの参戦理由は「勝つ事」と「もっといいクルマづくり」のためです。

トヨタ新型「ヤリス クロス」登場! ヤリスのSUV風モデルってどんなモデル?

 GRカンパニーの友山茂樹プレジデントは「モータースポーツ活動で得たノウハウや知見、人材を車両開発に直接的に投下していくのが、我々のクルマ作りの基本です」と語っていますが、ズバリWRCの知見を盛り込んだロードカーが「GRヤリス」になります。

 じつはこのGRヤリス、1999年に生産終了した「セリカ GT-FOUR」以来、トヨタとして20年ぶりのスポーツ4WDモデルです。

 開発を担当した齋藤尚彦氏は「セリカGT-FOURをやめて以降トヨタはスポーツ4WDの技術・技能を失っていました。失った20年を取り戻すためには『モータースポーツから学ぶ』ことが最短の近道であると考えました。さらにトヨタがもっとも苦手とする『少量生産』への挑戦もおこなっています」と語っています。

 今回、2010年1月に開催する東京オートサロン2020でのワールドプレミアムに先駆け、詳細の一部発表に加えて、プロトタイプに試乗することができました。

 開発コンセプトは「Strong Sport Car」と単純明快で、具体的には「次期WRCホモロゲモデル」、「素のままでもローカルラリーで勝てるパフォーマンスを備える」、「誰でも購入可能なスポーツモデル」だといいます。

 その実現のためには「高い目標」と「課題の明確化」をおこなったとし、クルマ作りもトヨタのさまざまなカンパニーと連携しながら開発をおこなう「クロスファンクションチーム」を実施。これらトヨタ×TMG(トヨタモータースポーツ有限会社)×TMR(トミ・マキネン・レーシング)と3極連携で開発をするやり方は、WRCのマシン開発に近いそうです。

 外観デザインは、ベースの新型「ヤリス」にはラインナップされていない3ドアハッチバック、それも単純にドアの枚数を減らしたのではなく、ボディライン自体が異なります。

 これは空力を考慮した“機能”のためです。またフェンダーも大径タイヤを装着するためにワイド化されており、結果としてノーマルよりもグラマラスなスタイルです。

 ちなみに軽量化のためにこのクラスでは贅沢なカーボン製ルーフ、アルミ製ボンネット/ドアを採用するマルチマテリアルボディとなっています。

 内装デザインは、インパネ形状など基本的な部分は標準モデルの新型ヤリスと共通ですが、専用のステアリングやメーター、スポーツシートを採用。

 全体的なまとまりは非常にいいのですが、個人的にはメーターはもう少し遊んでもよかったと感じました。シフトレバーの前には前後駆動力配分を変更可能なドライブモードスイッチも加えられています。

 また、JBL製オーディオシステムや運転支援デバイス、大人が乗っても似合うインテリアコーディネイトなど、日本のスポーツカーが苦手だった部分に関しても抜かりはないようです。

 パワートレインは、GRヤリス用に新開発された1.6リッター直列3気筒ガソリンターボエンジンと6速MTの組み合わせになります。

 詳細なスペックは未公表ですが、専用エンジンブロック/シリンダーヘッド、ボールベアリングターボ、排気バルブの大径化などが採用されており、出力はもちろん、クラス最軽量/最小サイズも特徴だそうです。

 前出の齋藤氏によると「これもWRCからのフィードバックで出力/レスポンス/軽量化にこだわりました」と説明します。

 AWDシステムは、スバル「WRX STI」や三菱「ランサーエボリューション」のような複雑な機構ではなく、シンプル/軽量化にこだわったハイレスポンスカップリングを採用。

 前後駆動配分はアクティブに変更できますが、3つのドライブモード(ノーマル 60:40、スポーツ 30:70、トラック 50:50)がセレクト可能です。

 プラットフォームは、標準モデルの新型ヤリスと同じくGA-Bながらリア部分は専用開発となっています。

 サスペンションは、フロントがストラットでリアはマルチリンクの専用品。ブレーキは、対向ブレーキキャリパー+大径ローター、タイヤは225/40R18サイズのミシュラン・パイロットスポーツ4S、ホイールは鍛造のBBS製が装着されています。

■クルマと対話ができる? 走りの魅力とは

 新型GRヤリス(プロトタイプ)の試乗は、ターマックとグラベルの2か所。ターマックは市販に近いプロトタイプ(外装が新型ヤリスベース)です。

 グラベルのプロトタイプは外装が現行ヴィッツで、中身はすべてGRヤリスという初期のテスト車両に現在開発中のラリー用パーツ(強化クラッチ、クロスミッション、サスペンション)を加え、ラリータイヤを装着した特別なモデルとなります。

 どちらも試乗時間10分という短い時間でしたが、その魅力を直感的に感じることができました。エンジンは、小排気量ターボながらもターボラグを感じないフラットなトルク特性とレスポンスの良さ、そしてレッドゾーン(7000rpm)までストレスなく回る気持ち良さがあります。

 体感的には250馬力オーバー、350Nmオーバーの実力があると感じましたが、アクセルを踏んだときの応答性やツキの良さは2リッターターボエンジンを搭載するWRX STIを大きく超えていると思います。

 ストロークはやや長めで軽いタッチながらもカチッと決まるフィーリングの6速MTは、横置きMT最良といっていいかもしれません。

 ちなみにセンターコンソールにはiMT(インテリジェントマニュアルトランスミッション)のスイッチがあり、今回は使用しませんでしたが、シフトダウン時にブリッピングもおこなってくれます。

 ハンドリングは、まず「軽さは正義」であることを実感しました。体感的には1200kg代後半といった感じでしょうか。

 ターマックは、ウエットな路面の上に低速かつRがキツいコーナーがメインのコースでしたが、セオリー通りに走る限りは4WDを感じさせない素直なハンドリング特性で、リアの安定性も非常に高いレベルと感じましたが、ウエット路面に関してはリアに対してもう少しフロントが粘ってくれると安心感は高まるでしょう。

 また、シートポジションはやや腰高に感じ、ターマックではもう少し低めに設定できたほうが一体感は増すと思いました。

 コーナー進入ではドライバーの操作次第でアンダーもオーバーも可能な自在性を備えています。ただ、クルマ自体の限界がかなり高い所にあるので、円旋回をスライドしたまま繋げるにはドライバーの腕も要求されます。

 ちなみにドライブモードはノーマル(安定方向)、スポーツ(ノーズが入りやすい)、トラック(バランスの良さ)と、各モードの差は解りやすいと思います。

 一方、グラベルでは路面のグリップが低いので思い切って振り回して走らせることができましたが、ボディのカッチリ感と自分の手足の如く意のままに操れることにビックリです。

 コースはパイロンで作られた8の字レイアウトでしたが、1周を繋げて走らせることはもちろん、パイロンギリギリまで近づけられるコントロール性の高さ、そして絶対的なスピードは高いのにクルマの動きがスローに感じるくらいの余裕がありました。

 ただ、ダートで気になったのはペダルレイアウトで、普段は気にならないのですが素早い操作のときにアクセル/ブレーキの間隔がやや広い感じることです。クルマが良くなると細かい所が気になってくるのです。

 今回、両方のコースを走って解ったことは、基本は安定志向ですがドライバーの操作で引出しがたくさん用意されている、仮にドライバーが失敗したら失敗をシッカリ教えてくれる、つまり、「クルマとの対話」がしやすいことで、この辺りは「86」や「スープラ」にも通じるトヨタの「味」なんだろうなと思います。

 今回は性能の一部を味見した程度でしたが、正直に白状するとGRヤリスの持っている引出しを見つけるために「時間があればいつまでも乗っていたい」と思ったくらいです。

 もちろん、細かい部分で気になる所もありますが、現在も開発は続けられているようなので、市販時までに改善を期待したいところです。

 価格も多くの人が頑張れば手に入るプライスが予想され、2020年の正式発表が楽しみです。

 ちなみに筆者(山本シンヤ)は久々に直感的に「欲しい!!」と感じた一台であり、資金の目途さえ付けばぜひとも手に入れたいと思っています。

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11件
  • これをスポーツカーと言う時代になってしまったのか・・・拙者は、拙者の考えがお古なのか、すっかり時代に取り残されたで御座る!!!しかし、それでも尚、最近の暴走家電車やムッツリSUV、オラオラギラギラ系なミニバンやワンボックスとてもカッコ悪い・・・ずんぐりムックリでおデブ体型がなんとも・・・みっともない・・最近のデザインにオコだよ~~?!!
  • スポーツカーを作れないメーカーが作ったというから見にきたらスポーツカーがないんですけどWw
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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