AT車はDレンジのまま走ることを前提に開発されている!
AT車で信号待ちをするとき、シフトはDのままでいいのか。それともNやPにした方がいいのか? このテーマはAT車の普及率がMT車とほぼイーブンだった1980年代半ばから繰り返されてきたことだが、その答えは今も昔も、Dレンジのまま青信号を待つというのが正解。
というのも、根本的にATは、イージードライブを実現するための技術なので、設計するときから、走り出したら目的地までずっとDレンジで走ることを前提に開発されているから。さらに細かくいえば、耐久性、燃費、安全性の3つの点でも、Dレンジキープにもっとも利がある。
まず耐久性。いまの国産車のATなら、基本的に10万kmぐらいまでは、信号待ちでNにしようがDにしようがATが壊れたり不調になることはほとんどない。
しかし、DからN、NからDにセレクトレバーを動かすたびに、AT内部でクラッチは繋がったり切れたりするため当然クラッチは摩耗する。またクラッチが断続するたびに、ミッション、デフ、ドライブシャフトにストレスがかかり、クルマが軽くピッチングする。これらのストレスが何百回、何千回、何万回と重なれば、壊れることはなくても、ガタやヘタリの原因になるのは間違いない。第一、そのショック自体が乗っていて不快なはずだ。
燃費や安全を考慮してもDレンジのままにしておくのが良い
燃費に関しては、アイドリングストップ付きのクルマなら、Dレンジでブレーキを踏んで停止ししていると、アイドリングストップが働くので、これがベスト。停車中、Nレンジにすると、アイドリングストップが解除され、エンジンが再始動するので燃費にはマイナス。
また、最近増えてきたオート・ニュートラル機構がついているクルマなら、Dレンジ+フットブレーキで一定の時間止まっていると、負荷をかけずに自動的にニュートラル状態にし、再発進も素早くできるようスタンバイしてくれているので、クルマに任せておくのが一番。古いAT車でも、Dレンジでの停車時は、エンジンの回転数がNレンジのアイドリング時より下がるので、燃費は変わらない。
最後に安全性。Nレンジで信号待ちをしていて、あの信号に変わるちょっとボーっとしていて気づくのが遅れ、ちょっと慌ててアクセルオン。Nレンジだから進まない。さらに焦ってアクセルを踏んだままDレンジへ。そして思わぬ急発進へ……というのは珍しくない。こうしたリスクをゼロにするためにも、信号待ちはDレンジがベスト。
ましてやNやRを通り越して、Pレンジにして信号待ちなんて、百害あって一利なし。先の急発進のリスクや、誤ってRレンジで動き出す可能性もあるので論外。Pレンジに入れると、トランスミッション内部の歯車に、パーキングロックポールが引っかかって、ギヤが固定されクルマが動かないようになるが、これはあくまで駐車時に、パーキングブレーキを補助するための仕組み。
クルマを止めるのは、ブレーキが主役なので、信号待ちで使うようなものではないし、前述の通り、再発進時にバックしてくる可能性もゼロではないので、信号待ちでPレンジに入れるため、一瞬バックランプが点くようなクルマには、なるべく近づかないようにして、車間距離を広めにして止まるようにしたいぐらいだ。
というわけで、AT車の信号待ちは、Dレンジキープの一択で決まり。これはトルコン式だけでなく、CVTやDCTのクルマでも基本的に変わらない。
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