D-MAX横井昌志がD1史上二人目の2年連続チャンピオンに!
最終戦では単走落ちしたものの、前半のリードでギリギリ逃げ切りに成功!
「完全自作4WD+4ローターターボ搭載の超絶FD3S!」夢は世界最速ロータリーの称号!【SEMA SHOW2019】
九州は大分県のオートポリスにて、11月2日(土)・3日(日)に開催されたD1グランプリシリーズの最終戦。ここで、もつれにもつれた2019年シリーズのチャンピオンがついに決定した。結果は、後半3戦をノーポイントで終えたものの、開幕戦からの2連勝を含めて前半の4戦で大きくポイントを稼いだ、D-MAX RACING TEAMの横井昌志選手が、2年連続でチャンピオンの座を獲得したのだ。
その活躍を支えたS15シルビアは、昨年のチャンピオン獲得時からほとんど仕様変更はないものの、いまだにトップレベルの戦闘力を発揮。「大事なのは重量とパワーとタイヤのバランスかな。あとはチーム力ですね」と横井選手が語るように、2018年に投入されたマシンは、その全てが高い次元でバランスされているという。
エンジンは、JZS161アリストやJZA80スープラなどに搭載されている2JZ-GTE。BCの3.4Lキットを使って排気量アップし、GTX4088タービンをセット。制御はHKSのF-CON Vプロで、ブースト2.0キロ時には950psを発揮。点火系はイグニッションプロジェクトのコイルを使って強化している。
タービンはGCGのGTX4088Rを装着。パワーの出し方出はコースの状況に合わせており、単走では適度に進むようにブーストを抑え、追走では遅い相手に合わせるための余力を出すためにブーストを上げたりして使い分けている。
吸気系には、D-MAXのサージタンクにプラズママンの90φスロットルが使われている。このマシンを投入して間もない昨年のオートポリス戦(第3戦)では、ハイパワー2JZの泣きどころとも言えるベルト飛びが発生したが、ベルト飛びを抑えるパーツの位置関係を見直したことで改善。以降は一度もベルト飛びは発生していないそうだ。
インタークーラーとオイルクーラーはKOYORADのワンオフ品。インタークーラーはコアサポートの上端ギリギリにマウントし、下部のスキマにオイルクーラーが設置されている。インタークーラーの前に設置されているHPIのコアはパワステフルードの冷却用だ。
今でこそ様々なメーカーのシーケンシャルミッションが使われているD1界のマシンだが、「2018年に向けて製作している当時は、これまでの実績もあるし信頼戦も抜群だった」と、ホリンジャーのRD6シーケンシャルミッションを採用。D-MAXのプロペラシャフトを介して、デファレンシャルギヤにパワーが伝えられている。ちなみに現在製作が進められている来期投入予定のニューマシンにはサムソナスのミッションが使われる予定だそうだ。
デフにはファイナルギヤの変更が容易なクイックチェンジを搭載し、内部にはATSのカーボンLSDが組み込まれている。アッパーアーム、トラクションロッド、トーコンロッドはD-MAX製で、ドライブシャフトとリヤナックルはBCNR33純正を流用。ナックルのブッシュ類はピロボールに打ち変えられている。
ファイナルギヤは現場でよく変更するそうだが、オートポリス戦では昨年のデータがあったこと、加速区間が伸びてもコーナリングスピードは変わらないことから変更はしなかったそうだ。
エビス戦でのクラッシュにより、歪んでしまったパネル類は除去され、パイプによって骨格を作って外装を支持する形へと大幅に作り直されることになったトランク部分。エビス戦まではS15用のラジエターにFD3S純正電動ファンの組み合わせだったが、JZA80用ラジエターとJZS161純正電動ファンの組み合わせとなった。
また、左右の重量配分を考慮してウォータースプレー用のタンクはラジエターの両サイドにマウント。ストラットタワーの間には、燃料タンクとコレクタータンク、燃料冷却用のタンクが設置されている。ちなみに燃料タンクの容量は25Lで、オートポリスでは8周まわれるかどうかとのこと。
車高調は別タンク式となるD-MAXのレーシングスペックサスペンションで、バネレートはフロントのみ搭載された2JZエンジンに合わせて12kg/mmとしているが、リヤは市販品と同じく6kg/mmの設定。ロアアームもおなじくD-MAX製で揃えられている。キャリパーは軽さを意識して、HCR32純正のアルミ4ポットキャリパーを流用、ローターとパッドはディクセル製を使用している。
切れ角アップは、ナックルやオフセットラックアダプターといったD-MAX市販品をフル装着。ナックルストッパーはサーキットによって細かく調整している部分だそうだ。
車高調の減衰力やアライメントといった項目は、事前テストでいろいろ試すものの、決まってしまえば大会でイジることはほぼなく、タイヤの空気圧を調整するくらいとのこと。
タイヤはナンカンのNS-2Rで、フロントは255/35-18で、リヤ285/35-18を履く。他メーカーと比べて、グリップはあるけど減りがやや早いそうで、単走が終わったら水で冷やしてコンパウンドを長持ちさせるなどの工夫をしている。
ネジ1本、配線1本から拘ったという室内は、徹底的に軽量化を敢行しつつワンオフのロールバーを張り巡らせて強度も確保。車両重量は1200kgを切っており、ウエイトやドライバーを含めてギリギリ285幅のタイヤが履ける重量に調整している。
シートは、ブリッドがHANSデバイスの着用を前提として開発した競技専用のフルバケットシート“プロフェイス”で、2018年のシリーズチャンピオンを獲得したことを記念して刺繍が入れられている。助手席は走り屋御用達となるブリッドのジータIIIで、どちらにもHPIのレーシングハーネスが装着されている。
最終戦のオートポリス。練習走行を見る限りでは、普通に走れば追走進出まちがいなしの走りを連発していたものの、1本目は振り返した後にリヤをコース外に落としたことによる減点が響いて95.69点。そして後が無くなった2本目は、1本目を意識しすぎてしまったのか、3つめのゾーンを外してしまい減点され敗退。追走進出した小橋選手と藤野選手の動向によってチャンピオンが決定するという状況になってしまった。
結果、小橋選手はベスト16で、藤野選手もベスト8で敗退したことで、横井選手が逃げ切って2年連続のチャンピオンを獲得。単走決勝で敗退してポイントを伸ばせなかったことで単走シリーズチャンピオンは北岡裕輔選手が獲得したものの、D-MAX RACING TEAMとしても3年連続となるチームランキング1位の座も獲得した。
そして、2019年に残っている大きなタイトルといえば、昨年は練習走行のクラッシュで台無しにしてしまったFIAインターコンチネンタルドリフティングカップの世界一の座だ。2019年は11月30日(土)~12月1日(日)に筑波サーキットにて開催されるこの大会で昨年の雪辱を晴らすことができるのか、ここでの活躍にも注目したいところだ。
TEXT&PHOTO:Daisuke YAMAMOTO
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