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5.0リッターV8自然吸気を操れる歓び【レクサス RC F試乗記】

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5.0リッターV8自然吸気を操れる歓び【レクサス RC F試乗記】

大排気量エンジンは、とくにスポーツカーとの相性がよく、サーキットでも公道でも、圧倒的なパワーでクルマ好きを楽しませてくれてきた。

フェラーリ、マクラーレン、ランボルギーニ、アストンマーティンと、世界に名だたるスポーツカー・メーカーは、大排気量エンジンを搭載するモデルで名を馳せている。日本も負けていない。代表的なのは、5.0リッターV型8気筒エンジンを搭載するレクサス「RC F」だ。

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【主要諸元(パフォーマンスパッケージ装着車)】全長×全幅×全高:4710mm×1845mm×1390mm、ホイールベース:2730mm、車両重量:1720kg、乗車定員:4名、エンジン:4968ccV型8気筒DOHC(481ps/7100rpm、535Nm/4800rpm)、トランスミッション8AT、駆動方式:RWD、タイヤサイズ:フロント255/35ZR19、リア275/35ZR19、価格:1430万円(OP含まず)。マットブラックの軽量鍛造アルミホイールはBBS社製。パフォーマンスパッケージのリアディフューザーは、カーボン製。標準モデル以外のエンジンフード、ルーフはカーボン製。標準モデル以外のエンジンフード、ルーフはカーボン製。「公道からサーキットまでシームレスに走りを楽しめる」ことをうたうRC Fが、2019年5月13日にマイナーチェンジを受けた。新型の試乗会は、富士スピードウェイ(静岡県御殿場市)でおこなわれた。

RC Fは、最高出力354kW(481ps)、最大トルク535Nmを発揮する4968ccV型8気筒自然吸気ガソリン・エンジンをフロントに搭載し、後輪を駆動する。

マイナーチェンジによって軽量化(従来比、車両重量はマイナス20kg)し、かつボディの空力特性が見直された。「モータースポーツ活動で得られたノウハウを盛り込んだ」と、レクサスは述べる。たとえば、フロント・スポイラーのコーナーには、レーシング・マシンを思わせるカナード形状を採用しているのだ。

固定式のカーボン製リアウィングは、カーボンパッケージ専用品。パフォーマンスパッケージのフロントスポイラーはカーボン製(そのほかのグレードはオプション)。とにかく速い!富士スピードウェイに用意されたRC Fは3種類。標準モデル、「カーボンエクステリアパッケージ」装着車、それに「パフォーマンスパッケージ」装着車である。出力やトルクなどエンジンの基本性能はおなじながら、軽量化やブレーキ性能の強化に応じ、グレード分けがされている。

換言すれば、使用目的に応じた3つのグレード分け、と言えるかもしれない。標準モデルは圧倒的なパワーとともにロング・ツーリングを楽しみたいひとのためのもの。

標準モデルをもとに、ボンネットやルーフ、リアスポイラーなどのパーツをカーボンファイバー製に換装、軽量化をはかった「カーボンエクステリアパッケージ」は、より軽快な走行性能を求めるスポーツカー・ファンのためのモデル。

さらに、標準モデルに対し約70kgの軽量化を実現し、軽量鍛造アルミホイール、カーボンセラミックブレーキ、チタンマフラーなどを装備し、サーキット走行を楽しみたいひとのために開発されたのが「パフォーマンスパッケージ」である。カーボンファイバー製のリアウィングが(FIAのGT3とまではいかないが)大きくそびえ立ち、迫力じゅうぶんである。

駆動方式はRWD(後輪駆動)のみ。搭載するエンジンは4968ccV型8気筒DOHC(481ps/7100rpm、535Nm/4800rpm)。富士スピードウェイの本コースを試乗した印象では、従来のRC Fよりはるかにいいクルマに仕上がっていた。最初のコーナーだけは、タイヤが温まっておらず、滑りぎみだったが、そのあとの速さは特筆ものだった。また、高速走行時の安定感は従来の比ではない。

ステアリング・ホイールへの反応は速く、それでいて神経質ではない。アクセル・ペダルをちょっとぞんざいに踏み込んでも、挙動はいっさい乱れない。専用のコンパウンドを持ったミシュラン社製「パイロットスポーツ4S」はけっしてグリップを失わない。

パイロットスポーツ4Sは公道もサーキットも走れるように開発された汎用タイヤで、かつドライとウェットという異なる路面状況にも高い次元で対応している。サーキット走行当日の天候は小雨まじりだったが、ひやりとした場面は皆無だった。

WLTCモード燃費は8.5km/L。専用デザインのステアリング・ホイールはパドルシフト付き。パフォーマンスパッケージの4連エキゾーストマフラーはチタン製。アクセル・ペダルを踏み込めば、それに応じて目をみはる加速ぶりを味わわせてくれる。今回のマイナーチェンジにより、パワートレインがファインチューニングされたのが効果を発揮している。ディファレンシャルギアが少々ローギアード化され、静止状態からの加速性能向上がはかられたうえ、エンジンの吸気システムやスロットル特性など細かい部分をチューニングし、より反応よく、かつなめらかな加速性を実現したという。

組み合わされる8速オートマチック・トランスミッションは、Dレンジにいれっぱなしでもじゅうぶん速いのに驚いた。ノーマルでも(タイムを競う気がなければ)かったるさはいっさいない。

もちろん、マニュアル・シフトに切り替えた方が、よりダイレクトで楽しい。ただし、マニュアル・シフトに頼らずとも、つまりレッドゾーンまでをフルに活用しなくても、パワーは充分だ。

パフォーマンスパッケージのブレーキ(カーボンセラミックタイプ)はブレンボ製。トランスミッションは8ATのみ。メーターパネルは、通常のRCと異なるデザイン。タイトコーナーの連続でも、太いトルクバンドを背景に、アクセルペダルのコントロールでおもしろいように機敏に走っていく。ただしアクセルペダルの踏み方に気をつけないと、スピンしかねない。

マイナーチェンジ・モデルには、新たに「ローンチコントロール」が搭載された。走り屋のファンには朗報かもしれない。センターコンソールにあるスウィッチによって、発進時のタイヤ空転を防ぐ。これにより、静止状態から100km/hまで4.0秒台という加速性能を実現する。

新たに搭載された「ローンチコントロール」や、横滑り防止装置の解除スウィッチ、ドライブモードの切り替えスウィッチはセンターコンソールにある。駆動方式はRWD(後輪駆動)のみの設定。今、楽しまないともっとも感動したのは「パフォーマンスパッケージ」装着モデルだ。標準モデルが1040万円なのに対して、1430万円もする。しかしその価格差が正当化できるほど、走る、曲がる、そして止まる、のいずれの性能でも卓越しているのだ。

高速からの強いブレーキングは確実で、じつに微妙に踏みかげんが調整できる。さすがレース経験がどんどん蓄積されているレクサスのクルマづくりだけある、と言いたくなるほどだ。専用のカーボン・ブレーキは少し走ればすぐ温まり、低速(といっても速いか……)で、しっかり効いてくれる。

快適装備はもとになるRCとほぼおなじ。ただし、ハイパフォーマンスパッケージは軽量化のため、ステアリング・ホイールのチルト&テレスコピック機構が電動式から手動式になるなど変更される。ハイパフォーマンスパッケージのシート表皮は、人工皮革(アルカンターラ)と本革のコンビ。ハイパフォーマンスパッケージのリアシートは固定式。ハイパフォーマンスパッケージのインパネのパネルはカーボン製。サーキットでは限られた周回しか出来なかったのが、惜しくてしょうがない。もう降りるの? と、恨めしい声が出てしまうほど、パフォーマンスパッケージは魅力的だった。サーキットのために開発されたというのがよくわかる。

「夢中になれるクルマに仕上げることが出来た」と、話すのは開発責任者の弦本(つるもと)祐一氏。たしかに筆者は夢中になってしまった。

とはいえ、たっぷりしたパワーで、大排気量スポーツカーの醍醐味を味わわせてくれる5.0リッターV型8気筒自然吸気ガソリン・エンジンの”余命”は長くない。年々厳しくなる環境規制や燃費規制に対応出来ないからだ。したがってRC Fは、いまのうちに楽しむ価値のあるスポーツカーである。

文・小川フミオ 写真・安井宏充(Weekend.)

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