ロールス・ロイスの最高峰は「ファントム」だ。それも「エクステンデッド・ホイールベース」仕様は、全長が5990mm、ホイールベースは3770mmに達する。
現行モデルは、2017年7月に登場した。ファントムとしては8代目である。どれほど巨大かというと、前輪と後輪のあいだに軽自動車(3395mm)が1台収まってしまい、それでもスペースが余るほど。
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【主要諸元】全長×全幅×全高:5990mm×2020mm×1645mm、ホイールベース:3770mm、車両重量:2780kg、乗車定員:5名、エンジン:6749ccV型12気筒DOHCツインターボ(571ps/5000rpm、900Nm/1700~4000rpm)、トランスミッション8AT、駆動方式:RWD、タイヤサイズ:255/45R22、価格:6670万円(OP含まず)。フロントの「スピリット・オブ・エクスタシー」は、電動格納式。フロントの「スピリット・オブ・エクスタシー」は、電動格納式。ファントムには、全長5770mm、ホイールベース3550mmの標準モデルも設定されている。自ら運転するセダンとしての評価は、本来、標準モデルですべきかもしれない。が、エクステンデッド・ホイールベースもなかなか楽しめる仕上がりだった。
従来にくらべ、約30%も剛性を高めたという軽合金製のスペースフレームを使ったシャシーに、新開発の6748ccのV型12気筒ツインターボ・エンジンを搭載。900Nmというおそろしいほど太い最大トルクが、1700rpmから発生する。
リアドアは、後ろヒンジタイプ。リアドアに内蔵される専用アンブレラ。世界でもっとも静かなセダンづくりを目指すロールス・ロイスは、ツインターボを活かし、低回転でより太いトルクを発生させることで、静かなエンジンを実現したという。
さらに静粛性を向上させるため、ボディ構造各所も凝りまくっている。エンジンとキャビンを分けるバルクヘッド、それとフロアは、遮音のために2重構造になっているうえ、そのなかには、吸音材と遮音材をふんだんに詰め込む。
試乗車のタイヤサイズは255/45R22。タイヤも、静粛性を高めるべく、タイヤ・メーカー(試乗車のタイヤはコンチネンタル社製)と幾度も検討を重ね開発したという。結果、キャビン内のタイヤ・ノイズは9デシベル下がったという。
運転しても想像以上に楽しいいうまでもなく、リアシートは最高だ。リア・クオーターピラーと着座位置の関係は、リアシート乗員の顔が外から隠れるようになっているので落ち着く。ぶ厚いカーペットと、よく出来たシートクッションはバイブレーションをきれいに吸収する。
従来モデルとおなじく、乗り込んだあと、ドアを閉めるときは電動だ。感心したのは、足置きの角度が電動で調整できる仕組みである。足首を好みの角度に出来るのは、脚を延ばせるより、はるかに快適だった。
リアシートは電動調整式。天井は、星をイメージした照明付き。角度調整式(電動)のオットマン。リアシート用のエアコン調整スウィッチは、ドアのアームレストにある。シャンペンボトルなどを冷やすのに最適なクーラーボックス付き。リアシートのセンターアームレストには、シート調整スウィッチやインフォテインメント用スウィッチなどが備わる。リアシート用のインフォテインメント・モニターは標準。ドライバーズ・シートは、つまらない場所か? というと、けっしてそんなことはない。細身のグリップ径のステアリング・ホイールは、てのひらに吸いつくような感触の革巻きで、操舵力はかなり軽めであるが、切っていくときの微妙な抵抗感がなかなか気持よい。
ロールス・ロイスは静粛性に尽力しているため、エンジン・トルクがごく低回転域からたっぷり出る設定というのは前述のとおり。ボディの動きは、2750kgという超ヘビー級の車両重量を意識させない。
最高速度は250km/h。搭載するエンジンは6749ccV型12気筒DOHCツインターボ(571ps/5000rpm、900Nm/1700~4000rpm)。丸の内のようなストップ・アンド・ゴーの多い道でも、かったるさはいっさいない。すーっと正確に停まり、発進もすばらしく落ち着いてスムーズだ。
操舵感覚は、従来と似ていて、あえて路面とダイレクトなコンタクトをドライバーに感じさせない設定である。9時15分あたりを持って、そのまま大きく腕をまわして操舵するより、7時20分あたりを両手で握って、いわゆる“送りハンドル”で操舵するのが、よりスムーズに動かすコツだ。このへんはロールス・ロイス伝統の味である。
首都高を含めた高速道路では、活発に走ることも厭(いと)わない。大トルクによる瞬発力にくわえ、電子制御の足まわりと剛性の高いシャシーが、しっかりとボディの動きをコントロールしてくれるので、スポーティなセダンをドライブしているかのよう。
ま、ファントムで他車を追い抜くような運転は、あんまり感心しないと私個人は思う。あくまでも、粛々と…が、スタイリッシュである。
ハンドル位置は左右選べる。ステアリング・ホイールは、オーディオ用のスウィッチ付き。トランスミッションは電子制御式8AT。6670万円の価値自分で運転するために買うひとはほとんどいないだろうから、取りまわしのよさに触れてもあまり意味はないかもしれない。でも感心したので書かずにはいられない。
車体は大きいものの、狭い駐車場でも苦もなく取りまわしが出来た。あとで調べたら、後輪操舵機構が備わっていたのだ。
ダイヤル式の空調スウィッチなどが、ロールス・ロイスらしい。タコメーターのないメーターパネル。360°カメラは標準。トランクリッドは電動開閉式。スタイリングは、あえて古典的なモチーフがフロントフェンダーあたりに見出せる。ロールス・ロイスによると、1950年代~1960年代のファントムを意識したという。
全高1645mmの威容はかなりのものである。ラジエター・グリルの巨大さも印象的だ。私のなかで、子どものころに見たファントムの記憶がよみがえった。
夜、自転車に乗っていると、小山のようなシルエットと丸くて大きなヘッドライトが近づいてくるのが見えた。シュンシュンと静かな(しかも耳慣れない)エンジン音を含め、すべてが現実ばなれした迫力だった。
現在、ロールス・ロイスと(同ブランドを傘下におさめる)BMWのエンジニアは、現実と乖離したようなドライブを提供することに粉骨砕身しているそうだ。その成果はちゃんと出ているように思う。
もっとも、6670万円を出せるひとだけが、それを味わえるのだが。
文・小川フミオ 写真・安井宏充(Weekend.)
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