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業界ニュース 2019.11.10

【ヒットの法則51】アウディA4 3.2 クワトロとBMW330iを比較試乗して見えたブランドの本質

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アウディにはBMWにはない独自の魅力がある。それは一体どこから来るのか。今なお語られることの多いテーマだが、2005年にアウディA4とBMW3シリーズがフルモデルチェンジした際、Motor Magazine誌でアウディA4 3.2FSIクワトロとBMW330iを比較しながらじっくりとそれを検証している。ともに走りに定評のあるスポーツセダンでありながら、その中身は実に対照的。その考え方の違い、そのメカニズムからくる走り味の違いは興味深い。(以下の試乗記は、Motor Magazine 2005年7月号より)

純粋な技術オリエンテッドの傾向が強いアウディ
「必要とあらば、すべてのモデルを4WDに進化させる用意はある」、かようなコメントも聞かれるほどに、アウディが誇りとするクワトロシステムを搭載したモデルが世に送り出されてから、今年(2005)年がちょうど25年に当たる。

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1980年のジュネーブモーターショーに、「アウディ・クワトロ」と呼ばれるフルタイム4WDシステムを標準装備としたアウディの乗用車の一号車が出展された。「技術のアウディ」なるイメージは、ちょうどこの頃に確固たるものになったと考えてもいいかも知れない。

クワトロシステムの実現は、ポルシェ社から同社の技術部長へと移籍をして来たフェルディナント・ピエヒが1976年の末にスタートさせたプロジェクトが実を結んだもの。 クワトロと同時進行で開発が進んでいた高出力エンジンとの組み合わせが、その後WRC(世界ラリー選手権)の舞台を席巻して行く…という話題はまだ記憶に新しい。

そんなヒストリーが代表をするように、アウディはメルセデス・ベンツやBMW以上に純粋な技術オリエンテッドの傾向が強いように感じられる。例えば、前面衝突によってパワーパックが後退する動きをワイヤーで拾い上げ、それを利用してシートベルトのたるみを巻き取ると同時にステアリングコラムを縮めるという安全ディバイスのプロコンテン(PROgrammed CONtractionTENtion)などは、クワトロシステムとともに「独自技術のアウディ」のイメージを高めるものであった。

しかし、そうした時代から比べると、最近のアウディ車のつくりはむしろオーソドックス化の方向を目指しているようでもある。それでももちろん、ハードウェア上で今なお興味深い部分は残る。例えば、FFをベースとしたクルマでは少数派の、パワーパック縦置きレイアウトはその一例だ。

トラクションをいかに有効に稼ぐかがポイント
A4 クワトロのエンジン/トランスミッションはFR車同様の縦置きレイアウト。エンジンをフロントアクスル前方にオーバーハングマウントし、その後ろにトランスアクスルをドッキング。エンジントルクは一度後方に伝わり、さらに前輪に伝えられる。まるでFRレイアウトに未練を残すかのようなレイアウトを今でも採用し続ける理由は、残念ながら、ぼくには明確にはわからない。エンジンをオーバーハングマウントするがゆえに当然フロントヘビーの傾向が強く、それを「前輪駆動時の優れたトラクション能力確保のため」と解釈することもできるが。

クワトロの場合、トランスアクスルの出口部分=プロペラシャフト付け根位置に置かれるセンターデフに、イニシャル時のトルク配分を50:50に設定したトルセンデフを採用し、75:25から25:75までの間で可変トルクスプリットを行う。後輪側駆動力をスムーズに取り出しやすいということもパワーパックを縦置きとしたひとつの理由とは考えられるが、現在ではパワーパック横置きのフルタイム4WD車も多数存在するから、これもまた決定的な要因とはなり得ないわけだが。

一方のBMW 330iはというと、縦置きされたパワーパックは、まるでキャビンの足元部分にエンジンが食い込むようなほとんど「フロントミッドシップ」のレイアウト。一般的には「Z軸回りのモーメントを減少させることで軽快な回頭性を得るための工夫」と理解されることの多い配置であるが、BMW車の場合、そもそもFRレイアウトのウイークポイントとされるトラクション能力の不十分さを少しでも補うべく、「リア荷重を増やすための手段」としてもこうしたレイアウトを採用している感触が強い。

実際、330iの心臓が発生する最大300Nmというトルクに対しても、トラクション能力が不足という印象はまず感じることはないし、それを証明するかのようにトラクションコントロールシステムが介入するシーンも稀なもの。ただし、それが成り立つのは「乾燥した舗装路上では」という注釈の下であることは付け加えておきたい。ひとたび雨、または積雪路面となったり、ダート路面に踏み込んだりすれば、そこではやはりクワトロシステムによって4輪がガッチリとスクラムを組んだA4のトラクション能力が圧倒的な強みを演じるし、今回の2台でも高速走行時によりリラックスした走りを味わわせてくれたのは、やはりA4の方だった。

走りの質感を求めて凝った足回りを設定
サスペンションシステムは、アウディ A4が4輪ともに一種のダブルウィッシュボーンタイプ。一方のBMW 3シリーズはフロントがストラット式で、リアがダブルウィッシュボーンを形成する5リンク式と、形式的には比べれば特にフロント側がよりシンプルなデザインであるのが特徴だ。

ここには、両者のフロントサスンションに掛かる荷重の大小が大きく関係をしていると推察できる。A4 3.2クワトロの前軸荷重は1トン超。一方、330iのそれは780kgほどと、比べれば実に200kg以上もA4の負担が大きい。この差がA4に「より凝ったフロントの足回りを要求した」とも考えられるし、FFベースながらライバルFR勢に負けない走りの質感にこだわったアウディが、「敢えてこだわりの足を採用した」とも想像できる。

事実、A4は高速時のフラット感の高さではヒケをとらない一方、タウンスピードではむしろしなやかな印象。ただし、比べるとサスペンションが路面凹凸を拾うことによるフロア振動が常にある程度感じられるのが、A4のちょっと惜しい点だ。

完全ニューモデルのBMW3シリーズが、ケース剛性の高いランフラットタイヤを履いてもそれに決して負けることのないボディ剛性感を演じていることを思うと、新型を謳うアウディA4にも「サスペンションの素性の良さをさらに生かすのであれば、よりしっかり感の高いボディが欲しい」というのがぼくの本音だ。

ともに電子制御式の6速AT、新しいミッションを模索?
電子制御式の6速ATというスペックが共通するトランスミッションは、確かにその出来栄えは双方甲乙をつけがたい。ただし、こうしたトルコン式ATとエンジンとのマッチングという観点では、個人的には「A4の方がやや上」とも感じられる。

330iが特別な問題を抱えるというわけではない。が、よりメリハリの効いたパワーフィールの持ち主であるBMWの新しい3Lの心臓には、トルコンスリップから訣別できるMT、もしくは2ペダルMTのSMGとの組み合わせの方が、その美点をより生かしきることができるのではと想像される。

ちなみにアウディでは、A3などパワーパック横置きモデル用にはDSGなる最先端のトランスミッションを設定。縦置きパワーパック車にはトルコンATとともにFFモデル用のマルチトロニックと呼ばれるCVT方式が混在し、ひとつのメーカーがまったく異なる3タイプの2ペダルトランスミッションを採用するという複雑な状況を生み出している。

これを、様々な車種に最適なユニットをあてがう「複眼の思想」と見るか、それとも単なる技術進歩の1つの中間過程に過ぎないと見るかは議論の分かれるところだろう。ただし、この件に関して、今でもアウディから明確な将来的ビジョンの声が聞かれないのは、少々気になるポイントだ。

ところで今回の両車の例からも明らかなように、手法は異なっても「これからのガソリンエンジンは直噴方式が主流」という考え方では、アウディもBMWも共通しているようだ。さらに、BMWがバルブトロニックなるスロットルバルブレス技術にまで踏み込んだところは、やはり「エンジン屋の意地」ということでもあろう。

こう見てくると、以前よりは目立たなくなったとは言え、現在でもアウディ独自の技術的フィロソフィは色濃く残っている。それらが巧みにバランスして、メルセデス・ベンツやBMWのFR勢に迫る走りの質感を実現させているのだ。(文:河村康彦/Motor Magazine 2005年7月号より)

ヒットの法則のバックナンバー

アウディ A4 3.2 FSI クワトロ(2005年)主要諸元
●全長×全幅×全高:4585×1770×1430mm
●ホイールベース:2645mm
●車両重量:1660kg
●エンジン:V6DOHC
●排気量:3122cc
●最高出力:255ps/6500rpm
●最大トルク:330Nm/3250rpm
●トランスミッション:6速AT
●駆動方式:4WD
●車両価格:613万円(2005年当時)

BMW 330i(2005年)主要諸元
●全長×全幅×全高:4525×1815×1440mm
●ホイールベース:2760mm
●車両重量:1550kg
●エンジン:直6DOHC
●排気量:2996cc
●最高出力:258ps/6600rpm
●最大トルク:300Nm/2500-4000rpm
●トランスミッション:6速AT
●駆動方式:FR
●車両価格:625万円(2005年当時)

[ アルバム : アウディ A4 3.2 FSI クワトロとBMW 330i はオリジナルサイトでご覧ください ]

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(Webモーターマガジン Motor Magazine編集部)

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