「みごとな出来映え!」と、思わず声をあげたくなるのが、独アルピナが手がけた「D3ビターボ リムジン」。3.0リッター直列6気筒ディーゼルターボ・エンジンを搭載するモデルだ。絶妙なチューニングは、まさに“工芸品”とも言うべきレベルである。
スムーズなエンジンは大きな魅力だ。もし、ショールームで試乗したら、おそらく最初の10mだけで、「このクルマはまったく違う!」と、思うはず。その印象はおそらく、そのあと何百km、何千km走っても、変わらないだろう。
【主要諸元】全長×全幅×全高:4645mm×1810mm×1445mm、ホイールベース:2810mm、車両重量:1660kg、乗車定員:5名、エンジン:2992cc直列6気筒DOHCディーゼルターボ(350ps/4000rpm、700Nm/1500~3000rpm)、トランスミッション8AT、駆動方式:RWD、タイヤサイズ:フロント245/35ZR19、リア265/35ZR19、価格:1050万円(OP含まず)。H.Mochizuki試乗車のボディカラー「アルピナ・グリーン」は40万7000円のオプション。H.Mochizukiタイヤサイズはフロント245/35ZR19、リア265/35ZR19。H.Mochizuki日本仕様のアルピナ・モデルは、専用デカールが標準。D3 ビターボ リムジンは、BMW「3シリーズ」のセダンをもとにアルピナがチューニングを施したモデルだ。BMWが設計した直列6気筒ディーゼルターボ・エンジンは、もともとパワフルで、気持よくトルクが湧き出す名エンジンである。そのよさをアルピナは引き継いだうえ、洗練度合いをはるかに高めている。
アルピナは1970年代にBMW用のチューニング・キットを販売したのがきっかけで、BMWとの関係が生まれた。いまではBMWからのメーカー認証を与えられている。BMWの正規ディーラーでも購入可能だ。
ボディサイズは全長×全幅×全高:4645mm×1810mm×1445mm。H.Mochizukiアクラポビッチ社製「アルピナ エキゾースト・システム」を搭載。H.Mochizuki直列6気筒ディーゼルターボ・エンジンを搭載した先代3シリーズ(F30型)は日本には導入されなかったので、パワフルなこのディーゼル・エンジンと比較的コンパクトなボディを持つ3シリーズの組み合わせを求めていた人にとって、D3ビターボは最適なモデルのはずだ。
それだけの理由でD3 ビターボを購入しても、もちろん、かまわない。理由はともあれ、このクルマを手に入れたひとは幸せだ。エンジンの動きのじゃまになるフリクションはほとんどない。ふつうのエンジンを“麻布”の手触りにたとえるとしたら、D3 ビターボ リムジンのエンジンはまさに“絹”のようなスムーズさだ。
セダン以外にステーションワゴンの「ツーリング」も選べる。コンフォートモードでも十分BMW本社から約100km離れた町の工場で、熟練した作業員が、BMWから送られてきたピストンの重さやバランスを1本ずつ丁寧に測ったうえで、エンジンを組み上げていくという。
最近では、“クラフツマン・シップ”の神話も手垢がついてきたかんじで、「アルピナの話も眉つばもの……」と、思ってしまうかもしれない。しかし、走りだした途端、「うたがってごめんなさい!」と、おもわず言うはずだ。
静止状態から100km/hまでに要する時間は4.6秒。H.Mochizuki搭載するエンジンは2992cc直列6気筒DOHCディーゼルターボ(350ps/4000rpm、700Nm/1500~3000rpm)。トランスミッションは8AT。エンジンはレッドゾーン近くまで気持ちよく吹け上がっていく。アクセルペダルの踏み込みに瞬時に応え、回転が上がっていく快感がある。
今回はD3 ビターボ リムジンで、富士スピードウェイを走る幸運にもめぐまれた。「走るときはやっぱりスポーツモードかな」と、思いきや、インストラクターを務めていた自動車ジャーナリストの菰田潔さんは「コンフォートモードで充分。驚くから」と、話す。
そこでコンフォートモード、かつDレンジのまま走りだしたら、まさに菰田さんの言葉どおりだった。直列6気筒ディーゼルターボ・エンジンのすべてを味わいつくすドライブが楽しめた。
最高速度は276km/h。H.Mochizuki走行モードの切り替えスウィッチは、センターコンソールにある。ステアリング・ホイールはアルピナ専用デザイン。ステアリング・ホイールはスウィッチタイプのパドルシフト付き。メーターパネルもアルピナ専用デザイン。トルクバンドは1500rpm~3000rpmと、比較的下のほうに設定されている。搭載される8速オートマチック・トランスミッションは、そこをうまく使う。どこから踏んでも瞬時に力が出るし、コース最後でタイトコーナーが連続するセクションでも息切れしない。そこをサーっとこなし、最終コーナーからストレートへ飛び出していける。
おもしろかったのは、ストレートを走るほかのD3 ビターボ リムジンを見ていると、走行音がやたら静かだったこと。そこに驚いた。ちなみに、足まわりは基本的にBMWのものを流用するが、ダンパーの減衰力などはアルピナ専用のチューニングが施されているという。
JC08モード燃費は17.0km/L。H.Mochizukiダッシュボード下部には、シリアルプレートが装着される。7シリーズとの比較もアリアルピナとBMWのMモデル、どちらがいいか? と、ショールームで顧客に尋ねられるとき、「Mモデルは一般道も走れるサーキット・モデルですが、アルピナは、一般道での快適性を主眼にしたうえでサーキットも走れるモデルに仕上がっています、と、答えます」と、アルピナの輸入代理店を約40年間続けてきたニコル・オートモビルの担当者は話す。
たしかに、一般道でのふだん使いだけで幸福な気分にさせてくれるという点で、D3 ビターボは魅力的だ。
右ハンドル仕様は29万円のオプション。ダッシュボードのウッドパネルは、アルピナのロゴ入り。レザーシートはスポーツタイプ。シートは、アルピナのロゴ入り。リアシートの居住性は、もとになる3シリーズと変わらない。バックレストは40:20:40の分割可倒式。ラゲッジルーム容量は通常時480リッター。燃費は良好だった。今回の試乗会で東京都内~静岡県御殿場市を往復した結果は18km/L。高速道路主体だったが、ハイパフォーマンス・モデルとしては驚異的な数値だ。
現在、日本におけるBMW車で3.0リッター直列6気筒ディーゼルターボ・エンジンを搭載するセダンは「740d xDrive Luxury」のみである。こちらは1226万円である。それに対し、D3ビターボ リムジンセダンは1050万円だ。
740dと基本的におなじディーゼルエンジンを搭載するものの、2台のキャラクターは大きく異なる。7シリーズと3シリーズを比べるのは、ボディサイズや快適装備が異なるためナンセンスかもしれないが、自らハンドルを握るオウナードライバーは、比較しても良いと思う。
文・小川フミオ 写真・望月浩彦
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