スタッドレスタイヤの適正な空気圧とは?
今や冬装備の大定番となったのがスタッドレスタイヤです。よく議論されているのがスタッドレスタイヤに交換した際の空気圧の話です。スタッドレスタイヤは空気圧が低い方がいいといった話や、いやいや空気圧が高い方がよりグリップしやすいという話が聞かれてきます。果たして何が正解なのでしょうか?それを知るにはタイヤのメカニズムから知る必要があります。
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車重を支えているのは空気です
多くのクルマの足元には4本のタイヤが付いていて、そのタイヤが路面に接地しています。タイヤ以外の部分でクルマに接地しているところはありません。つまりタイヤがクルマの重量すべてを支えているのです。車検証を見ると「前前軸重」や「後後軸重」という項目に重量が記載されています。「前前」や「後後」と書かれているのは4軸車(8輪車など)にも対応しているからで、普通のクルマの車検証では「前後軸重」や「後前軸重」は空欄になっています。
もし「前前軸重」が800kgとなっていたら平坦な場所に置いたときに前輪の片側のタイヤには400kgの荷重がかかっていると考えていいでしょう。もちろんエンジンの搭載位置などによって、左右にかかる荷重は変わります。実際に走っている際にブレーキをかければ、多くの荷重がフロントにかかりますので、その荷重ははるかに大きなものになります。
その荷重を支えているのはタイヤだと思われがちですが、じつはタイヤではなく、タイヤの中に入っている空気なのです。ですから、タイヤから空気が抜けてしまえばタイヤはぺちゃんこになってしまいます。この事実を考えれば、答えはおのずと出てきます。
空気圧を変更するという話はどこから発生したか?
たとえばフカフカの新雪では空気圧を少し下げた方がグリップが上がる可能性がありますし、ツルツルの氷上では空気圧を少し上げた方がグリップすることもあります。しかし、これらはあくまでも可能性であり、確実なものではないのです。タイヤの状態(減り具合)などにもよっても違います。
こうした空気圧を変更することでグリップを稼ぐというのは、非常に特殊な状況で使われるテクニックです。たとえば、ラリーのスペシャルステージなどでは有効かもしれません。サーキットで使う特殊なテクニックと同じと考えていいでしょう。
そうしたことを行うにはそれなりの準備やドライバーのスキルが必要ですので、基本的には基準値にしておくのが一番なのです。そこまで空気圧を気にするのであれば(そもそも空気圧に無関心な人が多すぎるのも現実です)、朝乗り出す前に空気圧をチェックして合わせたほうが有効でしょう。スローパンクチャーなども発見できます。
タイヤ空気圧は規定通りでいい
つまり正しくクルマを支えるためには正しい空気圧が必要なわけです。その正しい空気圧とは、メーカーが指定する空気圧です。空気圧が低ければ正しく荷重を支えられませんし、逆に高ければ必要な乗り心地などを得ることができません。スタッドレスタイヤは雪や氷の上でも普通のタイヤのように使えるように設計されていて、その目的を果たすためには規定の空気圧に合わせる必要があるのです。
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