スーパーカーといえばエンジンはミッドシップ…と思われがちだが、コンベンショナルなFR(フロントエンジン リアドライブ)を採用しているモデルも、1960年代から21世紀の現代まで数多く存在する。そこで、FRならではの美しい佇まいも備えたスーパースポーツカーを紹介する連載企画をお届けしよう。
MERCEDESーAMG GT:メルセデスAMG GT(2014-)
アウフレヒトとメルヒャーが、1967年にグロース アスバッハで創業したレース用エンジン設計会社は、その頭文字からAMGという社名になったというのは、クルマ好きには有名な話だ。その後、メルセデスのスペシャルモデルを造り続けていたAMGは1999年にダイムラー・クライスラー(当時)に吸収され、2014年からはマイバッハなどとともにメルセデス・ベンツのサブブランドのひとつとなっている。
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そんなAMGは、2003年にSLRマクラーレン、2009年にはSLS AMGと21世紀に入ってからスーパースポーツモデルを送り出してきたが、このAMG GTはSLS AMGの後継モデルにあたり、初めて「メルセデスAMG」というブランドで独自に販売されるモデルとなった。
前回ここで紹介した往年の名車300SLを彷彿とさせるガルウイングドアを採用していたSLSよりポピュラー化して、サイズはひとまわり小さくなっている。ドアも普通のスイングドアを採用した2シーターのクーペだが、リアゲートを備えたラゲッジスペースはスポーツカーとしては十分に広い。
フロントに搭載されるV8エンジンも、SLSの6.2Lに対して4Lと小排気量化されている。ただしツインターボによりベースモデルでも462psを発し、高出力仕様のGT Sだと510ps、さらにGT Rでは585psに達する。ドライサンプであるうえに、エンジン本体をバルクヘッド側に寄せたフロントミッドシップ搭載とトランクスアクスルにより、前後重量配分は47:53を実現している。
組み合わされるミッションは、7速のAMGスピードシフトDCT。ボディの基本骨格は90%以上にアルミニウムを採用し、一部にマグネシウムも用いたアルミスペースフレームで、車両重量は抑えられている。日本のスーパーGTのGT300クラスをはじめ、世界中のレースシーンでも活躍する、サーキット直結的な硬派のリアルFRスポーツといえる。
2017年に、フロントグリルがアグレッシブな「パナメリカーナ グリル」になるなど内外装を変更し、エンジンスペックも向上。オープントップのロードスターも追加設定された。2019年には4ドアクーペも追加設定されるなど、AMG GTはまだ進化を続けている。(写真:小平 寛ほか)
メルセデスAMG GT S 主要諸元
●全長×全幅×全高:4550×1940×1290mm
●ホイールベース:2630mm
●車重:1660kg
●エンジン形式・排気量:V8 DOHCツインターボ・3982cc
●最高出力:375kW<510ps>/6250rpm
●最大トルク:650Nm<66.3kgm>/1750-4750rpm
●燃料タンク容量:75L
●トランスミッション:7速DCT
●タイヤサイズ:前265/35R19、後295/30R19
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