昭和は遠くなりにけり…だが、昭和生まれの国産スポーティカーは、日本だけでなく世界的にもブームとなっている。そんな昭和の名車たちを時系列で紹介していこう。今回は、昭和55年発売のマツダ ファミリアだ。
ボーイズレーサーのブームは、このファミリアから始まった
マツダ ファミリアハッチバック 1500XG:昭和55年(1980年)6月発売
ファミリア1500XGは、1970年代まで若者向きのクルマといえばFRのクーペというイメージだったのを、FFのハッチバックへ転換させたクルマといえる。登場したのは昭和55年(1980年)の6月だ。マツダ(当時は東洋工業)は、1977年にFRながらハッチバックのファミリアを投入し市場基盤を作っていた。ただ時代はFFが主流となりつつあった
。
FRの場合、室内をプロペラシャフトが貫通するため、どうしてもスペース効率が悪い。FFにすれば、ボンネットの中だけでパワートレーンが完結するために、室内スペースが広く取れることはわかっていたが、そのためにはコンパクトなエンジンやフロントドライブシャフトの等速ジョイントの性能向上が必要だ。
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そうした問題も1980年代になると、技術的進歩から解決できた。さらにコンパクトさは当時の潮流ともいえる省燃費に通じることから積極的に採用され、その流れに乗ったファミリアXGはFFハッチバックの代表的存在となり、ブームともいえる時代を作った。
1500XGに搭載されるエンジンは、FF用に新開発したE5型と呼ばれるものだ。水冷直列4気筒SOHCで、V字配列のバルブ、クロスフローポート、多球形燃焼室を採用。当時からマツダのエンジンでは定評のあった低・中速域での太いトルクに加え、高速域でも伸びを感じさせるもの。スポーティエンジンとまではいえないものの、スペック以上の実用性を感じさせるものだった。
サスペンションは、マクファーソンストラット式を用いた4輪独立懸架。フロントは、ボディ側に2点で支持されるA型ロアアームを採用した。リアサスペンションは、マツダ独自開発の「SSサスペンション」と呼ばれ、直進安定性およびコーナリング性能を高めている。ステアリングも、ダイレクト感の高いラック&ピニオンを採用しているだけでなく、最小回転半径を4.6mとするなど、取り回しの良さも特徴だった。
エクステリアに関しては、ファッショナブルな2ドアハッチバックとして、絶大な人気を得たといえる。全体的に直線基調で、スラントノーズとすることでウエッジシェイプにし、サイドビューはベルトラインを低くして安定感を演出していた。ハッチバックは後部扉が大きく開閉するもので、当時クラス最大を誇った。リアハッチのガラスが大きく後方視界が良い点もビギナードライバーなどに支持された。
走りに関してはパワーこそそこそこだが、操縦性にすぐれていたために、ワンメイクレースが行われたり、ダートトライアルでも活躍する姿が見られた。当時のダートトライアルのトップドライバーの言葉を借りると「どうにでもコントロールできる」というほど。当時のFF車の癖を上手に抑えたのは、走りにこだわるマツダの真骨頂といえる部分だ。
このファミリアは第1回日本カー・オブ・ザ・イヤー(1980-1981)を受賞。販売も爆発的といえるもので、当時絶対的な存在だったカローラの販売台数を超える月もあり、マツダの屋台骨を支える存在となった。
ファミリア 1500XG 主要諸元
●全長×全幅×全高:3955×1630×1375mm
●ホイールベース:2365mm
●重量:820kg
●エンジン型式・種類:E5型・直4 SOHC
●排気量:1490cc
●最高出力:85ps/5500rpm
●最大トルク:12.3kgm/3500rpm
●トランスミッション:5速MT
●タイヤサイズ:175/70SR13
●価格:103万8000円
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