■かつては右ハンドル/左側通行は少数派ではなかった
日本は、道路交通法により左側通行と決められており、クルマは左側通行に適した右ハンドルが主流です。
GT-Rや軽まで… 右ハン禁止の北米でなぜか「右ハンドルの日本車」が人気急上昇のワケとは
しかし、世界的に見れば、日本と同じ左側通行/右ハンドルを採用する国は全体の約3割で、欧州ではイギリスを含むわずか4カ国のみ。アジアではインド周辺、アフリカでは南部の一部、豪州では概ね左側通行です。
左側通行と右側通行の国が存在するのは、なぜなのでしょうか。
現在は右側通行の欧州でも、中世以前は左側を歩いていたといわれています。9割の人が右利きであることから、道で盗賊や敵などに襲われたときに右手で武器を持って戦うためといわれています。
ところがフランスの皇帝ナポレオンが、すでにフランスで施行していた右側通行を支配下の欧州各国に浸透させました。その理由は、「ナポレオンが左利きだったから」「戦術の変更」「剣から銃に武器が移行したこと」などといわれています。
日本が左側通行になったのは、明治時代より前のことです。日本では、武士が刀を左に差しており、刀の鞘が歩行中に対向する歩行者に当たって刃傷沙汰にならないように、また、文明開化の際に影響を受けたイギリスに倣ったなどといわれていますが、江戸時代は右側通行だったという解釈もあるようです。
日本で左側通行の明文化が行われたのは、1881年(明治14年)の「警視庁通達」で、1900年(明治33年)には警視庁が制定した「道路取締規則」で正式に規定されています。しかしこれは東京のみとされ、1920年(大正9年)に全国で施行される「道路取締令」が制定され、全国にルールを広めていきました。
なお、「クルマは左、歩行者は右」という規則になったのは、1949年(昭和24年)施行の「改正道路交通取締法」以降です。
現在、日本で販売される国産車のハンドルは、右側に配置しています。日本と同じ左側通行のイギリス車のハンドルは右、右側通行のドイツ車やフランス車、イタリア車、アメリカ車などのハンドルは左にあり、その国が右/左のどちらを通行するかによってハンドルの位置が決まっています。
日本で右側通行の国のクルマを輸入する場合、かつては左ハンドルのクルマが上陸していましたが、昨今では多くの輸入車が日本の道路事情に合わせた右ハンドル仕様になっています。
しかし、欧米、とくにアメリカ車で右ハンドル車が導入された歴史は浅く、欧州車も1980年代から90年代では左ハンドルが日本に輸入されるのが当たり前でした。
■左ハンドル車のメリット・デメリットとは
日本でクルマを運転するには、右ハンドル車の方が便利です。では、日本で左ハンドル車に乗るメリットは、どのようなところにあるのでしょうか。
まず挙げられるのは、クルマを左側に寄せやすい、狭い道ですれ違いやすいという点です。
最近のクルマは車幅も広く、車道の左側に寄せるのが難しいことがあります。左ハンドル車の場合はミラーやタイヤがガードレールや縁石などに当たらないかを確認しやすいので、路肩に寄せやすいのです。
同様の理由で、狭い道でも左いっぱいに思い切り寄せられるため、幅が極端に広いクルマでなければ、すれ違いの際に右側のことをあまり気にしないで走ることができます。
また、左側のドアから乗り降りするので、右後方から来るクルマを気にしなくても良いです。ただし、運転席のドアを開ける際は、クルマの左側を通る自転車や歩行者などには注意しなくてはいけません。
さらに、現在ではこの要素はかなり薄まりましたが、以前は、輸入車を買うことがクルマ選びの選択肢に入りにくい時代だったため、「左ハンドル=憧れの輸入車」という図式があり、クルマの大小に関わらず大きなステイタスだったことがありました。
いまでも「本国仕様に近いクルマに乗りたい」というこだわりのあるユーザーにとって、左ハンドル車は必須のアイテムといえます。
そして、大きなメリットとして考えられるのは、欧米のクルマの場合、左ハンドル車が本来の設計なので無理がないということです。
最近のモデルでは、左ハンドル車を右ハンドル仕様に変更したときの弊害は改善されていますが、左ハンドルがクルマの本来であるため、完全に右ハンドルに対応できているわけではありません。
以前は、オートマチックシフトノブのインジケーターが左側についたままだったり、ワイパーの支点が左ハンドル用から変更されていなくて払拭面が狭かったりするなど、メーカーによってはハンドル位置を右に変えただけということがあったため、左ハンドルそのままの方が良かったということもありました。
一方で、日本で左ハンドル車に乗るデメリットもあります。
もっとも注意しなければならないこととして、右折や追い越しが危ないということがあげられます。右折する対向車がいる場合、直進してくるクルマを確認することが難しいことが多いのです。
さらに、日本の高速道路や有料道路では、一部を除いて右側に合流していくため、左ハンドル車では合流が少々難しいと感じます。一般道などでも、右レーンに車線変更するときに、右後方が見えづらいため注意が必要です。
意外なことに、カーブミラーが微妙に見えないということです。左ハンドル車に乗ってみないとわからないかもしれませんが、カーブミラーが右ハンドル車に合わせて設置されているため、絶妙な角度でクルマが見えなかったりします。
また、最近の高速道路はETCが普及しているので問題ありませんが、ゲート式のコインパーキングや、商業施設の駐車場では、左ハンドルに対応していないところも多いです。その場合、一旦降りてチケットを取ったり料金を支払いをしなければならないことも、不便に感じるポイントでしょう。
※ ※ ※
安全面や利便性を考えれば、左ハンドル車にはデメリットが多く感じられますが、慣れてしまえば乗りにくいことはありません。
欲しいクルマに左ハンドル仕様しかない場合もあったり、左ハンドル車に乗ることで感じられる嬉しさや喜びがあることも事実です。
しかし、日本では右ハンドル車が合っていることは間違いありません。初心者や左ハンドル車にこだわりがない人は、右ハンドル車をオススメします。
複数社の査定額を比較して愛車の最高額を調べよう!
愛車を賢く売却して、購入資金にしませんか?
複数社の査定額を比較して愛車の最高額を調べよう!
愛車を賢く売却して、購入資金にしませんか?
愛車管理はマイカーページで!
登録してお得なクーポンを獲得しよう
全長3.4mでも「7人乗り」!? 大人4名で「車中泊」も可能! 斬新すぎる“超狭小”ミニバン「ドミンゴ」が凄い!
全長3m級で470万円!? 「小さな超高級車」がスゴかった! “匠”が仕上げた「豪華すぎ内装」採用! 日本でも販売した「老舗ブランド」の激レア車とは
子育て世帯に最適なクルマとは? 「ミニバン買おう」「やっぱり軽自動車」より遥かに大事なことがあるんです
出た~~!大型連休に大量出没「サンデードライバー」の困った行動とは 「周囲の怒り」食らわないために守るべき「運転時の当たり前」
全長4.2m! スズキの斬新「コンパクト“3列”ミニバン」! クラッチレス“MT”×ハイブリッド採用!? 全ドア「スライドドア」の「エアトライサー」とは
みんなのコメント
この記事にはまだコメントがありません。
この記事に対するあなたの意見や感想を投稿しませんか?