クルマ好きからの人気が高いスバルとマツダ。
【個性派メーカー2社の強み弱みが見えてくる!?】 マツダvsスバル 現行車対決 3選では、マツダ・スバルの同ジャンルモデルの対決を通して、両社が守ってきたもの、培い進化してきたものを浮き彫りにしてみた。
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今回はパワーユニット対決だ。
スバルなら「EJ20系」「水平対向エンジン」、マツダなら「SKYACTIV」「クリーンディーゼル」(そしてやはり「ロータリーエンジン」だろう)…といったキーワードが頭に浮かぶことと思うが、今回はガソリンNA(自然吸気)、ターボ、HV/ディーゼル 3つのカテゴリーで両社を比較、その技術と現在地を追ってみた。
※本稿は2019年6月のものです
文:鈴木直也/写真:ベストカー編集部
初出:『ベストカー』 2019年7月26日号
■ガソリンNA
基本となるNAガソリンエンジンには、両社のエンジンに対する基本的な考え方がストレートに出る。
現代の技術トレンドは燃費最優先だから水平対向は構造的に不利。FA/FB系は水平対向としては異例のロングストローク型を採用したが、それでも燃費面ではライバルの後塵を拝することが多い。
●FA/FB型
BRZだけでなく、新型フォレスターなどにNAエンジンを採用するスバル。しかし燃費性能はかなり厳しい
マツダは常識はずれの高圧縮比を採用するなど徹底して熱効率を追求した設計コンセプトが売り。さらに、排気効率を狙った4-2-1エキゾーストなど、充填効率を高めるユニークな取り組みも注目される。
●SKYACTIV-G
ロードスターとデミオに搭載された1.5L直4NAエンジン。ほかのモデルには2Lと2.5Lの物を搭載
実際の走りっぷりについては、それぞれ一長一短で好みが分かれる。高回転域までスムーズに回る気持ちよさでは、スバルの水平対向がややリード。一方マツダのSKYACTIVは中速トルクに豊かな厚みがある。
日常的なドライバビリティにおいてレスポンスのよさを感じるのはマツダだが、これは組み合わされるミッションの違い(スバルはCVT、マツダは6AT)も影響している。
マツダ デミオ
燃費効率はさておき、エンジンの魅力を引き出すという意味では、ステップATのほうがクルマ好きの感性にフィットしている。
今後厳しくなるいっぽうの燃費規制を考えると、NAガソリンはマツダの勝ち。スバルの水平対向エンジンには、さらなる熱効率アップが望まれる。
スバル BRZ
■ガソリンターボ
ガソリンターボに関しては、スバルは明確にスポーツ志向。最近主流のダウンサイズターボとは一線を画したユニークな品揃えが特徴だ。
まず、WRX STIに搭載されるEJ20系は、初代から数えると30年目の古参兵だが、いまだにスポーツエンジンとしてはスバルのフラッグシップ。
スバル WRX STI
ランエボ亡き今、こういう古典的なスポーツエンジンを6MTで走らせるのはWRX STIだけだ。貴重な絶滅危惧種といっていい。
●FA/FB型、EJ型
EJ20型を筆頭に、ターボエンジンを得意とするスバル。高揚感という面ではライバルに勝る
EJ20を補完すべく登場したFA20DIT型は、ロングストローク型で完全新設計された直噴ターボ。こちらも300ps/40.8kgmと強力だが、現時点でミッションはCVTのみの設定。ユーザー層の裾野を広げたのはいいが、硬派のスバル党としては物足りないという声もある。
マツダのガソリンターボは、北米向けに開発された2.5Lターボがようやく日本市場にもデビュー。CX-5とCX-8で選べるようになった。
CX-5とともに2018年10月から「SKYACTIV-G 2.5」「SKYACTIV-G 2.5T」搭載車が登場したCX-8
このエンジンは、もともと北米向けの3.7L V6を代替するためのダウンサイズターボで、超フラットなトルク特性からもわかるとおり実用志向のエンジン。
●SKYACTIV-G
さきのマイチェンでCX-5が搭載した2.5L直4ガソリンターボ。マツダの傾向は全般的に実用志向だ
低中速からグワッと盛り上がるトルク感は素晴らしいが、トップエンドでの頭打ちも早く、回して爽快感のあるタイプのエンジンではない。ターボに関してはスバルのほうが気合いが入っていて頼もしい
■ハイブリッド vs ディーゼル
XVとフォレスターに用意されるe-BOXERは、モーター出力10kWというスペックからわかるとおり、ハイブリッドとしては簡易型。加速アシストも減速エネルギー回生もマイルドなもので、その結果として燃費メリットもさほど大きくない。
XVとフォレスターに搭載されるe-BOXER。水平対向エンジンと無段変速のリニアトロニック・トランスミッションの間にモーターを組み込み、その両方を動力として走行に使うパラレル式のハイブリッドシステムだ
ただ、素の2L NAに比べると、レスポンスのいいドライバビリティやスムーズな回転フィールなど、より上質なエンジンという満足感があり、燃費よりむしろ官能性能の面で存在意義がある。
マツダのディーゼルは、2.2Lはターボディーゼルならではの重厚なトルク感が魅力で、スポーツエンジンと評価してもいいくらいパワフル。しかも、こちらは燃費メリットも確かで、CX-5で17~20km/Lが期待できる。
マツダ CX-3
もうひとつの1.5L/1.8Lディーゼルは、コストダウンでシングルターボとなっていることもあり、低速からの加速でややもたつくケースがあるのが欠点。ただ、デミオやCX-3など比較的軽めの車種が搭載されていることで、その欠点をうまくカバーしている。
豊富な車種ラインナップや優れた燃費性能など、ディーゼルはマツダ車にとって大きな魅力。これに対抗するには、スバルも北米専用のストロングハイブリッドを日本に持ってくる必要がある。
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