同じクルマに長く乗ると税金が高くなるのは日本特有なのか?
「私のクルマ、次の車検で13年目だから乗り換えようかな?」なんて話を聞いたことがある人も多いでしょう。多くのクルマは初度登録から13年を迎えると税金が高くなる制度となっています。こんなことをしているのは日本だけなのでしょうか? またなんでこんなことをするのでしょうか?
初めてのマイカー購入、その前に知っておきたい、クルマにまつわる税金のお話し
最新のクルマを普及させるための手段
古いクルマの税金を高くするなどして買い換え促進をする政策をスクラップインセンティブと呼びます。2007年にフランス政府が始めたことで注目を浴び、各国に波紋を広げていきました。もっとも重要視されている目的は、環境性能や安全性能の低い古いクルマからそうした性能が高い最新のクルマへと買い換えをすることで、社会全体として安全性や環境性能を底上げしようというものです。
みなさん、クルマを買うときにグリーン税制とか軽減税率とかで喜んでいますが、その裏返しとしてこの税金アップが存在しているのです。何もなくて、税金が安くなるだけ……というような状況はまず存在しないと思いましょう。
古いクルマを守る制度は日本にはない
ドイツにもスクラップインセンティブの制度がありますが、それと同時に古いクルマを守る制度もあります。製造から30年以上のクルマで一定の条件を満たすと“Hナンバー”というものが与えられ、減税が行われるというのです。Hはヒストリックを意味します。日本にはこうした制度もありませんし、自動車メーカーが展示用や資料として古いクルマやショーカーを保存していると、資産として課税されるという実にばかばかしいことが行われています。
新しいクルマと古いクルマのバランスが大事
日本ではまだまだ政府や行政に対して「お上」という意識があり、それにたてつくのは悪いと思っている傾向があります。しかしこの状態を続けていれば、いつも 高い税金を払わされるのはユーザーです。
この制度があまり問題視されないひとつの問題は、自動車メーカーにとっては新車が売れやすいというメリットがあることです。新車が売れればそれにともなったさまざまな産業が潤いますから、自動車メーカーは税金が高くなるほうについては言及しません。
新しいクルマに乗り換えれば、エネルギーの使用量は減るかも知れませんが、新しいクルマを作るためのエネルギーは必要なのです。そして、文化という面で考えれば、古いクルマの存在は重要です。そうしたことのバランスを考えることがもっとも必要なのではないでしょうか。
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