■トヨタがクルマの電動化を猛追、他社にはできないスピードでシェア世界一を目指す
2019年6月7日、トヨタは未来に向けたクルマの電動化への取り組みとロードマップの進行状況をメディア向けに発表しました。
説明会には取締役・副社長の寺師茂樹氏らが出席し、車両の開発、電池の安定的供給や耐久性能の向上、使用後のリユースなどへの備えのほか、新しいビジネスモデルを発表し、現在の進行状況などを公開しました。
今回の発表があった前日の2019年6月6日、トヨタとスバルは、EV(電気自動車)専用のプラットフォームと、SUVモデルのEVを共同で開発することに合意したと発表しています。
共同開発されたクルマは各々のブランドにて販売される予定ですが、そのなかでも、とくに対応が急がれるコネクティッド、自動運転化、シェアリング、電動化といったCASE領域のなかの「E:電動化」への新たな協業に合意した発表でした。
トヨタは、EV車やPHEV車のパイオニアともいえる自動車会社ですが、EV車(100%電気自動車)については他社に遅れをとっているように見えていましたが、トヨタとスバルは今後、中・大型乗用車向けのEV専用プラットフォームと、CセグメントクラスのEV-SUVを共同で開発します。
トヨタでは、モーター、バッテリー、パワーコントロールユニットの3つを「電動化コア技術」と呼んでいます。それらに固有のユニットを加えることで、FCV、EV、PHV、HVといったさまざまな電動車両になります。
そして、そこに自動運転の技術やコネクティッドの技術が加わることで、MaaS(モビリティ・アズ・ア・サービス)をはじめとする次世代のモビリティサービスになります。
トヨタは、コアとなる技術を開発し、完成車の提供だけにこだわらず、システムや技術の提供など、さまざまな形で社会に貢献していくとしており、単なる自動車会社ではなく、「移動」に関するすべてを創造する「モビリティ・カンパニー」へ変わっていくと宣言しました。
2017年に発表した電動車の普及ペースでは、2030年にはHV・PHV車を全世界で450万台以上、EV・FCV車を100万台以上と発表しましたが、今回の発表で「計画を約5年上回る2025年には目標を達成できそうだ」としています。
また、電動車両のうち走行中にCO2を排出しない「ゼロエミッション・ヴィークル」についても、すでにさまざまな取り組みが進んでいるとのことです。電動車両は、トヨタが「歩行領域」と呼ぶものから2人乗りの超小型モビリティまで幅広く開発しており、世界各地で実証実験をおこなっているとのことです。
電動車両を普及させるためには、電気エネルギーを蓄積させるためのバッテリーが必要不可欠です。トヨタは、従来からのパートナーである「パナソニック」「PEVE」に加え、「CATL」「BYD」「GS YUASA」「TOSHIBA」など世界の電池メーカーと協力し、電動車の急速な普及に対応していくとしています。
これらの企業と協業することで、世界トップレベルの電池耐久性を実現し、リユース、リサイクルなどはもちろん、クルマ以外でも使える電池とすることで新たなビジネスモデルを構築していく予定です。
説明会の場で、取締役・副社長の寺師茂樹氏は以下のようにコメントしています。
「私たちトヨタは、Co2排出量を2050年には、2010年に比べて90%削減することを目標としています。そのためにはゼロエミッションヴィークルの普及は急務であり、バッテリーの安定供給が必須ですが、その点についても新たなパートナーとタッグを組むことによって解決してまいります。
トヨタは他社よりも電動化に遅れをとっていると一部でささやかれているようですが、それは全くの誤解です。むしろ、私たちが2017年に示したロードマップよりも早い速度で進んでいます。
車両に関しては、スバルをはじめとしてダイハツ、スズキなどと協力して開発し、超小型モビリティに関しては2020年に市販モデルを発表する予定です。
2020年の東京オリンピック・パラリンピックを見据えて開発が佳境に差し掛かっていますので、期待に応えるべく準備をさらに進めてまいります」
※ ※ ※
現在、世界のEV市場には121万台が普及していますが、それをこれからの6年で429万台まで増やすというのは並大抵のことではありません。
電力、廃棄電池、さらには充電設備などさまざまな問題を抱えていますが、日本が誇るモビリティカンパニー、トヨタの意気込みは本気です。
そして、私たちがさらなる移動の自由を手にするためにはどのようにしていけばよいのか、綺麗な地球をどのようにして後世に伝えていかなければならないのか。
それはトヨタだけが考えるの問題ではなく、地球に暮らすすべての人が考えなければいけない課題といえます。
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