SUVの人気は衰えを知らない。車高があるからさまざまな路面状況にも適応しそうだし、4WDもある。さらにアイポイントが高いから渋滞でも遠くまで見通せて安全。そして、スタイルもいい。近年デザインが洗練されてきて、ファッション性も増してきた。
では、最近のカジュアルなSUVにはどのような種類のエンジンがベストなのだろうか? ということで、ハイブリッド、ターボ、ディーゼルの3種類のエンジン搭載モデルを一気乗り。
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ハイブリッドのXV e-BOXER、ディーゼルのCX-3、ターボのエクリプスクロスに乗って感じたそれぞれの特長をもとに、どれが最もSUVにマッチしたパワーユニットかを考察したい。
文:松田秀士、永田恵一/写真:平野学
ベストカー 2019年4月26日号
燃費を含めた経済性はディーゼル有利
CX-3/エンジン:1.8L直4ディーゼルターボ(116ps/27.5kgm)、WLTCモード燃費:20.0-23.2km/L、価格:243万6480-306万2080円
まず気になってくるのは経済性だろう。経済性を優先するなら間違いなくディーゼルモデルに軍配が上がる。なんたって軽油は安い。
さらにクリーンディーゼルは燃費がいい。CX-3なら17.0km/L前後はふつうに出るはず。ボクの経験からいうとCX-8あたりでも13.0km/L前後だった。
これに続くのがガソリンハイブリッドだ。XV e-BOXERは加速性能に趣を置くハイブリッドだが、自然吸気の2Lエンジンとモーターの組み合わせ。
それでも、実燃費により近いといわれるWLTCモードで15.0km/Lという数値。実際の走行では13.0km/Lとみてよいだろう。レギュラーガソリンだ。
そして、一番燃費的に不利なのがエクリプスクロスの1.5Lターボといったところ。こちらはJC08モードで14.0km/Lと記されているので、実用では10.0km/L前後と予想される。こちらもレギュラーガソリン仕様だ。
効率だけでは計れないSUVのパワートレーン選び
XV e-BOXER/パワーユニット:2L水平対向4気筒(145ps/19.2kgm)+モーター、WLTCモード燃費:15.0km/L、価格:282万9600円
では次に、ベースとなるガソリン車に対してディーゼル、ハイブリッド、ターボのそれぞれの価格差はどの程度なのか? 要するに燃費やパワーの増強ぶんがいくらなのかを見てみよう。
まず、CX-3はベースのガソリンモデルに対してプラス約30万円。XV e-BOXERは装備類に差はあるがプラス約12万円。エクリプスクロスに関してはすべてターボモデルとなるので差はないと考える。
ということは経済性でそれぞれCX-3は約30万円、XV e-BOXERは約12万円の投資ぶんをエクリプスクロスとの燃費差で奪い返せるのか?
正直、投資に見合ったお釣りは期待できないだろう。しかも、この議論を始めたらこの3車以外にも効率のいいモデルが出てくるだろうし、こうした部分だけでクルマを判断すると楽しくない。
SUVを買うならこのモデルにしてよかった! と心から思えるパワートレーンにしてほしい。
SUVの個性に最も合ったベストユニットは?
エクリプスクロス/エンジン:1.5L直4ガソリンターボ(150ps/24.5kgm)、JC08モード燃費:14.0-15.0km/L、価格:253万9080-310万7160円
燃費及び経済性ではCX-3のディーゼルエンジンだ。搭載されるのは1.8Lだが、上級モデルのCX-5などに搭載される2.2Lはトルクがより太く力強い。
低回転域だけでグイグイ引っ張るフィーリングは、大排気量のアメリカンSUVを彷彿とさせる雰囲気があり、SUVの王道のイメージも併せ持つ。
ハイブリッドのXV e-BOXERは低速域やアクセルを踏み込んだ時の瞬間的加速感に優れ、今風な賢さを感じさせる。
そして、エクリプスクロスのターボパワーはやや古典的だが、全域でパワフル。特に高回転域の伸びが気持ちいい。
補器類がターボだけということもあり、エンジンルーム内の取り回しがスッキリ。その結果エンジンを低くマウントする設計が功を奏して、低重心な安定性の高い走りもSUVらしい。しかも、室内静粛性もXVと並んで高い。
7人乗りなど多人数乗車を目的にするミニバンならディーゼルもいい。また、ハイブリッドはコンパクトハッチなどには向いているだろう。しかし、SUVには気持ちよさ、楽しさに加えて操る感動があっていいはず。
ここで結論。そのようなことから筆者がベストと考えるSUVのエンジンは、幅広い有効回転数を持っているガソリンターボエンジンだ。
【松田秀士】
【番外編】実はNAガソリン車もSUVにオススメ!
SUVを選ぶ際に安価なガソリンNAエンジン車を薦めるケースは主に3つだ。
ひとつ目は走行距離が少ない人。もちろん「ハイブリッドやガソリンターボ、ディーゼルが好き、乗ってみたい」というなら欲しいほうを選べばいいが、車両価格や燃費を加味した長期的な試算をしてあまりに差額が大きい場合にはガソリンNA車も考えるべきだろう。
ふたつ目は、「街乗りが多い人にはディーゼルは向かない」というもの。ディーゼル車は負荷の小さい街乗りばかりだと、ススが溜まりやすく、調子を崩す原因にもつながるからだ。
同時に走行距離も伸びないであろう街乗りが多いなら動力性能の高さやランニングコストの安さというメリットも薄いだろう。
3つ目はエクストレイルやアウトランダーが該当するハイブリッドだと3列シートが選べないケースだ。いずれにせよ使い方を熟考し、自分に合ったものを選んでほしい。
【永田恵一】
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