2シーター×ミッドシップで、しかもオープントップ。およそ日常とは縁遠い印象。しかしマクラーレンは違う。乗りやすさから快適性まで、すべてが完璧、なにも犠牲にするものはない。(Motor Magazine 2019年4月号より)
開け放ったルーフからの風が心地いい
アリゾナの砂漠もご他聞に漏れず異常気象に見舞われているらしい。いくら2月とはいえ、試乗当日のように7℃まで冷え込むことは、滅多にないそうだ。
すべてのクルマが運転できる。フルビット免許とフル免許って、いったい何だ!【くるま問答】
それでもマクラーレン720Sスパイダーの開け放ったルーフから流れ込む風はすっきりとして爽やかで、むしろ心地がいいほど。ボディの剛性感、乗り心地、ハンドリングのいずれにもスパイダー化した影響は感じられず、クーペとまったく同じ快適性と操縦性を味わえる。
もっとも、それは720Sに限った話ではなく、マクラーレンのスパイダーモデルすべてに共通する特徴といえる。「クーペと変わらないのなら、わざわざリポートする必要もないじゃないか?」そんな意地悪な見方もできなくはない。
だが、これだけの完成度を実現するためにマクラーレンの技術陣が払った努力の数々を考えれば、拙文にも多少なりとも意味があろうというものだ。
リニアリティの高い走りと、抜群の速さはクーペと同じ
マクラーレンのスパイダーがクーペと変わらない性能を実現している最大の理由は、ボディの骨格にカーボンモノコックを用いている点にある。マクラーレンにとってこれは当たり前のことだが、量産されるスーパースポーツカーでカーボンモノコックを用いているのはランボルギーニのフラッグシップモデルであるアヴェンタドールくらい。720Sと同じクラスでいえば、マクラーレンこそが唯一無二の存在といって間違いない。
カーボンモノコックは別名「バスタブ」ともいわれるとおり浅い風呂桶のような形状で、ルーフに相当する部分に強度部材は存在しない。スパイダーでもクーペと同等のボディ剛性を確保できるのは、このため。同じ理由からオープントップ化に伴う追加の強度部品が不要で、重量増加も最小限で済む。
この720Sスパイダーの場合もクーペより重いだけで、重心高などは単位でしか変わらない。したがってスパイダーのドライビングダイナミクスがクーペと変わらないのは、実は至極当然の結果なのだ。ただし、720Sスパイダーではこれまでにないやっかいな課題に取り組む必要があった。
マクラーレンの特徴のひとつであるディヘドラルドア(シザードアの変形版)は、フロントフェンダーの後方に設けられたひとつのヒンジを支点として開閉する形式のものだが、720Sのクーペモデルではこれに加えてルーフ部分にもヒンジを設け、これらを支点として斜め上方に開く構造とされていた。
こうした独自のレイアウトは、地下駐車場のように天井が低いスペースに停めた時でも、無理なく開閉できるようにするための工夫だった。しかし720Sスパイダーでは、通常のマクラーレンスパイダーと同じように一点支持で開閉する機構としつつ、ドア長をクーペよりわずかに短く設定。これによって、天井の低い場所での乗降性にも配慮した。
そのほかにもオープントップ化にあたってマクラーレンが実施したモディファイは枚挙に暇がないが、結果として得られる印象がクーペと変わりないことは前述のとおり。
4輪のホイールストローク量と加速度を複雑に演算した結果に基づいて制御されるアクティブサスペンションは、フラットな姿勢を保ったまま快適な乗り心地を実現し、その気になれば恐ろしいほどのコーナリングパフォーマンスを可能にしてくれる。V8 4Lツインターボエンジンは自然吸気並みの好レスポンスを示し、リニアリティの高いドライバビリティをもたらす。
しかもミッドシップスポーツでありながら斜め後方の視界も良好。日常的な使い勝手でもまったく不満を覚えることはない。こうしたマクラーレンならではのバリューをそのまま享受できるのだから、「スパイダー」が占める比率が同ブランドの全販売台数のほぼ半数になっている事実は、なるほど無理からぬことなのだ。なにしろ価格が14%ほど上がるのを別にすれば、失うものはなにもないのだから。(文:大谷達也)
■マクラーレン720Sスパイダー主要諸元
●全長×全幅×全高=4544×2161×1194mm
●ホイールベース=2670mm
●車両重量=1322g
●エンジン= V8DOHC
●排気量=3994cc
●最高出力=720ps/7500rpm
●最大トルク=770Nm/5500rpm
●駆動方式=MR
●トランスミッション=7速SSG
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