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トヨタが提唱する自動運転の独自理論にガラパゴス化を不安視する声

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トヨタが提唱する自動運転の独自理論にガラパゴス化を不安視する声

 トヨタは自動運転をガーディアンとショーファーで表現する

 自動運転はもう、夢物語ではない。ここ数年、日本全国、また世界各地でさまざまな自動運転車が実際に走りはじめた。そうしたなか、トヨタは自動運転に対して独自の理論を展開している。「ガーディアン」と「ショーファー」という2つである。

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「ガーディアン」とは、乗用車や商用車などを運転者自らが運転することをサポートすることを指す。自動ブレーキや車線逸脱防止装置など、高度な運転支援システム(ADAS)をさらに発展させるという考えだ。ガーディアンとう英語は、監視者を意味する。運転者をいつも、見守るという考え方である。

 一方「ショーファー」とは、公共交通のような考え方で、乗車した人が自ら運転することはなく、あくまでも乗員となる。バスやタクシーのようなものである。アメリカでショーファーというと、おかかえ運転手を意味する。そこから転じて、ショーファーカーというと、後席でゆったりと移動時間を過ごすリムジンを指す。

 だがこうしたトヨタの自動運転の分類は、あくまでもトヨタが独自に主張しているものだ。一般ユーザーのみならず、自動車のエンジニアの間でも、こうしたトヨタ的な用語は一般的だとは言えない。

 自動運転というと「レベル」という表現が使われる。レベル0からレベル5まで6段階あり、レベル0はクルマ側の運転アシストがなくドライバーがすべて行う状態を指し、レベル5は完全自動運転となる。

 自動運転レベルは、2012年に概略が提案されたものだ。提案者は、アメリカの自動車技術会(SAE)、アメリカ運輸省の高速道路局(NHTSA)、そしてドイツの国立自動車研究所(BASt)と3つの団体だ。

 2012年時点では、自動運転レベルの区分が、SAE型とNHTSA型のふたつが併存していた。それが、2016年9月にSAE型で統一された。

 日本では国土交通省が当初、NHTSA型を使用していたが、2016年9月以降はSAE型へと考え方を改めた。

 ガーディアンの考え方が理解できないとの声も

 では、トヨタのガーディアンとショーファーは、SAE型の自動運転レベルとどのような関係になっているのか?

 自動運転に使う技術要件で考えると、ガーディアンはレベル1~レベル3の領域。そして、ショーファーはレベル4~レベル5と考えるのが自然だと思う。

 ところが、トヨタ側はそうした考えを持っていない。筆者は2019年1月上旬、米ラスベガスで開催されたIT・家電の世界最大級見本市「CES2019」で、トヨタが最新型自動運転技術について記者会見した際、トヨタ本社で先進技術を統括するフェローで、トヨタ・リサーチ・インスティテュート社長のギル・プラット氏に直接、質問した。

 プラット氏は「ガーディアンはけっして、レベル3までを意味することではない。ガーディアンとショーファーという概念は、自動運転レベルという尺度とはまったく違い、人とクルマとの関係性に対する指標だ」と回答した。

 さらに、各種の事例や学術的な解釈を補足説明してくれた。筆者はこれまで、自動運転に関して世界各地で詳細な取材をしてきたが、プラット氏の主張は「分からなくもないが……」という感想を持った。

 実際、同記者会見に参加したアメリカと日本のメディア関係者数人と現地で話してところ「正直、ガーディアンがよく分からない」と答えた。

 トヨタとしては、「ガーディアン・フォー・オール(皆さんご一緒にガーディアンを使いましょう)」というスローガンを掲げて、自動車メーカー各社との協業を呼び掛けている。果たしてこうしたトヨタの思想や理念が、世界自動車産業を動かすことになるのだろうか? 今度の動向に注目したい。

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