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業界ニュース 2019.2.10

電気自動車か燃料電池車か? トヨタの今と、これからをウォッチする

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雑誌に載らない話 vol281
2017年9月28日、アメリカ・テキサス州プレイノ市のトヨタ・ノースアメリカ本社で行なわれた投資家向けイベント「Toyota Investor Summit」で豊田章男社長が英語でキーノートスピーチを行なった。これからの自動運転、ロボティクス、次世代パワートレーン、コネクテッド技術など、現在トヨタが想定している未来のモビリティを明らかにした。

■2017年第2四半期の決算情報

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また2017年11月7日には、トヨタ本社で第2四半期の決算情報が発表され、トヨタの「今」のデータが公表されている。これらの内容から、トヨタはどこに向けて動こうとしているのかを探ってみたい。




決算発表では、ダイハツ、日野を含めたグローバル販売台数では、ほぼ従来ペースだが営業利益率が低下している傾向にある。特にヨーロッパ、アメリカ市場においてはかなり利益率が低下しており、それを日本やアジア市場がカバーしているのが実情であることが分かる。

アメリカ市場では最近の自動車販売の鈍化傾向に合わせ、自動車メーカーが販売店に支払う販売奨励金が増大している結果であろうか。なお2017年-18年度の通期グローバル販売台数は1030万台の見込みで、世界第3位メーカーに落ち着く見通しだ。

■創業家三代目をアピール

この第2四半期の決算発表より先にトヨタ・ノースアメリカ本社で行なわれた豊田章男社長のスピーチでは、冒頭でトヨタ自動車と豊田家の歴史が紹介され、自らが豊田章一郎元社長から数えて、豊田家の3代目であることを紹介し、現在では自らがステアリングを握ってレースに出場したり、発売する新型車の最終チェックを行なう評価ドライバーでもあることを強調する映像とスピーチが行なわれた。

これは企業戦略説明の場では異例ともいえる内容だが、アメリカではトヨタのブランド名はよく知られているが、豊田章男社長は日本ほど周知されていないための演出だろう。

そして、豊田章男社長は、これからはかつてのトヨタ、レクサスのような「退屈なクルマ」は決して作らないことをアピールした。特に父の豊田章一郎が社長時代に開発した、空前の規模で開発したレクサス(セルシオ)LSが、新たなラグジュアリーブランド「レクサス」の基礎となったことを説明。そして、その後のレクサスが退屈で魅力に欠けたことを認識し、現在のようなアグレッシブなデザイン、走りに変える旗振り役を勤め、今後はトヨタ・ブランドを含め、決して退屈なクルマは作らないと語っている。

■トヨタの未来に向けての投資

しかし、投資家にとってはそうしたクルマ造り以上に気になるのは、これからの環境対策車や、自動運転時代に向けて、トヨタはどのようなビジョンを描いているのかということだろう。

そのため、自動運転、ロボティクス、次世代パワートレーン、コネクテッド技術など、トヨタが描くこれからのモビリティ像と、そのための投資についてのスピーチが行なわれている。




2015年、2016年のトヨタの業績が過去最高を記録したことを機に、TNGAの要素として、プラットフォームとパワートレーンの刷新、シリコンバレーのトヨタ・リサーチ・インスティチュート(TRI)への1000億円を超える投資、そしてマイクロソフトと合弁してビッグデータとバックエンド・クラウドを使用したネット接続サービス・プロバイダーのトヨタ・コネクテッド(Toyota Connected:テキサス州)の設立などを行なってきている。

TNGAは、もっといい走りの実現、TRIは高度運転支援システム、自動運転、ロボット開発を推進する柱となっており、新たに設立されたトヨタ・コネクテッドは、トヨタ車の走行データの集積を行ない、そのビッグデータを使用することでカーシェアリングや新たなモビリティサービスの実現を目指している。

TNGAはモジュラー・プラットフォームのグローバル展開という、いわばトヨタのような巨大メーカーにとっては必須の課題をクリアしたことを意味するが、自動運転技術は次世代のサービス・プロバイダーとしての模索であり、他の自動車メーカーと大きく違っている。

他の自動車メーカーは自動運転技術やクラウドを運用した、新たなモビリティサービスを展開する構想で、開発や運用をメガサプライヤーと緊密に連携しながらグローバル展開しようと考えているが、トヨタは自前主義であり、そのために投資額も大きくならざるをえないのだ。

豊田章男社長は、2017年のグローバル販売台数を1030万台程度と見通し、世界第3位のポジションを守るが、営業利益率が微減しているのは、こうした巨大な技術開発投資が原因だとしている。

■環境対策車の戦略とは

しかし、大きな投資が必要になるのはこれだけではない。電動化など環境対策の技術開発である。トヨタにとって電動化は20年前からハイブリッドを投入したことで実現し、市場でナンバーワンの地位を築いているという強い思いがる。しかし残念ながらTHS-IIはアメリカでのZEV規制、中国でのNEV政策でも環境対策電動車とは見なされず、2018年からはアメリカのZEV政策では一般の内燃エンジン車と同じ扱いとなっている。

では、トヨタはどのように舵を切るのか? ここに現在のトヨタの最大の課題がある。トヨタは、かなり昔からEVの研究は行なっており、初代プリウスが誕生した背景にも以前から存在していたEV開発部が協力して市販モデルにこぎつけている。

EV開発部は1997年にCA20W型RAV4をベースに、ニッケル水素電池を搭載したRAV4 EVを開発し、1400台ほどカリフォルニアで、販売またはリース車として市販化された。

第2世代のRAV4(XA30W型)は、トヨタがテスラに資本参加し、業務提携を行なって2012年に「RAV4 EV」を完成させた。このRAV4 EVはテスラのEVシステムを搭載。リチウムイオン電池は41.8kWhの容量で航続距離は160kmだった。カナダのオンタリオ州ウッドストックにあるトヨタ・モーター・マニュファクチャリング・カナダで2600台が生産され、カリフォルニアなどで販売された。

またトヨタは2012年9月に超コンパクトカーの「iQ」をベースとしたEV、「eQ」を2012年12月に限定発売した。国内での価格は360万円で、グローバルでの販売台数は100台という、ごく少量の生産だった。 eQはGS450h用のモーター、アクアのインバーター、12kWhの容量を持つバッテリーはプリウスPHVのものを流用していた。

こうしたEVの試行錯誤の経験を経て、トヨタは現在主流になっているリチウムイオン・バッテリーの価格が今後も大幅に低減できる見通しが暗いこと、大量生産に不向きであることなどから次世代のクルマの主流にはふさわしくないと判断した。そして本格EVを実現するには研究中の全固体バッテリーなど新世代の高性能バッテリーの実現を待つしかないと考えているのだ。

しかし、アメリカのZEV規制、中国でのNEV政策は待ったなしで、トヨタとしてもZEV規制にパスするプリウスPHVの販売だけでは規制はクリアできず、バッテリーEVを発売せざるを得ない。もし生産しなければ、内燃エンジン車を販売すればするほど、すでにEVを市販しているテスラや日産から多額のクレジット(CO2削減量/実績係数)を購入するか、カリフォルニア州大気資源局(CARB)に罰金を支払わなければならないのだ。

トヨタは、現状のリチウムイオン・バッテリーに否定的で、事業として成立しないという判断も関わらず、アメリカ、中国、そして近いうちにインドでもEVを製造する必要に迫られ、その結果、マツダ、スズキとの協業という選択肢が選ばれた。

マツダもリチウムイオン・バッテリーを搭載するEVではビジネスとして成立しないと考えているが、PHEVもラインアップしていないマツダも否応なくアメリカや中国のためにEVを展開せざるを得ない事情がある。

トヨタ、マツダの協業、さらにはインド市場ではスズキも加わることによって、開発コスト、製造コストの分散を図るという戦略である。トヨタとマツダは2017年8月にアメリカで折半出資の新工場を建設することなどを柱とする業務資本提携を発表している。そしてEVの共同開発、先進安全技術やコネクテッドカーなどでの協業も進めるという。この新工場は総額約1760億円を投じ、生産能力約30万台の組み立て工場とし、2021年の稼働を目指す。

新工場でマツダは北米向けに新たに導入するクロスオーバー車を、トヨタは北米用のカローラを生産する予定で、それぞれ15万台の生産能力としているが、フレキシブル生産を重視し、EVの開発、生産を行なうことも前提だ。トヨタ、マツダの混成チームでは、車体のハード部分とソフトウェアの両面でプラットフォームの共同開発を進めるという。

なおEVのコア技術の企画・開発は2017年10月に新たに設立されたトヨタ、マツダ、デンソーの合弁企画会社「EV C.A.スピリット」が担当する。ここでは市場動向に柔軟、迅速に対応するため、幅広いセグメント、車種をカバーできるEVの基本構想に関する技術を共同で開発する。

軽自動車から乗用車、SUV、小型トラックまでの幅広い車種群の電気自動車化を目指し、マツダの「一括企画(コモンアーキテクチャー=モジュラー設計)」や「モデルベース開発」、デンソーの「エレクトロニクス技術」、トヨタの「TNGA」など、各社のリソースを持ち寄ることで新たな開発手法によりEV基盤技術を確立するというのだ。そのため、会社名はEV コモン・アーキテクチャーとされ、マツダ色の強い名称となっている。

一方で、トヨタはFCV(燃料電池車)の開発も継続する。トヨタの戦略としては地域に合わせた適材を投入するという戦略だ。もともとFCVは日本政府のエネルギーミックス戦略の中で水素エネルギーを新エネルギーとして位置付けたことに端を発し、いわば国家プロジェクトとしてFCVの「ミライ」が開発された。

当然ながらFCVは大規模な水素の社会的なインフラなしには成立しないクルマのため、EVのように幅広い地域へ展開することは難しい。トヨタはここ最近、商用車へのFCVの展開を構想しており、トヨタモーターノースアメリカは、フュエルセルエナジー社とコラボして10月にカリフォルニア州において燃料電池システムを搭載した大型トラックの実証実験を開始した。

このFC大型トラックは、ミライのFCVユニットを2基搭載し、最大出力は500kW、最大トルクは1820Nmを発生し、貨物を含めて総重量約36トンでの走行が可能。通常運行における推定航続距離は、満充填時で約320kmと見込んでいる。

また、日本ではセブンイレブンとの協業によりFCV配送トラック、東京オリンピックを目標にしたFCバスなど、トヨタは商用分野のFCVに新たな道を探りつつある。

EV、FCVなど環境対応車であっても、豊田章男社長は「誰が最初に造ったかは重要ではなく、トヨタとしてはBest in Classを狙っていく」と語っている。今後のEVの開発はどのような展開になるのか、興味深い。

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(Auto Prove Auto Prove 編集部)

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