新車を購入する際、スタイル、走りのよさ、居住性、低燃費など、何が購入動機になるでしょうか? 人それぞれ、まさに十人十色だと思います。
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なかでも「燃費がよい」ことを購入動機として、ハイブリッドをはじめ、PHVやEVを購入する人が多く、人気となっています。
しかし、車両本体価格はハイブリッドやPHV、EVはガソリンエンジンよりは高くなっています。
結局のところ、諸費用や税金、燃料代など、いわゆるランニングコストを含めたトータル的な金額で比べると、ガソリン、ディーゼル、ハイブリッド、PHV、EV、どのパワートレインのクルマがお得なのでしょうか?
新車から購入して3年、5年、10年にかかったトータルコストを計算し、本当にお得なクルマはどれか? モータージャーナリストの高根英幸氏が解説します。
文/高根英幸
写真/ベストカー編集部、Adobe Stock
■新車を購入して3年間乗った場合、お得なのはどれ?
燃費のよいクルマが人気だ。けれども、カタログ燃費ばかりを追求しても仕方ないことに、そろそろユーザーの多くも気が付き始めている。
燃費を気にするのは、いうまでもなくランニングコストを抑えたい、という意識から。環境保全への意識が高いユーザーは、CO2の排出量として考えていることもあるだろう。
日本の場合、コストパフォーマンスで考えれば軽自動車に勝るカテゴリーはないが、軽自動車では長距離移動の疲労や走行時の安定感、万が一の衝突事故時の安全性など経済性以外の要素で気になる部分もなくはない。
実際に売れている小型車を見比べるのが、ここは公平な見方として、さまざまな点から本当にお得なクルマ選びとは何か考えてみたい。
そこで比較する車種を選ぶにあたり経済性を考えると、パワーユニットの違いによるところが一番大きい。国内の登録台数を見ると、ハイブリッドはトヨタのアクアとプリウスか、日産ノートe-POWER、ディーゼルはマツダデミオ、EVは日産リーフ、PHVはトヨタプリウスPHV、ガソリンはホンダフィットが最も売れている。すなわちユーザーの評価が高いクルマといえるため、各パワートレインの代表選手としてみた。
■新車を購入してから3年間乗った場合のランニングコスト比較
1年間の走行距離を7000kmとして、ユーザーの口コミから判断した平均燃費による3年間の燃料代を算出し、それに諸経費と車両代金を加算、車検時に買い替える際の下取り価格を差し引いたものが3年間のトータルコストとなる。
EVの電気代は日産の会費2000円と深夜電力で1000円の毎月3000円で計算した。
厳密にいえば自動車保険は契約者の保険料率によって変わるので、ここでは省かせていただいた。
車両価格は同一排気量のエントリーグレードと最上級グレードから平均価格を算出した。実際には最量販グレードで判断すべきかもしれないし、購入時には値引きなども考慮する必要があるが、低価格なグレードは下取り価格なども下がることが想定できるため、上下間の単純平均としている。
調べてみると、ガソリン車ではAT(CVT)とMTでは、平均燃費でほとんど差が付かなかった。これはATやCVTの性能が向上し、よほど上手にMTを扱わなければAT/CVTの変速比の広さに対して、アドバンテージはないということだ。
■ハイブリッド車は必ずしもお得ではない!
3年後の下取り価格は、現在の買い取り価格を参考にして算出している。現行モデルが登場後3年未満の場合は、直近での値落ちと先代モデルの傾向から予想価格を割り出した。
最終的にはユーザー一人一人の使用環境によるところが大きいため、オイル交換など1回の代金が低価格で、頻度が異なるものについてはあえて含めていない。また駐車場代などのコストも、地域によって大きく異なるため除外している。
■新車から3年間乗ってお得なクルマ(3年間の差し引きトータルコストが低いクルマ)
1位/デミオディーゼル およそ106万円
2位/フィット1.3 およそ110万円
3位/プリウス およそ129万円
4位/アクア およそ145万円
5位/ノートe-POWER およそ177万円
6位/リーフ およそ203万円
6位/プリウスPHV およそ203万円
こうして新車から3年間の差し引きトータルコストを計算してみたのだが、すなわち、これが本当にお得なクルマとなる。
こうして比べてみると、3年間の差し引きトータルコストが最も安いのはデミオディーゼルだった。2位はフィット1.3Lガソリン車、そして3位にハイブリッドのプリウスが入った。
エンジン車、強しである。ハイブリッド車が必ずしもお得なクルマとは言えないことが、改めて見えたと思う。
3位のプリウスはハイブリッドモデルながら、バッテリーの搭載量や優れたマネージメントシステムによる劣化を抑える工夫、さらに乗り心地などが改善されたこともあり、3年後の下取り価格も高めが予想できる。
■新車から5年乗った場合、お得なクルマは?
こちらも同様に1回継続車検を受けて、5年間乗った後に下取りに出した際のトータルコストも算出。現行モデルは5年後の下取り価格は分からないモデルも多いが、これまでの経験則から下取り価格を参考として算出した。
ここでもEVやPHVの下取り価格の安さから、トータル出費の多さが目立つことになった。
ハイブリッドやEVは、バッテリーの経年劣化が下取り価格に大きく影響する。例えばアルファード/ヴェルファイアでは、下取りの安さからハイブリッドを敬遠するユーザーも多いのも、この傾向が大きな原因だ。燃料に比べて安い電気代も、バッテリー代まで考慮しなければならない理由がこれで分かる。
■新車を購入してから5年間乗った場合、10年間乗った場合のランニングコスト比較
デミオやフィットといったエンジン車はMTも用意されており、上手く走らせれば燃費もよく、運転を楽しめれば気分転換やストレス解消の効果も大きいが、雑に乗ればATに比べ燃費は悪化するし、クラッチ交換などのメンテナンスコストが必要になるというデメリットが出てくる。
このあたりは不確定要素であるため、今回の維持費用には含めていない。5年3万5000kmで出費がかさむようなトラブルやメンテナンスはほとんどない、というのが今日の国産車であるから、そこは想定に含む必要はなさそうだ。
■新車から5年間乗ってお得なクルマ(5年間の差し引きトータルコストが低いクルマ)
1位/フィット1.3 およそ170万円
2位/デミオディーゼル およそ192万円
3位/ノートe-POWER およそ203万円
4位/アクア およそ209万円
5位/プリウス およそ213万円
6位/リーフ およそ273万円
7位/プリウスPHV およそ282万円
■10年乗った場合、お得なクルマは?
そして10年間で7万km走行した際のトータルコストも同様に算出してみた。4回目の車検までに若干の整備代、部品代(ベルトとタイヤ交換を想定)がかかると予想した。
エンジン車は7万kmなら、ほぼ性能を維持できていると想定、ハイブリッド車は5年以降はバッテリーの劣化により2割燃費が低下すると想定した。
EVは電費が悪くなっても、現状の充電施設利用費用が継続されていれば費用の負担は増えない。ただし1充電あたりの航続距離は短くなっていくから、利便性は低下していく。
エンジン車でも7万kmであれば10年落ちでも若干の下取り価格は期待できる。一方、ハイブリッド車やEVはバッテリーの劣化がネックとなり、大幅に価格が落ちるため、全車でほとんど差がなくなると予想される(ただし今後、クルマの電動化が進むに連れて、ハイブリッド車のリサイクル率が向上し、資源としての価値が高まる可能性もある)。
そして10年以上長期間保有した場合、EVやPHVは下取り価格はほとんど期待できなくなる。こうしたクルマは、ディーラーの残価設定型クレジットを利用するのも有効な手段だ。5年後の下取り価格を保証してくれるようなもの(ただし走行距離や内外装のコンディションなど、一定以上の基準を保つ努力は必要になる)。
■新車から10年間乗ってお得なクルマ(10年間の差し引きトータルコストが低いクルマ)
1位/フィット1.3 およそ284万円
2位/デミオディーゼル およそ311万円
3位/アクア およそ329万円
4位/プリウス およそ375万円
5位/ノートe-POWER およそ390万円
5位/リーフ およそ390万円
7位/プリウスPHV およそ455万円
結局、3年間、5年間、10年間のどのパターンでも、トータルのランニングコストで計算すると、本当にお得なクルマは、ガソリン車、ディーゼル車、ハイブリッド車、EV、PHVの順となった。
ハイブリッドやEVはお得ではないのがわかったと思うが、それでも燃料価格が上下しても一喜一憂しなくて済むという安心感、CO2排出量の少なさから環境保全に貢献しているという満足感は電動車両のメリットだろう。
また、プリウスPHVとフィットでは日常乗り回した時に感じる高級感が違うから、そこにどれだけの代価を払えるか、ということになる。
■高年式の中古車を乗り継ぐのであればエンジン車に限る?
下取り価格をアテにしてのクルマ選びは結局、財テクと同じで、クルマを乗り回すことを心底楽しめない。それなら新車ではないクルマに目を向けるのも、一つの方法だ。
満足感が高い手としては、1、2年落ちのエンジン車を購入して3、4年乗り、下取りもしくは買い取り店に売却して、再び1、2年落ちのクルマを購入すること。
最初の値落ちが大きいモデルほど、買い得になる。ハイブリッド車であれば高年式はまだ中古車価格は高く、ディーラーで新車を値引きしてもらって購入することと大差ないからだ。
カーシェアリングが普及しつつある現在、クルマを所有するのであれば乗っている時の満足感を大事にしたいものだ。走行距離が増えれば査定額は下がる。それを気にして乗り回すのを躊躇するのでは所有する意味があまりない。
そのクルマを選んだがの手放す時に高く売れる、というのが最大の理由であるのは寂しいものだ。行き過ぎればクルマに乗ることを楽しめなくなる。それでは本末転倒だ。
■10年10万kmを満足して乗り続けられるクルマを選ぶべき!
やはりクルマを購入するのであれば、10年10万kmを満足感高く乗り続けられるようなクルマ選びをしていくべきだ。それが自動車メーカーを本気でクルマの開発に取り組む姿勢にさせる原動力になる。
結局のところクルマ選びは、カーライフをどこまで広がりをもって楽しむのか、という観点に尽きるのではないか。
少子高齢化による人口減少、ドライバー人口の減少もあって、国内市場は先細りしていくばかり。であれば今こそ我々クルマ好きが、コスパだけでなく充実したカーライフのためにクルマの所有と維持を行なうことで、日本国内の乗用車のレベルアップにつなげることができると思うのだ。
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