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過労運転防止にIT活用 高速バス死亡事故から6年、国交省の取り組みはどうなった?

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過労運転防止にIT活用 高速バス死亡事故から6年、国交省の取り組みはどうなった?

■きっかけは2012年に関越自動車道で発生した高速バスの居眠り運転事故

 2012年4月に群馬県藤岡市の関越自動車道にて、ツアー客45名を乗せた高速バスが壁に衝突し、乗客7名が死亡する悲惨な事故が発生。原因はバス運転手の居眠り運転だと判明したことで、「過労運転」が世間に注目されました。この事故を受けて、国土交通省では過労運転防止対策へ動き出しました。

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 2013年から「過労運転防止のための先進的な取り組みに対する支援」として、過労運転防止のためのIT機器を企業に導入する際の補助制度をスタートさせています。

 制度開始から6年目となる今年2018年、取り組みの状況はどうなっているのでしょうか。国土交通省自動車局安全政策課に話を聞きました。

──過労運転防止のための取り組みを開始して6年目ですが、この6年間の活用状況を教えてください。

「過労運転防止のための先進的な取り組みに対する支援」として2013年より運用を開始した本取り組みでは、過労運転防止に役立つIT機器の募集を受け付け、要件を満たす機器の認定を行なっています。認定を受けた機器を、たとえば運送業者などの企業が導入する場合に、その経費を補助するといった内容です。

 募集期間は設定していますが、毎年の予算の上限は決まっており、認定機器が予算上限に達した場合には募集期間内であっても受付を中止しております。2013年から2018年まで、受付中止までの期日は年々短くなっており、取り組み自体の広がりを感じています。

■運転中だけではなく、休憩中の睡眠を計測できる機器も対象に

 具体的にはどのような機器が対象となるのか、前出の国土交通省自動車局安全政策課にうかがってみました。

──どういった機器が対象になるのでしょうか?

 現在は、次の4つのジャンルに分けて、募集、認定を行っています。

1.ITを活用した遠隔地における点呼機器2.運行中における運転者の疲労状態を測定する機器3.休息期間における運転者の睡眠状態等を測定する機器4.運行中の運行管理機器

──それぞれのジャンルの機器にはどういった効果が期待できるのでしょうか?

 1.『ITを活用した遠隔地における点呼機器』というのは、運転者の点呼をより効果的にするための機器を指しています。運行管理者には、乗務前と乗務後に運転者への点呼が義務付けられています。対面の場合にはわかりやすいですが、遠隔地のドライバーに対して点呼を行う場合、その表情や飲酒の有無などを目や鼻で確認することはできません。そういった場合にこれらの機器を活用することで、より効果的に運転者の状況を把握することが可能になります。

 2.『運行中における運転者の疲労状態を測定する機器』は、主に運転者の心拍数を計る機器を対象とします。心拍数を計測することで疲れがあると判断した場合、運転者に対して警報で通知したり、管理者側がそのデータを見て、翌日の運行計画に生かしたり、休みを取るよう指導したりといったことが可能になります。

 また、前を走るクルマと接近した時やウインカーを出さずに進路変更を行った際など、居眠り運転の危険性が考えられる状況で警報を鳴らす、といった機器もその対象に含まれます。

 3.『休息期間における運転者の睡眠状態等を測定する機器』というのは、1や2と異なり、運転者が寝ている間の睡眠状態を計測する機器です。休息の取り方や、自分がどれくらい深く睡眠できているかを運転者自身や管理者が振り返ることで、生活環境の改善や今後の指導に役立てます。

 4.『運行中の運行管理機器』は、運転者の運行状況をリアルタイムに運行管理者が把握できる機器を指します。たとえば定められた時間に休息をとっていないなど、過労運転につながりかねない状態を知ることができます。

※ ※ ※

 トラックドライバーやタクシードライバーなどの職業ドライバーは、一般ドライバーの何倍もの時間と距離を走りますから、事故回避意識もおのずと高くなります。しかしそれと同時に管理者である企業にも、そういった事故を未然に防ぐための努力が求められます。

 最近でもバスや大型トラックの重大事故が度々ニュースになっています。過労運転の事故減少に向けて、今後一層IT機器の活躍が期待されます。

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