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業界ニュース 2018.11.10

BMWドイツ本社唯一の日本人デザイナー、永島譲二氏が直接語る、最新の3台にこめられたBMWデザインの裏側

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11月初旬、BMWドイツ本社(BMW AG)のデザイン部門で活躍する唯一の日本人デザイナー、永島譲二氏による講演が、「BMWデザイン・サロン」と銘打って行われました。

永島譲二氏は、1955年東京生まれで、武蔵野美術大学工芸工業デザイン学科卒業後、1979年に米国のミシガン州ウェイン州立大学大学院でデザイン修士課程を修了。その後、カーデザイナーとして、1980年に独アダム・オペル、次いで1986年に仏ルノーに在籍。そして1988年からは、独BMW Groupのデザイン部門とキャリアを重ねてきました。

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今まで永島氏がBMWで手がけたのは、Z3、4代目5シリーズ(E39)、5代目3シリーズ(E90)などが有名ですが、その他数多くの生産車やコンセプトカーのデザインに関わっています。

今回は最新のBMW、つまりはZ4と8シリーズ クーペ、そして3シリーズという、3台の新型モデルのデザインの狙いや動向についてが講演テーマで、実際にドローイングしている手元を背後の大型スクリーンに映しながらの解説に、編集が最近のBMWデザインに感じでいた「?(ハテナ)」が、「!(ナルホド)」に変わっていったのでした。

まずは、「生産車にはタッチしていない」という前提でしたが、永島氏がそのコンセプトカーのプロジェクトマネージャーとして関わっていた、新型Z4と8シリーズ クーペから気になった点をまとめてみます。

まずは、グリルの“頂点の位置”の話。BMWのアイコン「キドニーグリル」が、新型5シリーズくらいから、左右外側に尖った部分ができて、従来の四角形から、五角形を横に倒したような形になっているのに気づかれていたでしょうか?

スポーツカーと位置づけられるZ4と8シリーズ クーペでは、その横倒しした五角形グリルの頂点(=尖った部分)を、より地面に近く低い位置にして、その頂点より高い位置にヘッドライトの下限を配置するデザインとなっています。

これは法規上高さの決まっているナンバープレートの上に位置するグリルを、ヘッドライトに対して相対的に低く見せることで、スポーティさを演出しようという試みだそうです。確かにセダン系の新型3・5シリーズを見ると、グリル左右の頂点は、ヘッドライトの上側にあり、明確な差別化が行われているのに気づきます。

そして次に、Z4のサイドライン。それまで後ろ下がりだったのが、新型では後ろに向かって上がるラインに変わっています。これは、BMW社内で「ボーンライン」と呼ばれていて、パワーの象徴である後輪を強調するために採用した手法だそう。

Z4のボーンラインは、前側がネガティブ面で、後方に行くにしたがって、面が捩れて、ホイールアーチ上でポジティブ面に変化することで、リアホイールアーチ上がライト(光)を受けて、後輪が強調されるという仕掛けなのでした。

8シリーズ クーペでも、後方に行くにしたがってグリーンハウスを狭めて、幅広くなったショルダーラインをさらに強調し、後輪に目が行くようにしているそうで、スポーツカーはより明確にその性能をアピールしようというBMWの意図が見て取れます。

そして3台の中で、最も注目されているであろう新型3シリーズのデザインでは、主にサイズ拡大に対するデザインの工夫が語られたのですが、まず、そもそもなぜモデルチェンジする度にボディサイズが拡大するのかと言うと、それは“人間の平均身長が伸びているから”なのだそう。もちろん安全面の要求もあるのでしょうが、中に入る人間のサイズが大きくなるから、ボディは拡大せざるを得ないという視点は新鮮でした。

今後、大きくなっていくボディをいかにコンパクトに見せるかが、セダン系のデザイン上のネックになっているそうで、3シリーズではリアライト周辺をサイドに回りこませて、全長を短く見せたりしていますが、より工夫が見られるのが、ボディサイド。

歴代3シリーズに入っている「ズィッケ(Sicke ※ヒダの意)」とBMW社内で呼んでいる、前後のドアハンドルを通ってリアまで続いていたサイドのキャラクターラインは、新型ではドアハンドルの上側を通るようになり、更にその下、ドア中央付近には、前述の「ボーンライン」を入れ、リアタイヤを強調しつつ、光と影を生み出すことで、サイドを視覚的に薄く見せようとしているのでした。

ちなみにこれは、将来の“電化”とも関わりが深く、電化されると全高が上がるため、サイドをより薄く見せるデザインは、今後の大事なテーマとなるそうです。

さらに社内では、「ホフマイスター・エッケ(Ecke ※コーナーの意)」と呼ばれているそうですが、一般には「ホフマイスター・キンク」として知られる、跳ね上げられたCピラーのラインの角度が、新型ではボディ側ガーニッシュを後方に延長することで、より鋭い角度で後方に伸び、サイドウィンドウの伸びやかさを演出しています。

このように細かいながらも、「ズィッケ」、「ホフマイスター・キンク」と今までの手法を大胆にアレンジして、「ボーンライン」と組み合わせることで、新型3シリーズのサイドビューは、その他数多くの生産車やコンセプトカーのデザインにも関わっていて、今も第一線で活躍されています。

過去「BMWの家賃と電気代を払うためのモデル」とまで言われた、BMWの主力商品3シリーズは、注目度も桁違いで、“売れなくてはならないモデル”を手がけることは難しいチャレンジだと言う永島氏の言葉には、実際に5代目モデルを手がけた実感がこもっていましたが、新型の細かいながらも大胆な変革は、量販車種を手がけるデザイナーの苦労の賜物とも言えるのでしょう。

さて、他にも、最近のキドニーグリルの間がくっついているのは、実はセンサー類を収める場所として、つながっているほうが都合いいからだとか、サイズや形状の自由度が高いSUVは、デザイナーにとってチャレンジングな分野だとか、個人的にクリス・バングル時代の5シリーズ(E60)は好きとか、今の若いデザイナーは、最初からコンピュータで描くので、逆に紙とペンでは描けないが、自分はアイディアを出す時は、紙とペンを使うとか、BMWの全幅は実は日本のガレージサイズで決まっているとか、いろいろ面白い話が聞けました。

現在は「電化」と「自動運転」という2つの大転換期にある自動車メーカー。それに対応するカーデザイナーには、今まで以上に様々な要件が求められるのでしょうが、BMWに限らず、今後もワクワクさせてくれるデザインを期待したいものです。

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(carview! 編集部)

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