■大幅な改良実施し、フルモデルチェンジは先送りの「アテンザ」
2018年11月末から開催される「ロサンゼルス・モーターショー2018」には、次期型となるマツダ新型「アクセラ」が参考出品される模様です。現行型アクセラは2013年11月に発売されたので、約5年を経過しています。先代マツダ「CX-5」の発売が2012年、現行型が2017年という時間の経過を考えても、自然な時間差です。
マツダが新型「アテンザ ワゴン」を世界初公開! 新エンジンの2.5ターボも採用
今の日本車にはフルモデルチェンジの周期が8から10年に伸びている車種も多いですが、魂動(こどう)デザインと、スカイアクティブ技術を使う先代「CX-5」以降のマツダ車は、比較的短い期間でフルモデルチェンジを行っています。
ところが同じマツダ車なのに、「アテンザ」は違います。現行型の発売は2012年11月ですから、現行アクセラの発売よりも1年早いです。先代CX-5の次に発売されたので、フルモデルチェンジの周期が同じなら、2017年の末から2018年の初頭には新型になっていなければいけません。それなのに、アクセラがフルモデルチェンジされてもアテンザは古いままになります。
この理由をアテンザの開発者に尋ねました。「アテンザは先ごろマイナーチェンジを受けています(発表は2018年5月/発売は6月)。この時点で大幅な改良を行いました。デザインの変更は、外観だけでなくインパネなどの内装にもおよび、シートの形状も見直しました。
エンジンでは、クリーンディーゼルターボをCX-5やCX-8と同じ新しいタイプに変えています。ガソリンエンジンもCX-5と同様、2.5リッターに気筒休止技術を採用するなどバージョンアップしました。さらにサスペンションのスプリング、ショックアブソーバー、スタビライザー(ボディの傾き方を制御する棒状のパーツ)まで、大幅に改良しています。
ステアリングの剛性も高めました。(緊急自動ブレーキを作動できる)アドバンスト・スマート・シティ・ブレーキ・サポートには、夜間の歩行者検知機能も採用しております。マイナーチェンジでも、その内容はフルモデルチェンジに匹敵するのです」とのことです。
この返答からは「アテンザに大幅なマイナーチェンジを施したから、フルモデルチェンジはしなかった」と受け取られますが、理由はそれだけではありません。販売台数も大きく関係しているようです。
■世界販売を牽引する「アクセラ」は優先、アテンザは後輪駆動へ?
直近の2018年度上半期(2018年4~9月)におけるマツダの国内登録台数を見ると、1位が「デミオ」(1か月平均で3679台)、2位は「CX-5」(同2821台)、3位は「CX-8」(同2341台)、4位は「CX-3」(同1343台)、5位は「アクセラ」(同1304台)と続きます。アテンザはさらに台数が少ないです。
世界生産台数では、CX-5とアクセラが圧倒的に多く、CX-3、デミオ、アテンザは、ほぼ同等で1位、2位のCX-5とアクセラに比べるとかなり少ない状況です。
つまり海外も含めた世界的な売れ行きに重点を置くと、CX-5とアクセラは、ほかの車種に比べてフルモデルチェンジを受けやすいです。そうなるとアクセラが新しいプラットフォームの次世代スカイアクティブを使って先に一新され、販売が低迷するアテンザは後まわしになることは十分に考えられます。
それからもうひとつの要素として、アテンザが後輪駆動(フロントエンジン・リアドライブ)になる可能性も指摘されています。マツダの魂動デザインとスカイアクティブ技術は今後新しい段階に入りますが、基本路線は変わりません。野性動物のチーターをモチーフにしたボディスタイル、人馬一体の運転感覚を追求すれば、駆動方式は後輪駆動が理想的です。
今までのマツダの開発者の商品説明を聞いても、現在の前輪駆動を不自然に感じることが多かったです。アテンザのようなミドルサイズ以上のマツダ車が、後輪駆動になる可能性は十分に高いでしょう。
後輪駆動の欠点として空間効率がありますが、後席のセンタートンネル、デファレンシャルギアの荷室への干渉などを許容できれば、実用面で支障はありません。メルセデス・ベンツ「Cクラス」やBMW「3シリーズ」を見れば分かるように、セダンやワゴンであれば後輪駆動との相性も良いです。
アテンザを後輪駆動に変革させるために、フルモデルチェンジを先送りしているという見方も成り立つでしょう。
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