現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 2017年7月~2018年6月MVP! 新型クラウンはどこがよくてどこが許せないのか?

ここから本文です

2017年7月~2018年6月MVP! 新型クラウンはどこがよくてどこが許せないのか?

掲載 更新
2017年7月~2018年6月MVP! 新型クラウンはどこがよくてどこが許せないのか?

 ベストカーで行われた「この1年間に登場したクルマMVP」。2017年7月から2018年6月までの間に登場した国産車27台を対象に、10人の選考委員が各自40点の持ち点から振り分け、最高評価の1台には必ず10点をつけることがルールだ。

「どうせ内輪の評論会みたいなもんなんでしょ?」などと侮るなかれ! 選考にあたってくれたのはいずれも本家「日本カー・オブ・ザ・イヤー」の選考委員を務めるプロ中のプロたちだ。

存続か消滅か これが天下分け目の分水嶺!! 生き延びた天敵と消滅したライバル

 今回MVPの座に輝いたのはトヨタの新型クラウン。しかし当然のことながら低評価をつけた選考委員もいるわけで、それぞれにNEWクラウンのよいところと許せないところを聞いてみた。

※本稿は2018年7月のものです


文:鈴木直也、松田秀士、ベストカー編集部/写真:平野学/選考委員:日下部保雄、鈴木直也、国沢光宏、片岡英明、松田秀士、斎藤聡、飯田裕子、渡辺陽一郎、小沢コージ、岡本幸一郎


初出:『ベストカー』 2018年8月26日号

■NEWクラウンはBMWやベンツを超えられたのか?

 さて、今回の選考でクラウンに最高点の10点をつけたのは日下部保雄、片岡英明、斎藤聡、国沢光宏の4氏、しかし最高点をつけた4氏に話を聞いても面白くないし、何よりベストカーっぽくない。白羽の矢を立てたのは、クラウンに9点をつけ、一方でN-BOXに最高点の10点を与えた鈴木直也氏だ。気に入らなかった点も含めて聞いてみた。ズバリ、NEWクラウンはBMWやベンツを超えられたのか?

*  *  *

(TEXT/鈴木直也)

 BMW、ベンツを「超えてる」部分もあるが届かないところも多々ありというのが正直な感想だが、ここではシャシーに的を絞って考察しよう。

 純粋に“車格”でみると、クラウンはEクラスや5シリーズと同格だが、ご存じのとおり価格はだいぶ違う。

 クラウンは460万~718万円。対してEクラスも5シリーズもクラウンのトップエンド付近の価格帯でエントリーモデルが始まり、上限はAMGやMなど2000万円近いところまである。

 高価なクルマは原価の制約も緩く、必要とあらば高価な足回りパーツを投入可能。調達や生産がグローバル化した今日、この価格差をひっくり返すような下剋上は基本的に起こらないというのが現実だ。

 ただ、新型クラウンのシャシー性能は予想以上で、乗り心地やハンドリングは歴代ベストといって間違いない。

 新型クラウンで感心するのは、けっこうなハイペースで一般道を飛ばしているようなシチュエーションだ。ステアリングの正確さや外乱に乱されないボディ姿勢のコントロールなど、まさに「地に足がついた」安心感が心地よい。

 単に「パッと切ればスパッと曲がる」というスポーティさではなく、ペースを上げても無用に緊張感が高まることなく、常に自然にクルマを制御できるフトコロの深さ。このへんが「いやー、大人っぽくなったなぁ」と感心するところなのだ。

 それぞれ味付けは異なるが、Eクラスも5シリーズもベースモデルで目指しているのはこの路線。

 平均速度の高い欧州の交通事情では、ピリピリ刺激の強いハンドリングじゃ長距離走行で疲れてしまう。思い切ってスポーティ路線に振ったゼロクラウンから3世代を経て、今度のクラウンはいよいよ熟成を感じさせるモデルとなったことを高く評価したい。

 欲を言えば、欧州高級車特有の「滑るように走り出す微低速域の乗り心地」で、もう一歩の努力があったらなおよし。

 このへんの洗練度や、小さな舵角や少ないブレーキ踏力まで精密感の揺らがないフィードバックなど、実は高級車は「ゆっくり走っている時の洗練度」が重要なのだ。

 大音量でないと「鳴らない」スピーカーではなく、小音量でも臨場感のある音楽を奏でられるのが高級車。新型クラウンはそこに気づいてはいるが、その部分では、まだEクラスや5シリーズのレベルには達していないと思う。

■5点をつけた松田さん どこがそんなに許せなかった?

 今度は5点という低い評価をつけた松田秀士氏に話を聞く。10点をつけたのはカローラスポーツで、クラウンの5点はその次に高い得点ではあった。なにがそんなに許せなかったのか?

*  *  *

(TEXT/松田秀士)

 インプレッションでも書いたが、インテリアの断捨離ができていない。今回の売りのひとつである2段式のセンターディスプレー(タッチ式)は、下段を操作してNAVIも含めた様々な決定や入力を行う。

 この時、上段のディスプレーと下段のディスプレーをそれぞれ交互に目視しながら操作を行うことになる。つまり下段は入力操作用なのだ。現代人はスマホ、PCによるディスプレー症候群。それが、この2段式にすることでピント調整をさらに強いる。

 クルマの運転で非常に重要なことが視覚。目を疲れさせるようなレイアウトは避けるべきだ。この点、比較対象となる欧州車は一面のディスプレーにするなど、フォーカスを頻繁に調整する必要のないレイアウトが施されている。

 ほかに2.5Lハイブリッドの高回転域のエンジンノイズ。このノイズはプレミアムカーとして減点対象。特にこのモデルは一番の売れ筋モデルとなるはずだから惜しい。

 しかし、それ以外は国内専用モデルとしてはかなり革新的。そもそも国内専用モデルとしてここまで進化させられるのはトヨタしかないだろう。

 まずシートのフィット感とフィーリングが日本人的体型を考慮している、と思われる。私はチビなので私以外の人にもよいかはわからないが。

 サスペンションは硬いが乗り心地は悪くない。凸凹越えの角がまろやか。サスがハードなぶんハンドリングが飛躍的に向上した。国内専用モデルなのだからなにもニュルでテストまでしなくてもいいと思うが、その成果は大きい。

 つまりディスプレー系のマイナスがこの点数となった。

こんな記事も読まれています

カワサキ「Ninja 650」【1分で読める 国内メーカーのバイク紹介 2024年現行モデル】
カワサキ「Ninja 650」【1分で読める 国内メーカーのバイク紹介 2024年現行モデル】
webオートバイ
メインスペースは大きなボックスシート! フルフラットへの切り替えも簡単なトヨタ ハイエースがベースのキャンパー
メインスペースは大きなボックスシート! フルフラットへの切り替えも簡単なトヨタ ハイエースがベースのキャンパー
月刊自家用車WEB
国産車にない[大胆デザイン]で登場!! ヒョンデの実力がスゴイぞ! これからのクルマに必要な事って?
国産車にない[大胆デザイン]で登場!! ヒョンデの実力がスゴイぞ! これからのクルマに必要な事って?
ベストカーWeb
GRヤリスがついに240万円に!? [本当の]GRヤリス購入に注意したいコト
GRヤリスがついに240万円に!? [本当の]GRヤリス購入に注意したいコト
ベストカーWeb
プライベーターのポルシェが首位躍進。トヨタ2台はペナルティで相次ぎ後退【WEC第3戦スパ/前半レポート】
プライベーターのポルシェが首位躍進。トヨタ2台はペナルティで相次ぎ後退【WEC第3戦スパ/前半レポート】
AUTOSPORT web
【途中経過】2024年WEC第3戦スパ・フランコルシャン 決勝3時間後
【途中経過】2024年WEC第3戦スパ・フランコルシャン 決勝3時間後
AUTOSPORT web
[新常識]走行距離の短すぎはキケン!? マジでオススメの意外すぎる[良品車]って?
[新常識]走行距離の短すぎはキケン!? マジでオススメの意外すぎる[良品車]って?
ベストカーWeb
マルティンが独走でポール・トゥ・ウイン。バニャイアはスプリントで2連続リタイア/第5戦フランスGP
マルティンが独走でポール・トゥ・ウイン。バニャイアはスプリントで2連続リタイア/第5戦フランスGP
AUTOSPORT web
後席ドアを開けたら後ろから来た自転車とドカン! 「後席にもミラーがあれば」と思ったらAmazonで売ってた!
後席ドアを開けたら後ろから来た自転車とドカン! 「後席にもミラーがあれば」と思ったらAmazonで売ってた!
ベストカーWeb
ボルボEX30 詳細データテスト 高い動力とほどほどの操縦性 物足りない乗り心地 厄介な監視機能
ボルボEX30 詳細データテスト 高い動力とほどほどの操縦性 物足りない乗り心地 厄介な監視機能
AUTOCAR JAPAN
中古車を狙っている人必見!! 約10時間&450kmの東京-静岡往復でわかった初代アウトランダーPHEVの実力
中古車を狙っている人必見!! 約10時間&450kmの東京-静岡往復でわかった初代アウトランダーPHEVの実力
ベストカーWeb
マセラティやAMGのタクシーも! メルセデス・ベンツ新型「Eクラス」にタクシー仕様はない!?【みどり独乙通信】
マセラティやAMGのタクシーも! メルセデス・ベンツ新型「Eクラス」にタクシー仕様はない!?【みどり独乙通信】
Auto Messe Web
ダ・コスタ、ミサノの雪辱果たす逃げ切り優勝。前日優勝のキャシディ2位、日産ローランド3位|フォーミュラE第10戦ベルリンE-Prix
ダ・コスタ、ミサノの雪辱果たす逃げ切り優勝。前日優勝のキャシディ2位、日産ローランド3位|フォーミュラE第10戦ベルリンE-Prix
motorsport.com 日本版
ちょっとクセが強すぎかも? オラ07 試作車へ試乗 モデル3へ並ぶ航続距離 欧州で販売へ
ちょっとクセが強すぎかも? オラ07 試作車へ試乗 モデル3へ並ぶ航続距離 欧州で販売へ
AUTOCAR JAPAN
「SUBAROAD」ってなに? スバル車でなくても使える「寄り道ドライブアプリ」で淡路島を旅してわかった賢い使い方とは
「SUBAROAD」ってなに? スバル車でなくても使える「寄り道ドライブアプリ」で淡路島を旅してわかった賢い使い方とは
Auto Messe Web
マルティン、フランスGP完全制覇し今季2勝目! マルケス10人ごぼう抜き2位|MotoGPフランスGP決勝
マルティン、フランスGP完全制覇し今季2勝目! マルケス10人ごぼう抜き2位|MotoGPフランスGP決勝
motorsport.com 日本版
2024年版 世界最速のクルマ 15選 恐るべき性能を持つ「市販車」たち
2024年版 世界最速のクルマ 15選 恐るべき性能を持つ「市販車」たち
AUTOCAR JAPAN
アストンマーティン初の超高級コンドミニアムが完成! 99%が完成前に成約済みの豪華すぎる全貌とは
アストンマーティン初の超高級コンドミニアムが完成! 99%が完成前に成約済みの豪華すぎる全貌とは
Auto Messe Web

みんなのコメント

この記事にはまだコメントがありません。
この記事に対するあなたの意見や感想を投稿しませんか?

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

509.9575.9万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

25.8875.0万円

中古車を検索
クラウンの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

509.9575.9万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

25.8875.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村