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業界ニュース 2018.9.27

見ない日はないクルマのTVCM なぜお金と時間をかけてCMを作るのか

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■自動車CM制作ができるまで

 若者のテレビ離れという声も聞かれますが、テレビは依然として社会に影響力を持つメディアとして君臨しています。そのテレビをつけると必ずといっていいほど見かけるのが、クルマのCMです。自動車メーカーは新型車の発売や大きなマイナーチェンジを行なえば、ほぼ間違いなくテレビCMを制作します。

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 その内容は様々ですが、どのCMも大企業である自動車メーカーが莫大な時間とお金を掛けて制作しています。有名なタレントを使ったり、人気のあるキャラクターとコラボしたりと、さまざまなアイデアを織り込んでいます。

 そんなクルマのテレビCMの作り方について、自動車メーカーのCM制作に携わる大手広告代理店担当者に話を聞くことができました。

――自動車のCMを作るとき、まず何から始めるのでしょうか?

 普通は、新型車が登場する1年前から2年前に、そのクルマのプロモーションを担当する広告代理店を決定するコンペがあります。主力車種のプロモーション予算は数十億円になることもあるので、代理店も必死です。コンペの前に、新型車の概要やプロモーションの方向性などが自動車メーカー側から伝えられ、それに合うように代理店はプランを練って提案します。

――無事、コンペに勝つとどうなるのでしょう?

 コンペに勝つと、具体的な制作の話を進めることになります。一流のクリエイターたちを集めてチームを編成し、絵コンテと呼ばれる4コママンガのようなものを作ってイメージを固めていきます。そこでGOサインが出れば、いよいよ撮影を行ないます。

■壮絶! 自動車CM撮影の舞台裏

――クルマの撮影で大変なことはどんなことでしょう?

 家電や飲食物であれば、スタジオなど環境の整った屋内で撮影を完結させることができますが、クルマの場合は現場でのロケが必要になることが多く、天候との戦いになります。また、市街地や公道での撮影の場合、一般車両や行政との調整も必要となるため、事前準備が重要となります。とくに日本は市街地での撮影制限が大きいので、ある程度予算がある場合には海外で撮影を行なうことも少なくありません。

 道路を走っているシーンの場合、当然ですが道路交通法や規制を遵守していなければなりません。また、以前実際にあったのが、30年前を懐古しているシーンで、当時のクルマには存在しないはずの排ガス規制対応車両のシールを張るか否かで、自動車メーカー側と議論しました。

――撮影当日、現場はどんな感じなのでしょうか?

 監督、ディレクター、カメラマン、タレントやモデル、スタイリスト、メイク、そしてクライアントと代理店の担当者などを合わせると、数十人から時として100人を超えるスタッフとなることもあります。これだけのスタッフが集まっていると、別の日にもう一度撮り直すことが難しいので、なんとしても一発でOKを出さなければならないということで、非常に緊張感にあふれています。

 一方で、カメラに映るクルマやモデル以外は、スタッフの服や撮影車両、カメラ、ドローンなどの機材も含めて、映り込みを防ぐために光沢のない黒で統一されているため、物々しい雰囲気が漂います。

――クルマの撮影に特有の機材などはあるのでしょうか?

 一番は撮影車両でしょうか。大型のSUVの上にクレーンが付いており、その先にカメラが搭載されています。前述の通り、映り込みを避けるためにあらゆる部分が『つや消し黒』に塗装されています。迫力のある走行シーンなどはこうした撮影専用の車両のおかげです。自動車メーカーのCMは予算が大きいことが多いため、カメラやレンズ、ドローンなども最高の機材が用意されるのが特徴です。

■撮影完了! そして、放送へ

――無事撮影が完了するとほっと一息ですか?

 そんなことはありません。そこからは編集作業が大忙しとなります。ボディの光り方や砂煙の上がり方に至るまでコマ単位で確認をし、必要であれば修正を行ないます。色味の修正にも相当に配慮します。万が一、必要な素材が撮影できてなかったとしても再撮影は難しい場合がほとんどなので、編集の力に頼るしかありません。

 現在のCM制作では、コンピュータ・グラフィックス(CG)を用いた編集を行なうことが多くあります。輸入車やスポーツカーなど、イメージが重要なモデルについては、ほとんどすべてがCGの場合もあります。

 ただ、CGを使うからといって楽になるというものでもありません。CGを使えば、どんな映像も作れてしまうからこそ、クリエイティビティが問われるのです。また、結局は人の手による編集作業ですので、多くの時間が必要になります。

 度重なるクライアントの確認を経て、校了となるとどっと疲れが出ますが、実際に放映されているのを見るとやはり感慨深いですね。しかし、広告代理店の仕事はCMを制作することそのものではなく、クライアントのビジネスのお手伝いをすることですから、CMを放映した結果、クルマが売れたかどうかが最も気になるところです。

――最後になりますが、CMの制作にはどのくらいの費用がかかるのでしょうか?

 キー局か地方局かで放映料金は大きく変わりますし、制作費もピンキリです。けれども自動車メーカーのような大規模のCMで、多くの方が「見たことがある」と実感されるためには、数千万から数億円の放映費が必要となるでしょう。制作費についても、輸入車ブランドなどは海外で制作した素材を使用することで安く抑えることもできますが、国産ブランドであればやはり数千万円から1億円ほどの制作費がかかると思います。これだけの大きなお金が動いているため、関わる人は全員必死になります。

※ ※ ※

 ずいぶん昔の話ですが、いすゞ「ジェミニ」やホンダ「シティ」、三菱「ミラージュ」のエリマキトカゲなどが大いに話題となり、社会現象にもなった事例もあります。最近だと、トヨタの実写版「ドラえもん」シリーズや、ダイハツ「ミラ トコット」の“おとなまる子”、トヨタ「カローラスポーツ」の中条あやみ、菅田将暉の共演も話題になりました。それほど話題になるということは、多くの人が見ているということになります。

 新聞や雑誌にインターネットとメディアが多様化しても、自動車メーカーが巨額な予算と時間を使ってテレビCMを制作する意味としては、まずは「こういうクルマを売ります」とユーザーに知ってもらうのに、テレビはまだまだ最適なツールなのかもしれません。

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(くるまのニュース くるまのニュース編集部)

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