走行距離が少ない=程度がいいは必ずしも成り立たない!
クルマだけでなく、多くのものについて、使っていないもの=程度がいいものという意識は強い。もちろんそれが当てはまるものは多いが、逆に当てはまらないものもある。それがクルマだ。
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中古車店取材をすると、20~30年落ちぐらいのモデルで、走行距離数千キロといった車両に出会うことがある。名車といわれるスポーツカーでもたまにあるのだが、一見すると時空を超えた奇跡の1台のようにも思える。実際に納屋や車庫の奥から出てきた、なんていうエピソードもあったりするのだが、これがくせ者。店に聞いても、整備が大変でしたということも多い。
なぜ大変なのか? 人間でも程良く運動していたほうが、体調もいいし、長生きしたりする。逆にずっと寝ていたら長生きできるのかというと、そうでもないのと一緒。つまりクルマも定期的に乗ってやったほうが結果的に調子もいいし、長く楽しめるのだ。
かくいうワタクシも、同じ目に遭ったことがあるというか、現在乗っている愛車がまさにそう。15年落ちで、4万kmという、奇跡まではいかないにしても、低走行距離が買えたと喜んでいたのだが、これが調子がよろしくない。
具体的にはエンジンが気持ちよく吹けないし、足まわりからの異音が結構大きい。同じモデルに続けて4台も乗っているので、その差には敏感なのだが、やはり走行距離がそこそこ出ていたもののほうが調子はよかった。
乗らないのに調子がよくない理由を考えてみると、エンジンにしっかりとアタリがつかないままというのもあるし、オイルが古いままというのもあるだろう。ただでさえエンジンオイルは1週間もすれば落ちきってしまうので、長期間エンジンをかけないとどうなるか。また突然かけたらどうなるのか、推して知るべしだ。
また、インジェクターの詰まりなどもある。実際、某メーカーの博物館の保管車は20年落ちのモデルでも、やはり動かさないのでインジェクターの内部が固着して、それをうまく落としながらエンジンをかけるのが大変と言っていたのは印象に残っている。
そして足まわりのほうが原因はわかりやすい。それは同じ状態でずっと止まっているからで、ショックアブソーバーは固着、ゴム類も同じところに力がかかって変形。タイヤも動かさないと接地面がへこんでしまう。
またブレーキに使われているフルードは吸湿性があるので、放置しているうちに水分が内部に入って腐食。固着して効かなくなってしまう。動かしていれば、熱も入るし、内部でフルードが動くので、腐食の進行も遅くなる。
こう考えていくと、過走行は避けるにしても、ほどよく動いていたほうが調子よく、それが持続するということになる。もし奇跡の1台に出会って欲しいと思ったら、復活のための整備をどこまでしているのかを確認したほうがいいだろう。
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