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業界ニュース 2018.9.6

【これで決着!ブレーキは右足か左足か】 意外な最善策は「両足」!?

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 高齢者によるペダル踏み間違い事故が起きるたびに、AT車は右足ブレーキでいいのか、以前話題になった「左足ブレーキ」がいいんじゃないか、と話題になる。毎年平均7000件程度のペダル踏み間違いによる人身事故が起きているが、こうした事故急増を受けて、自動車メーカーでは急発進を抑制するAT誤発進抑制機構搭載車種が増えてきた。

 そもそもペダル踏み間違い事故の多くは、右足の(つま先を上げる)筋力が足りないため、アクセルとブレーキのペダルを踏み変える際に起こる「踏み間違い」が原因で起こっている。

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 そこで、そもそもAT車のブレーキとアクセルのペダルは右足だけでいいのか? いや違う! 左足ブレーキで、右足アクセルでいいのではないか、という話が出てくるわけだ。はたしてどれが正解なのか? そもそも正解なんてあるのか? 自動車評論家の鈴木伸一氏が解説する。

文/鈴木伸一


写真&イラスト/Adobe stock ベストカー編集部

■AT車のペダル踏み間違い事故多発の原因は?

 AT車のペダルの踏み間違いは悲惨な暴走事故に結びつくことが多いだけに、新たな事故がニュースで報道されるたび、「左足ブレーキ」の優位性が論議に上がる。

 AT車の暴走事故の原因の多くは比較的単純で、少しのパニック状態からブレーキペダルのつもりでアクセルペダルを思いっきり踏みつけ、大きなパニックに陥ってしまうことで起きる。

 このため、右足のみで行っていたアクセルとブレーキの操作のうち、ブレーキ操作を左足に分担させてしまえば、効果的に防止することができる、というのがその根拠。

 さらに、公道を走れないゴーカートや近年のF1などのレーシングカーのブレーキは左足用に設計されており、右足でアクセル、左足でブレーキを踏むという操作系がスタンダードになっている。つまり、操作系という観点からも理に適っているといえる。

■左足ブレーキのメリット

 左足ブレーキのメリットとして以下のようなものも上げられている。

●右足でアクセルとブレーキを踏む場合、ブレーキペダルはアクセルより高い位置にあるため踏み替えに時間がかか り、その分空走距離を生じる。その点左足ブレーキなら、的確にブレーキをかけることができる。

●渋滞中の運転では、右足ばかりにかかった負担が減るため疲労軽減効果が期待できる。

●左足でブレーキを踏みながらアクセルをゆっくりと踏むと急な坂道でも後退することなく安全に、かつスムーズに加速できるため、坂道発進がより安全にスムーズにできる。

●パワーの出る回転数を保ったまま減速でき、減速後は速やかに加速できるため、スポーツ走行に有益。

■左足ブレーキのデメリット

 とはいえ、以下のようなデメリットも存在する。

●左足では微妙な操作ができない。特にいきなり公道で左足ブレーキを実践するとなると非常に危険! 試しに、開けた場所で、周囲に人やクルマがいないことを確認したところで左足でブレーキを踏んでみるとよい。慣れないと微妙なコントロールができず、踏み終わりは強く踏みすぎてカックンブレーキになってしまう。路上で、このようなヘタくそなブレーキングをしていたら回りに迷惑なばかりか、自身の安全にもかかわる。

●右足を乗せ換える習慣がなくなり危険。最初から左足ブレーキで運転を覚えたのならば問題はないが、教習所が教えているのはあくまで右足ブレーキ。そんな身体的記憶を引きずったままだと、万が一の時にブレーキを踏むべき時に右足が咄嗟的にアクセルを踏んでしまうリスクがゼロとはいえない。

●目の前で事故が起きるなど咄嗟に足を突っ張ってしまい、右足アクセルと左足ブレーキを同時に踏みつける可能性がある。

●ブレーキを引きずるリスク。運転中にブレーキペダルに左足を乗せたままにしやすく、半ブレーキ状態になりやすい。このリスク、MTにおけるクラッチで現実に起こしやすく、クラッチ摩耗の原因ともなっていたのだ。

■日本におけるATの歴史からみる左足ブレーキ

 ではこの「左足ブレーキ」。法律的にはどのような扱いになっているのだろうか? まず日本におけるATの歴史を振り返ってみる。

 MT車とAT車の比率は1985年にほぼ半々だったが、平成に入るとATが急激に増えだし、2000年には9割となり、2017年には97.4%を占めるまでになった。

 このAT車、一昔前の初期モデルは発進時、アクセルを開けても走り出しがワンテンポ遅れ気味で、加速ももっさり。中間加速も同様だった。それゆえ、今では考えられないだろうが、同一車種の中古車がATというだけでMTより安く流通していた(需要が少なく、それでも売れなかった)のだ。

 ところが、技術の進歩で昭和末期にはMTと遜色のない俊敏な走りができるようになり、アクセルとブレーキだけのイージードライブが可能なATは、信号待ちや渋滞等ゴー&ストップの多い日本の道路事情にマッチしたこともあってジワジワと市場に浸透。ついにはAT車がほとんどを占める状況となった。

 つまり、普及課程ではMTとATが混在しており、その間にかなりの年月も経過した。このため、日本の自動車教習所でAT限定免許を取る際、「右足でアクセルとブレーキの両ペダルを操作する」よう教えられている。

 その理由としては、まず「MT車とAT車の両方に乗るケースがあり、操作方が異なるとドライバーが混乱する可能性が高い」というもの。MTにおける左足は「クラッチ」の操作のみで、アクセルとブレーキは右足で行うという操作体系に合わせたわけだ。

■法律上、ATのペダルはどちらの足でブレーキを踏むのか、明確なルールは定められてはいない

 次に、免許的にも技術指導的にも2つのやり方があると煩雑ゆえ、MTもATも同じルールになったというもの。いずれにしろ便宜的な理由で、法律上でもどちらの足でブレーキを踏むのか明確なルールは定められていない。

 つまり、個人の自由裁量に任せられているというのが実情なのだ。

■構造上、左足ブレーキに対応している?

 では、ペダル回りの造りは左足ブレーキに対応しているのだろうか? アクセルとブレーキの2ペダル仕様になっているATのブレーキペダルは、アクセル/ブレーキ/クラッチからなる3ペダル仕様のMTより大きくなっている。その理由として2つの説がある。

 まず、もっとも説得力があるのが、クルマにとってブレーキは最も大切なパーツゆえ、踏み外すことなく、力を入れやすい設計にしたという説。

 もうひとつが、もともと左足ブレーキを意識した設定というもの。ATは長距離を移動する頻度が高いがためのイージードライブがコンセプトのアメリカで誕生した機構ゆえ、左足でも扱いやすいようブレーキペダルを大型化させたとという説だ。

 アクセルは右足、ブレーキは左足、と分業させることで疲労を軽減できるからで、アメリカ人は左足ブレーキを使う人が多いという話もよく聞く。

 ところが、知り合いのアメリカ人(ハワイ在中)に聞いてみたところ「左足は使わないよ。ブレーキも右足だよ普通。みんなそうしているよ」とのこと。イージードライブ優先のハワイだからかもしれないが……。

■現行の国産車では左足ブレーキ移行は無理

 また、現行のAT車のペダル配置はMT車からクラッチペダルを取り除いただけの構造で、右足でブレーキペダルを操作することを前提としているため、ステアリングシャフトの右横からほぼ中心に向かって伸びた配置。横幅の広いペダルとはいえ左足で操作がしやすい位置というわけではない。

 しかも、自動車メーカーによってはブレーキペダルをあえて右に寄せることで、間違えて左足でブレーキを踏んでしまわないよう設計段階から配慮しているケースもあり、取扱説明書に「ブレーキは右足で踏む」ように明記し、左足ブレーキを明確に禁止事項として記載されていることもある。

 このため、左足でブレーキ操作を行おうとすると、下半身を右寄りにねじった不自然な体勢となり、長時間行うと腰が痛くなる。咄嗟に足を踏ん張った際、アクセルを踏んでいた右足の行き場がなくなることにもなる。

 また、運転中にブレーキペダルに左足を乗せたままにしたりすると半ブレーキ状態になりやすく、用もなく「パッパッ」とブレーキランプを点けやすい。このような愚行は、後続車にとって迷惑そのもの。後方に続くクルマにドミノ倒しのようにブレーキを踏ませることになり、渋滞の原因のひとつとなるからだ。

 かといって、ブレーキから左足を離していると、アクセルペダルからブレーキペダルを踏み換えなければならないときと同様の「空走距離」が発生する。

 そんなわけで、ブレーキペダルを「右足で踏む」ことを前提としたペダル配置となっている現行の国産車で、左足ブレーキへの全面移行には無理があるといわざるを得ない。

 ただし、渋滞で足が疲れたときや坂道発進時の右足の補助としては有効であることは間違いなく、安全性も高まる。そんな補助的な操作を基本に、徐々に左ブレーキを慣れさせていき、将来左足ブレーキを前提とした車両が登場したときに備える。現時点ではこれが正しい判断といえるのではなかろうか。

■両足でブレーキを踏むという選択肢

 さらに、その左足の補助的な操作を一歩進めた【右と左の「両足でブレーキを踏む」】という選択肢もある。実は、これこそ現状考えられる最善策といえるのだ。

 踏み間違いを犯した際、なぜ対処できずにパニックを起こしたのだろうか? それは「ありえない」ことが起きたからで、右足だろうが、左足だろうが、どちらでブレーキを操作するにしても踏み間違いを起こす可能性は常につきまとう。

 その点、無意識のうちに両足ともブレーキペダル上に移動する習慣を身につければ、万が一にも右足が踏み間違いを犯したとしても左足がブレーキ力を確保できるため、急激な加速は防げぐことができる。

 とにかく、人間はミスを犯す動物。その際にどう対処するか。つまり、ミスすることを前提にした上での対策こそが、人間工学に基づいた本来の安全策。安全を優先するなら「両足ブレーキ」がベストだろう。

 なお、踏み間違い事故というと、とかく高齢ドライバーに注目しがちだが、現実には若い世代まで満遍なく発生している。それでも高齢者が特に問題ということなら、MT車への乗り替えを促進するのがもっとも確実な踏み間違い防止策だ(MT車の選択肢は極高に少ないものではなく、軽などは結構ラインアップされている)。

 MTなら、操作手順やクラッチを踏み込んだり離すタイミングを間違えればたちまちエンスト。つまり、停止するからだ。高齢者は年代的にMT免許を所持している(還暦を迎えた筆者もその内の1人)はずで、それでMTには乗れないということなら、酷な言い方かもしれないがそろそろ免許証の返納を検討すべき時期にきているのではなかろうか。

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(ベストカーWeb 小野正樹)

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