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売れ過ぎても困る? スズキ 新型「ジムニー」の納期が長引く理由とは

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売れ過ぎても困る? スズキ 新型「ジムニー」の納期が長引く理由とは

■増産体制は? 新型「ジムニー」売れすぎで納期どうなる!?

 2018年7月に発売されたスズキ新型「ジムニー」は、納期が非常に長引いています。スズキの販売店に尋ねると、「今のところ正確な納期は不明です。ただし1年以上を要することは確実とみられています」とのこと。なぜ新型ジムニーは、これほどまで納期がかかってしまうのでしょうか。

スズキが新型「ジムニー」全見せ! 1.5L版「ジムニーシエラ」も同時公開

 同販売店にその理由を聞くと、「すでに1年間分の国内販売目標を超える台数が受注されているからです。特に小型車のジムニーシエラは、軽自動車のジムニーに比べて納期が長くなります」といいます。

 ちなみに1年間の国内販売目標台数は、ジムニーが1万5000台、ジムニーシエラは1200台です。この1年分の台数を受注したから、納期も1年以上を要するという理屈です。

 ジムニーとジムニーシエラの国内販売目標台数は、かなり少ないといえるでしょう。ジムニーは1年間に1万5000台ですから、1ヶ月平均に換算すると1250台です。

 スズキ「ワゴンR」は、2017年(1月から12月)に、1ヶ月平均で9559台を販売しました。ジムニーもフルモデルチェンジを直前に控えながら、2017年の1ヶ月平均は1124台でした。20年ぶりのフルモデルチェンジを行った直後に、1ヶ月平均で1250台というのは、あまりにも生産規模が小さいです。

 そこで前出の販売店に「増産をする予定はないのですか?」と尋ねると、「受注台数がきわめて多いため、メーカーでは増産も考えているようです。ただし2019年以降になり、即座に生産台数が増えることはないと思います」という返答でした。

 綿密に構築された生産設備を増やすのは、とても難しい作業です。膨大なコストと時間も要します。

 そして一度生産設備を拡大させたら、その後も稼働率を維持しなければなりません。直近のジムニーの需要増加に応えて生産設備を拡大させても、その後に需要が下がったら、余剰な生産能力を持つことになってムダが生じます。つまり生産設備を拡大するには、将来に向けて需要を保てる見通しや計画が必要なのです。

 特に今後は、ハイブリッドを含めた電動化、将来の自動運転に繋がる運転支援機能などの技術が進化します。これに伴ってクルマ造りも変わるため、生産設備の拡大には、一層慎重になる必要があるでしょう。

■発売当時「ハスラー」も一時は半年待ち、その時の対応策は

 しかしそうはいっても、ジムニーの納期を遅延させたまま、放置することはできません。顧客を待たせれば、さまざまな不満が生じるからです。

 多くの顧客は、車検期間の満了が近づいた段階で、マイカーを下取りに出して新車を買います。この納期が長引くと、新車が納車される前に車検期間が満了してしまいます。改めてマイカーの車検を取って乗り続けるか、マイカーを手放してクルマを持たない状態で新車の納車を待つか、という選択を強いられます。

 下取りに出すマイカーの査定も面倒です。クルマの価値は時間の経過に伴って下がるため、現時点で査定しても、納期が半年後となれば価値が変わるからです。この間に大きなキズが付いたりする可能性もあるため、改めて査定をする必要が生じます。納期が伸びると、顧客と販売店に多大な迷惑をかけてしまいます。

 2014年1月に発売されたスズキ「ハスラー」も、一時は半年くらいまで納期が伸びました。この時、下取り車がある顧客については、低価格でカーリースを行なったことがあります。下取り車は予定通り車検期間が満了する前に売却して、そこからハスラーが納車されるまでは、ワゴンRなどのリース車両に少ない出費で乗ってもらったわけです。メーカーや販売会社としては相応のコストを要しますが、顧客満足度は下がりにくく、リースを活性化させるオマケも付きました。

 ちなみに最近の国産車メーカーでは、新型車を発売する数ヶ月前に予約受注を開始して、台数を貯め込むのが流行しています。そうすれば生産を伴う発売と同時に、効率良く納車を始められます。

 ただし予約受注の段階では、顧客と販売店は実車のない状態で商談を行い、メーカーに注文を入れます。このリスクを避けて試乗した後で注文すれば、納期が長引いてしまいます。

 こういったやり方が横行する理由は、生産の合理化です。予め注文を取っておけば、販売台数や売れ筋グレードなどが、生産開始の前に分かります。そうすれば、下請メーカーに対する部品の発注などを正確に行なえます。メーカーの都合を優先して顧客を待たせるのが、当たり前になりました。

■ジムニーの需要を見誤って準備も不足

 スズキは日本国内では軽自動車が中心のメーカーですから、短期の納車を希望する顧客も多く、納期遅延を嫌う傾向が強いです。そのために他メーカーと違って、ジムニーについても「発売後1ヶ月の受注台数が、1年分に相当する1万5000台を突破!」といった報道発表は行っていません。

顧客を待たせることを誇る真似をしないのは良いことですが、それにしてもジムニーの納期遅延は問題です。早期解決が求められます。

 現行ジムニーは、1970年に発売された初代モデルを連想させる直線基調の外観が特徴です。1998年に発売された先代型は、都会的なSUVの流行に沿って丸みのある形状にしましたが、現行ジムニーは対称的です。その結果、ジムニーの個性が際立って人気を高めました。

 こうしたジムニーのクルマ造りが、顧客からどのように受け止められるのか。スズキにはそこまで見通した上で、当面の国内販売目標台数を決めて生産の準備をしておく必要がありました。予想以上の人気ともとれますが、国内におけるジムニーの需要を見誤って準備も不足した結果、納期が伸びてしまったのです。

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