先進安全装備を盛り込んだオススメできる1台
およそ6年ぶりに登場した5代目フォレスターは、キープコンセプトながら、新たに快適と冒険というふたつの情緒的価値を加えた。ボディサイズは全長4625×全幅1815×全高1730mm。ホイールベース2670mm。つまり、先代に対して全長+15mm、全幅+20mmに抑え、全高を−5mmとし、ボディ拡大を最小限にしつつ、ホイールベースを30mm伸ばしている。
【WCT TV】国沢光宏の気になるクルマvol.1 フォレスター前編
ボディを塊として見た場合、4代目と見分けるのはなかなか難しいものの、フロントの厚み、特徴的なプレスライン、リヤコンビランプまわりの造形はまったく新しく、しかも中身は定評あるスバル最新のSGP=スバルグローバルプラットフォームをインプレッサ、XVに続き新採用。
パワーユニットは水平対向の2.5Lガソリン(184馬力、24.4kg-m、JC08モード燃費14.6km/L)、およびe-BOXERと呼ばれる2L直噴エンジン+モーターのHV(145馬力、19.2kg-m+13.6馬力、6.6kg-m、JC08モード燃費18.6km/L)とステップアップ制御付き7速リニアトロニックCVTを組み合わせる。駆動方式は全車スバル自慢のシンメトリカルAWDで、新たに2モード化されたXモード、SIドライブも標準だ。
グレードは2.5Lガソリンにサマータイヤのツーリング、プレミアム、同エンジンにオールシーズンタイヤのX-BREAK、そしてe-BOXER搭載のアドバンスの4種類を用意。進化したアイサイトver.3は全グレードに標準装備している。
もちろん、SUVとして基本的な走破性もさらに磨かれ、最低値乗降はクラストップの220mm(先代同様。CX-5 210mm、エクストレイル205mm)を確保している。ホイールベースの延長によって最小回転半径は先代の5.3mから5.4mになっているが、それでも、日常使いだけでなく悪路でこそ威力を発揮する小 回り性は依然、抜群と言っていい。
パッケージ面では快適というキーワードを生かすため、30mm伸ばされたホイールベースの余裕をすべて後席ニースペースに充て、後席への乗降性を、開口角度75度から80度まで拡大し大きく開口するドア、フラットで滑り止めのついた大きなステップ(ルーフの雪下ろし、愛犬の乗車にも便利。愛犬を後席に乗せる際、シートとサイドシル間の隙間がないため、抜け毛掃除が楽なのも◎)、ドアが全開できない場所でもスムースに乗降できるような工夫などによって向上させているのもポイントだ。
先代同様、悪路や雨の中を走ってもサイドシルが汚れず、乗降時にパンツやスカートを汚さずに乗降できる、サイドシルをドアが覆うクリーンサイドシルも採用している。
運転席に乗り込めば、乗降性は文句なし。SUVにありがちな高いシートによじ登るような感覚は一切なし。降車もごく自然に足が地面につくという感じである(筆者の身長は172cm)。インパネ、メーターまわりのデザインはまったく新しい。しかしなによりも印象深いのは、各メーター、豊富な情報量を持つインフォメーションの見やすさ。
色使いも新鮮で、先進性さえ感じさせるグッドデザインだと思えた。シートのかけ心地、各操作系の操作のしやすさも文句なし。初めて運転しても、すぐになじめるレイアウト、扱いやすさがある。
先代フォレスターのオーナーなら、絶大なる悪路走破性をもたらしてくれるXモードのスイッチの違いに気づくはずだ。先代はプッシュ式でONかOFF。しかし新型はヒルディセントコントロール付きのダイヤル式となり、SNOW&DIRT/DEEP SNOW&MUDの選択ができるようになった。雪道や悪路を走る機会の多い人にとってより便利に、頼もしく感じられるようになったと言えるだろう。
一方、後席に乗り込んでも乗降性は極めてスムース。後席に着座すれば、座面の分厚いクッション感、適切な背もたれの角度、そして前席に対して50~80mm高いアップライトかつ前方見通し性抜群の着座位置、着座感によって居心地は爽快、快適そのもの。
身長172cmの乗員がサンルーフ付きの後席に座ると頭上に90mm、ひざまわりにゆとりの250mmものスペースがあり、足を組んで座ることも可能なほどゆったり。そして声を大にして報告したいのは、先代になかった後席エアコン吹き出し口がついに装備されたこと。その下には全グレードに左右別々のシートヒータースイッチ、2つのUSBコンセント(2.1A)もあるのだからうれしすぎる。
快適というキーワードはこんなところにも生かされている。SGP=スバルグローバルプラットフォームの恩恵は、じつはラゲッジルームの使い勝手にも現れている。つまり、リヤまわりを含む高い剛性を実現できたため、バックドア開口部を大きくとることができ、リヤボディ左右いっぱいに開口するような、最大開口幅1300mm(先代1166mm)、フロア最大幅1585mm(先代1527mm)を確保。
おかげで9インチのゴルフバッグや4人がけテーブルベンチを真横のまま出し入れしやすくなり、ラゲッジ容量もラゲッジの高さを変えずに先代の505Lから520L(VDA方式)に拡大。さらに6:4分割可倒式の後席をワンタッチフォールディング機能で格納したときのフロアのフラット度も向上。それこそ大空間ステーションワゴンとしても機能する積載力の持ち主になっている。
追突事故発生率が84%減少したというアイサイトも最新のツーリングアシストに進化。リヤビークルディテクション(ブラインドスポットモニター)とアダプティブドライビングビーム(自動ハイビーム)はアイサイトセイフティプラスとしてプレミアム、HVのアドバンスに標準装備、その他のグレードにOP設定されているが、とくに車線変更時の接触事故を未然に防いでくれる効果があるリヤビークルディテクションは、自動ブレーキに次いでぜひとも欲しい先進安全装備。さらにHVのアドバンスにはドライバーモニタリングシステムまで加わるのだから、先進安全支援機能は完璧と言えそうだ。
舗装路では高級車のような質感の高い走りを披露
ここで公道初試乗したのは2.5Lガソリンエンジンを搭載し、18インチのサマータイヤを履いた、ガソリン車の最上級グレードとなるプレミアムだ。運転席に快適に乗車すれば、まずは全方向の視界の良さ、各種インフォメーションの見やすさはもちろん、本格SUVに不可欠なボンネット左右の視認性の良さに納得だ。
身長172cmのボクがパワーアジャストで運転席をもっとも下げたドライビングポジションをとっても、ボンネット左右がしっかり見える。これは極悪路などでの走りやすさにも直結する機能である。
あわせて、ドライビングポジションと各操作系の適切配置によって、初めて公道でステアリングを握ったにもかかわらず、自信を持って走りだすことができた。新型ではまだ極悪路を走っていないが、先代のXモードの驚異的な走破性の高さは確認済み。最低地上高200mmの余裕もあって、クラストップレベルの走破性を実体験している。新型ではそれがさらに進化しているのだから、最強だろう。
SIモード(インテリジェントモード=Iとスポーツ=Sの2モード)をインテリジェントモードにセットして走り始めれば、まずは上質感、上級感溢れるフラットで快適な乗り心地とロードノイズの小ささに、本格SUVに乗っていることを忘れさせてくれたほどだった。まさに大人のプレミアムSUVである。無論、悪路に入れば、サスペンションが生き物のようにストロークする走破性を発揮してくれる頼もしさが控えている。
その乗り心地の良さと静粛性の高さは高速走行でも不変。クルマはパワーユニットなどが劇的に静かになると、ほかのノイズが目立ってしまうものだが、新型フォレスターの場合それがほぼない。エンジンノイズ、風切り音、ロードノイズを含め、圧倒的に静か。まるで高級サルーンに乗っているかのようだ。
パワーステアリングは適度な重さで直進感は抜群。切る、戻す、どちらの操作でもスムースそのもの。いや、ハンドルを切っていることを忘れさせてくれるほど、自然な操作感と表現したい。
2.5Lの水平対向エンジンは、リミットの6000回転まで振動などほぼ伝えずにウルトラスムースに回り切る。ただし、意外だったのは2000回転以下のトルク感。燃費対策のためか、2.5Lの排気量から想像するほどではなく、その領域ではアクセルレスポンスもおとなしい。エンジン、加速力が活気づくのは2000回転を超えてから、という感覚だ。本格SUVは悪路走破性を考慮して、出足の飛び出し感を抑えたエンジンマネージメントが基本だが、それにしても、もう少し活発な、柔軟性のあるエンジンフィールであってほしいと思えたのも本当だ。
が、2000回転を超えてから、あるいはSIモードをSモードにセットすれば動的性能は一変。ジェントルにして、期待値に近い加速力を発揮してくれる。先代の6速から7速となったCVTはラバーバンド感がなく、ステップアップ制御によってアクセルペダルの踏み込み量とリンクした加速を披露。伸びやかに、静かに速度を高めてくれる。
じつは試乗中、高速道路でお盆休みの大渋滞に巻き込まれた。その際、威力を発揮してくれたのが最新のアイサイトver.3。ACCが渋滞追従型であるのはもちろんだが、その作動は極めてスムースで信頼のたるものかつ、ちょっとせっかちなボクのようなドライバーでも不満のない車間距離、再加速、追従性能を披露してくれたのだ(追従走行時の加速モードを4段階から選択可)。クルマが流れ始めれば、ステアリングアシスト制御付き車線逸脱制御の精度にも感心しきり。渋滞が苦にならない余裕さえもたらしてくれるのが最新のアイサイト、ツーリングアシストなのである。
高速道路を下り、市街地に入ると、全幅1815mmの幅広すぎないボディ、ボンネット左右のふくらみがしっかり視界に入る見切り性と全方向の視界の良さ、そして最小回転半径5.4mの小回り性によって、狭い道の走行はもちろん、Uターン、駐車場のゲートの幅寄せのしやすさなどにも納得。
フォレスターは生産台数の約68%がカナダを含む北米で販売され(日本国内は7.1%/2017年スバル調べ)、海外でも絶対的な人気を得ているが、決して日本市場、日本の道を軽んじているわけではないことを改めて実感。オンロードでの快適性、走りやすさはもちろんだが、Xモード、最低地上高200mmによるクラス最強の悪路走破力も見逃せない商品性だ。
悪路での使用頻度が多いなら、オールシーズンタイヤを履く、よりワイルドな仕様のX-BREAKもいいだろう。試乗したガソリン車の最上級グレードとなるプレミアムは、スバルではリヤビーグルディテクション(後方車両検知=ブラインドスポットモニター)を含むアイサイトセイフティプラスも標準装備され、価格は302万4000円だ。
買い得感という意味では280万8000円のツーリングも魅力的。基本的な装備は充実しているし、アイサイトのセイフティプラスなどをOP装着できるなど、装備追加の自由度も高いからだ。
また、2Lエンジン+モーターのHV、アドバンスにはドライバーモニタリングシステムが唯一装備されるため、実質的にプレミアムと同等価格。その上でアドバンスはエコカー減税対象だから、じつはガソリン車のプレミアムより買い得と言えるかも知れない……。
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