■クラリティの最大の特徴 EV依存度が大幅に増えたこととは?
ホンダが開発したクラリティ PHEVは、ハイブリッド車の概念を覆すような性能を秘めています。航続距離や充電時間、あるいはセダンとしての使い勝手の問題などを一気に解決してくれるようなクルマなのです。
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まず、ハイブリッド車のことを説明しましょう。ハイブリッド車はガソリンとモーターを併用して走行するクルマを意味します。そのハイブリッド車に、外部からの充電を可能にする機能をつけたクルマがプラグインハイブリッド車なのです。
プラグインハイブリッド車は、バッテリーが十分に充電されているときは主にモーターだけで走行し、電気が不足すると、エンジンと併用して走行する。それが一般的なパターンです。つまり、電気だけで走るEV車と、モーターとエンジンを併用するハイブリット車のいいとこ取りをしたというわけです。
ただし、従来のプラグインハイブリッド車には不満もありました。せっかく充電したのだからモーターだけでもっと走っていたいと思っても、すぐにハイブリット車になってしまったのです。それはバッテリー容量が少ない事が理由です。そこにホンダはメスを入れました。
クラリティ PHEVでは17kWhという大容量のバッテリーを搭載しています。これによりJC08モードという走行パターンであれば、一度満充電にすると114.6kmも走行できるのです。日常の使用では、ほとんどEV走行でこと足ります。
もちろんロングドライブをしてバッテリー残量が低下すれば、ハイブリッド車として走行します。ガソリンタンク容量は軽自動車よりも小さい、たったの26リットルですが、満充電されていれば電気とエンジンを併用して走行することで、800kmほど無給油で走行が可能なのです。しかも、モーターパワーも大幅に強化されましたから、市街地走行での加速ではエンジンの助けを借りずに、EV車として力強い走りを実現しています。
今回は首都高速や市街地走行を繰り返しましたが、ほとんどEV走行で、燃費計も99.9km/hを表示したままでした。ガソリンスタンドに寄ることを忘れてしまいそうです。
■エンジンを搭載しているのを忘れてしまうクラリティ PHEV
開発責任者の清水氏はクラリティ PHEVの狙いを、こう説明してくれました。
「粘るEVを目指しました。我慢することのないEVとしてもこだわりました。Dセグメントのセダンとしてきっちり作ったつもりです」
クラリティ PHEVはEV性能を大幅に高めただけでなく、PHEV化によって我慢しなければならなかった弊害、つまり荷室が狭くなることや、走りの性能が悪くなることを改めたのです。そして、急速充電も可能なりました。バッテリーを床下に積むことで、トランクスペースが広くなり、ゴルフバックが4つも詰めるようですし、低重心化にも貢献しているので、走りも悪化させないように開発したとのことです。
実際に走らせると、エンジンを搭載していることなどを忘れてしまうほど、ほとんどの領域でモーター走行が繰り返されます。アクセルペダルを強く踏み込むとエンジンが始動しますが、EV加速はかなり力強いので、エンジンの助けを借りることはほとんどありませんでした。
ハンドリングはそれほどスポーティではありません。ステアリング応答は穏やかですし、フットワークも軽快ではありません。スポーティカーではないので、そのあたりは目を瞑る必要があるかもしれませんね。
ただ、モアパワーを期待するドライバー用に、加速やレスポンスを鋭くするスポーツモードが設定され、回生ブレーキ時の減速感を強くするパドルレバーが組み込まれているなど、ホンダらしい細工にも頬が緩みました。
ボディデザインは特徴的です。近未来を感じさせるためにあえて個性的なスタイルにしたのでしょう。作り込みも近未来的です。
クラリティ PHEVはハイブリッドに充電機能を組み込んだプラグインハイブリッドではありますが、まるでEV車に発電用エンジンを搭載したエンジン付きEV車のような感覚でした。
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