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ボクとボルボの思い出──極上の240ワゴンに乗って考えたボルボの魅力とは?

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ボクとボルボの思い出──極上の240ワゴンに乗って考えたボルボの魅力とは?

4半世紀ぶりに240ワゴンと対面した第1印象は「こんなに細長かったっけ?」。全長4785mmに対し全幅は1715mmと、現代のクルマに比べるとずいぶん細長い。

今回、インポーターが所有する極上の240ワゴンに乗る機会を得て、軽井沢へクルマを走らせた。道中、懐かしい記憶が蘇る。子どものころ、実家に濃紺の240ワゴンがあったのだ。

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筆者が生まれ、家族3人でのレジャーユースを見越し、ステーションワゴンを購入したという。また、片岡義男の小説に登場するステーションワゴンのある暮らしに、母が憧れていたこともあったらしい。90年代中頃、突如起こったステーションワゴンブーム以前の話だ。

今でこそ乗用ベースのワゴンがほとんどかもしれないが、当時はワゴンといえば輸入車を除きほぼ商用ベース。「霊柩車や社用車に使われているのと同じモデルのクルマには乗りたくない」という母の意向もあり、240ワゴンとなった。

ただしこれには、銀行員だった父の仕事も影響していた。今でこそ、日本車/輸入車の垣根はだいぶなくなってきたが、当時は価格に関係なく輸入車=高嶺の花だったこともあり、内資の銀行員が輸入車に乗ることは、通念上、好ましくないとされていた。したがって、メルセデス・ベンツやBMWを選択することはそれ相応の理由がない限り、白い目で見られるケースが多かったという。しかし、ボルボはそれらドイツ製高級車に比べ、いくばくかクリーンな印象だったこともあり、乗っても良い“雰囲気”だったという。

かくして我が家にやってきた240ワゴンは主にレジャーで大活躍。毎週のように西へ東へと旅に出掛けた。古いアルバムをめくると、旅先で撮ったと思わしき240ワゴンが映る写真が多数あった。

ただし、その多くは筆者が物心つく前のことであり、そのため240ワゴンとともに旅した記憶はまったくない。記憶にあるのは、内外装のことと、事故に遭ったときのことぐらいだ。

その日は突然起こった。忘れもしない1993年の1月3日、240ワゴンが信号待ちのときに追突されたのだ。相手は飲酒運転のR32スカイライン GT-R。時速50~60km/h、かつノーブレーキで突っ込んだという。幸い筆者は、祖父のクルマに乗っていたため難を逃れたが、チャイルドシートが普及する以前の話だっただけに、もし乗っていたとしたらこの世からいなくなっていたかもしれない。

事故現場は今でも鮮明に覚えている。両親が救急車に乗り込む場面、追突したGT-Rのフロント部分が大破したことなど。とりわけ、印象深かったのは240ワゴンがほぼ原型を留めていたことだった。ペチャンコになったGT-Rとは対照的だった。子供ながらに、不思議で仕方なかった。

走行距離約6万6000kmのワンオーナー車両だけあって、各所のヤレはほとんどない。「ほとんど手をくわえていません」という担当者の言葉が信じられないほど、ボディは輝きを保っていた。インテリアに目を向ければ、シートのヘタリもほとんどなく、カセット付きの純正ステレオも新車時からのままで今なお現役。エアコンもシートヒーターもしっかり効いていた。

今回は東京~軽井沢を240ワゴンでドライブした。基本設計が40年以上前のクルマであるだけに、ハンドルはフラフラと頼りないし、動力性能も決して高くない。軽井沢の登坂路ではハイペースのクルマにとても付いていけなかった。

でも、不思議なほどそれらの弱点を許せる魅力があった。飛ばす気にならないし、コーナーを攻める気にもならないが、そうであったとしても、それがまるで気にならないのだ。「まぁ、いいではないか」と、心のどこかで許してしまう。思い出がある筆者はさておき、同行したジャーナリストやカメラマンも同じようなことを話していた。「これで十分」と。巷で240ワゴンがいまも根強い人気を誇っているのがようやく理解できた。

話を戻すと、追突された240ワゴンは、フレームに甚大なダメージを受けたため、修復不能で廃車となった。ちなみに、救急車で運ばれた両親は無傷かつ後遺症もなかったのはボルボのおかげだったかもしれない。早急にクルマが必要だった我が家は、次もまたボルボを選んだ。これが、いわくつきの740ワゴンだった。

我が家に来た最終モデルの740ワゴンは、俗に言う“ハズレ”だった。頻繁に故障したため、最寄りのディーラーへ入庫することが多かったが、それについて行くことが幼少期の楽しみでもあった。

当時、850ワゴンのヒットで勢いがあったのだろう、行けば必ずなにかしらのプレゼントをもらえた。ステッカーやミニカーは当たり前、腕時計やプラモデルまであった。また、あるときはサッカーのスウェーデン代表チームが来店、サインをもらったこともある。ディーラー主催の豪華なキャンプも懐かしい。今では考えられないスケールのイベントだった。

そういえば、担当者が我が家に来て、食事を一緒にしたこともあった。故障の頻度を考えると、愛想を尽かしてもおかしくないが、両親は担当者の献身的な対応とディーラーのホスピタリティに満足していたがゆえ、しばらく乗り続けたという。

とはいえ、年を追うごとに故障内容は重症化し、修理費用も看過できない額となったため、ついに両親も所有し続けることを断念した。すっかり、ボルボ=故障しやすい、と恐怖を抱くようになり、断腸の思いで別ブランドのワゴンへと乗り換えたのだった。

それから約20年、両親はボルボとすっかり疎遠になり、ドイツブランドのワゴンばかり乗り継いできたが、ふとしたきっかけでまた我が家にボルボが帰ってきた! そのきっかけは“BMW”だった。

ある日BMWのディーラーに勤める友人から先代5シリーズワゴンの最終モデル購入の話を持ち掛けられた。好条件だったため、ちょうどクルマの買い替えを検討中だった母に勧めてみたものの、いまひとつピンっとこない。むしろ、「今さらワゴンを買うのはもうつまらない」と言う始末。であれば、今流行りのSUVがいいのでは? と思い、勧めてみたところ思いのほか興味を持った。

そこで、X4やX5といったBMWのSUVモデルを勧めたがこれもまたピンっとこなかった。メルセデス・ベンツやアウディのSUVを勧めても同様。ならば、とボルボXC60(先代)を提案したら、予想外に好反応だった。母が前々から気になっていたディーゼルエンジンだったことや、快適装備が豊富だったこと(最終モデルの“お買い得”仕様だった)もさることながら、やはり“ボルボ”の響きに懐かしさがこみ上げたようだった。

故障への心配は相当だったが、色々調べたのだろう。以前と比べようもないほど信頼性が向上したことを知り、購入することとなった。かくして、我が家に20年ぶりにボルボが戻ってきたのだ!

購入して約1年半。XC60は母の足となり、日々走りまわっている。故障はまったくないが、洗車サービスを受けに足繁く最寄りディーラーへと通っている。そこには740時代の担当者がいたりするのだから面白い。

我が家の新しいボルボはワゴンでもないし、家族揃って旅するためのクルマでもなくなった。それでも、かつてを彷彿とする優しさや温もりを感じてしまうのはなぜだろう? うまく言葉にできないが、これこそがボルボの魅力だろう。メルセデスやBMWでは味わえない“あたたかみ”があるのだ。それは240然りだし、最新のXC60やXC40にも共通する。昨今、ボルボが人気を集める要因は、安全性や走りの良さもさることながら、やはりこの“あたたかみ”ではないか、と久しぶりに対面した240ワゴンに乗って、そう思ったのであった。

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