■パリ警察ご苦労様です。ピザ屋の次は最強のふたり組。
2011年に公開されたフランス映画『最強のふたり』は、フランスで大ヒットを記録。国内におけるフランス映画の興行収入が、あの『アメリ』を超えたことでも大きな話題を呼びました。
北野映画の真骨頂 ゴツいクルマが多数登場する映画「アウトレイジ」
本作は、パラグライダーの事故で全身麻痺となった大富豪・フィリップと、スラム街出身の黒人青年・ドリスの奇妙な友情を描くヒューマンドラマ。フィリップの介護人の面接にやって来たドリスは、実際に働く気などさらさらなく、失業手当を貰うために仕方なく就職活動の実績を作りに来ただけでした。ところが、不真面目な態度で面接を受けたのにも関わらず、気難しい性格のフィリップがドリスを気に入り、周囲の反対をよそに介護人として雇ってしまう……という物語の導入部からして、実話をもとにしているとは思えないほどドラマチックです。
しかもオープニングシーンから、パリ警察との手に汗握るカーチェイスを展開。ドリスは、マセラティのフラッグシップモデルでもあるクアトロポルテの助手席にフィリップを乗せると他の車を縫うように次々と追い越し、危険運転を見咎めた(みとがめた)警察の追跡を振り切ろうとパリの街を爆走します。この唐突なオープニングが感動のラストに繋がるのですが、二人のなんとも粋なやり取りには多くの観客が涙したことでしょう。
さて、そんな感動を演出するクアトロポルテに搭載されているエンジンは4.2リッターのV8で、5秒もあれば時速100キロメートルに達するというスポーツカー顔負けのスペック。全長5メートルを超える大柄なボディをものともせずに、次々と車を追い抜き警察を引き離す姿には釘付けになってしまいます。ブラックのボディカラーもあいまって、威厳と気品を同時に感じさせるクアトロポルテですが、事故に遭い車いす生活を余儀なくされる以前はフィリップ自らパリの街を走らせていたのかもしれませんね。
障がい者や移民問題など、重くなりがちなテーマを軽快なコメディタッチで描く本作は、車いすを改造し二人乗りするシーンも秀逸。高級車だけでなく、プジョーやルノーなど背景に自然と溶け込んだ実用的なフランス車にも注目してみては如何でしょう。
■『最強のふたり』作品情報
ストーリー:ひとりは、スラム街出身で無職の黒人青年ドリス。もうひとりは、パリの邸に住む大富豪フィリップ。何もかもが正反対のふたりが、事故で首から下が麻痺したフィリップの介護者選びの面接で出会った。他人の同情にウンザリしていたフィリップは、不採用の証明書でもらえる失業手当が目当てというふざけたドリスを採用する。その日から相入れないふたつの世界の衝突が始まった。クラシックとソウル、高級スーツとスウェット、文学的な会話と下ネタ──だが、ふたりとも偽善を憎み本音で生きる姿勢は同じだった。
互いを受け入れ始めたふたりの毎日は、ワクワクする冒険に変わり、ユーモアに富んだ最強の友情が生まれていく。だが、ふたりが踏み出した新たな人生には、数々の予想もしないハプニングが待っていた──。
人生はこんなにも予測不可能で、こんなにも垣根がなく、こんなにも心が躍り、こんなにも笑えて、涙があふれるー。
監督:エリック・トレダノ、オリヴィエ・ナカシュ出演:フランソワ・クリュゼ、オマール・シー、アンヌ・ル・ニ、オドレイ・フルーロ、クロティルド・モレ他
(C)2011 SPLENDIDO / GAUMONT / TF1 FILMS PRODUCTION / TEN FILMS / CHAOCORP
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