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ホンダ軽バンの新機軸「Nバン」、最大のライバルは「Nボックス」!?

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ホンダ軽バンの新機軸「Nバン」、最大のライバルは「Nボックス」!?

■登場から大躍進のNバン、その魅力とは

 1999年のデビュー以来、実に19年間に渡って活躍したホンダ軽商用バンのアクティバンとバモス。その後継車として登場したのが、いま注目を集めている「Nバン」です。スズキのエブリイ、ダイハツのハイゼットという2強がひしめく軽商用バン市場に、新たなる価値観を武器に参入してきました。

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 具体的な数値は発表されていませんが、ホンダの広報によれば事前予約だけで、すでに想定の2倍(月販目標は3000台)に達しているということですから、これまでアクティバンやバモスのシェアを考えれば、大躍進と言ってもいいでしょう。

 さて、より大きな、そして多くの荷物を積載するという性能のために、これまでの軽商用バンにはいくつかの特徴がありました。まず、車内スペースを広く取るために、キャブオーバーという構造を採用してきました。

 エンジンを運転席・助手席の下に置き、エンジンより前に居住空間があるという構造です。トラックなどの商用車では一般的な構造ですが、前面衝突時のリスクが伴い、同時に運転席・助手席の足元が狭くなるというデメリットが。

 キャブオーバーと併せて採用されてきた構造が、MR(ミッドシップ・リアドライブ)というパワートレインです。エンジンが前輪車軸よりも後ろに位置し、後輪を駆動させるという駆動形式を言います。これも商用車では一般的ですが、重い荷物を積載している時にタイヤの前進のための力(トラクション)が登り坂などで有効に使えるからです。

 また、後輪軸に丈夫な車軸(アクスル)を配するため、耐荷重という点でも優れています。

 ところが、新しく登場したNバンはFF(前輪駆動)という、これまでのセオリーを破ったカタチで登場。これには、Nバンならでは“武器”を備えるための理由があります。

■上級グレードが半数以上売れてるNバン、軽商用バン市場では異例

 まずFFレイアウトにしたことで、前面衝突時の安全性が向上し、同時に運転席・助手席への乗降性と居住性が良くなります。エブリイやハイゼットと乗り比べてみると、前輪のタイヤハウスに足が当たらないので、ゆったりと足を伸ばして乗れ、乗り降りも格段に楽です。

 またエンジンが車外に出たことで静粛性がアップ。二列目シートの足元スペースも広くなりました。最大のメリットとしては、床下にあった後輪にエンジン駆動力を伝えるプロペラシャフトが無くなったため、低床となって後部スペースがより広く確保できたことです。

 地面から荷室床面までの高さを3モデルで比較してみると、エブリイは650mm、ハイゼットは635mm。それに対してNバンは、なんと525mm。天井までのスペースをより効率よく使える上に、バイクや自転車を積載するレジャー派には使いやすいというメリットがあるのです。

 ちなみに2名乗車時の荷室長は、エブリイが1955mm、ハイゼットが1950mm、対してNバンは1510mmと、キャブオーバー車に軍配が上がります。ですが、その弱点をカバーするため、後席を床下収納した時のフロア面は他モデルよりもフラットにし、助手席まで倒せば2635mmの最大スペース長を確保。これは同じく助手席がダイブダウンするハイゼットの 2630mmを超える数値です。

 さらに室内幅はクラス最高の1390mmを確保するなど、キャブオーバー車に引けを取る部分はほぼありません。

 このようにNバンは機能面でアドバンテージを持って登場しましたが、最大の特徴はそのスタイリング。ベースモデルのNバンは商用車然としたスタイリングですが、上位グレードのNバン+スタイルはまるでNボックスのようにスタイリッシュです。

 丸目ヘッドライトの「FUN」はルノー・カングーのようなキュートさがあり、最上級グレードの「COOL」は、Nボックスのような高級感を持っています。ちなみに予約受注の半数近くが上級グレードのFUNとCOOLということで、これは従来の軽商用バンの市場で考えると異例と言えます。

■年間7万台以上のエブリイの牙城崩せるか

 この特徴的なグレードに加え、外観をドレスアップするアイテムや車中泊を快適にするマルチボードなどのオプションが豊富に用意されており、レジャーユースとしても大きな可能性を持っているモデルであることが分かります。

 すでに国内のいくつかのキャンピングカーメーカーは、Nバンをベースにしたモデルの開発に着手しており、秋にはニューモデルを発売するという話も出ています。

「Nバンはあくまでも仕事のためのクルマ」と開発者の一人は言い切りますが、助手席まで床面が完全にフラットになる機能や運転席が180度まで倒れる機能、助手席側ピラーレスなどはライバルの商用バンにはなく、MTBやフィッシング、オートキャンプなど多様なレジャーへの対応を期待させてくれます。

 一方で、126.8万円から169.1万円という価格は、どのライバルより高い設定で、機能やスタイリングを考えると実はライバルはファミリーのNボックスになるのではという見方もあります。これについてホンダの広報は「Nボックスは人を運ぶクルマですが、Nバンは荷物を運ぶクルマという位置づけ。互いがシェアを奪い合うというわけではなく、ユーザーさんの選択肢が広がったと考えています」と言います。

「後席の面積が荷室より広くてはならない」という4ナンバー軽商用車の条件はNバンも例外ではなく、+スタイルではライバルより快適なシートを採用しているとは言え、シートリクライニングができない後席で長時間のドライブはきついものがあります。後席はあくまでもエマージェンシーとして考え、1人もしくは2人での使用を主体にすれば、十分に日常やレジャーにも使えます。

 またNAエンジン以外にターボエンジンが設定されているので、高速道路を使っての長距離移動も快適。AT車はCVTを使っているので、エブリイやハイゼットのATに比べると快適で走りがスムーズ。FFということもあって、NA車で23.8?/L、ターボ車でも23.6?/Lという燃費(共にJC08モード)は、企業のみならず私たち一般人にも嬉しいポイントです。

 “日本一売れている軽自動車”NボックスのDNAを持ったNバンですが、軽商用バンの世界に示した新しい価値観が、年間7万台以上を販売するエブリイの牙城をどこまで崩すのかが楽しみです。

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