■減少を続ける国内販売、2017年の台数は1990年の67%
日本自動車販売協会連合会の統計によると、過去10年ほどの国内販売台数は、500~560万台で推移しています。多少の増減はありますが、778万台を記録した1990年(データはすべて暦年)以降、ほぼ一環して減少を続けています。2017年は523万台だったので、1990年の67%にとどまりました。
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国産車が低迷する一方で、輸入車は堅調に増え続けています。日本自動車輸入組合の統計によると、国産車の販売がピークを迎えた1990年に、輸入車の販売台数はわずか22万台でした。それが2017年には35万台に増えています。輸入車販売が最も好調だった1996年の43万台には達しませんが、2000年代に入って30万台を割り込みながら、2010年以降は再びプラスに転じました。
そして輸入車の中で、圧倒的に高いシェアを誇るのがドイツ車です。2017年の輸入車販売ランキングは、1位:メルセデス・ベンツ、2位:BMW、3位:VW(フォルクスワーゲン)、4位:アウディ、5位:BMWミニでした。
この5ブランドを合計すると、外国メーカー製の輸入乗用車市場において68%に達します。6位のボルボ、7位のジープなども増加傾向ですが、今でもドイツ車が強い傾向です。このあたりは旧態依然とした印象も受けます。
2017年に売れた車種は、1位:BMWミニ(全車合計)、2位:VWゴルフ、3位:メルセデス・ベンツCクラス、4位:メルセデス・ベンツEクラス、5位:BMW3シリーズ。以下、VWポロ、BMW2シリーズ、BMW1シリーズ、BMW・X1、BMW5シリーズと続きます。2017年はBMWが2位になり、好調に売れる車種にもBMWが目立ちます。
これらの車種の中で、販売に特に大きく貢献したのは、3位のメルセデス・ベンツCクラス、4位のメルセデス・ベンツEクラス、5位のBMW3シリーズ、10位のBMW5シリーズといったセダン&ワゴンです。これらは長期間にわたり安定して売れるため、各ブランドにとって大切な商品です。
メルセデス・ベンツの販売店は、「今のメルセデス・ベンツは、AクラスやBクラスなど、価格が比較的安いコンパクトな車種に力を入れています。少し前まではメルセデス・ベンツは『多額の予算がないと買えないクルマ』と誤解され、お客様を逃している傾向もありました。そこでA/Bクラス、GLAなどの拡販を行ったわけです。ただしそれが行き過ぎると『ブランドの安売り』になります。Aクラスが現行型にフルモデルチェンジした2013年頃は、メルセデス・ベンツのプレミアムなイメージが下がらないか心配しましたが、最近はC/Eクラスの販売も好調で、バランスの良い売れ方になっています」。
BMWの販売店も、同じような話が聞かれます。「車内の広い前輪駆動のBMW2シリーズ(アクティブツアラーとグランツアラー)が発売され、以前に比べると子育てをするファミリー層のお客様が増えました。嬉しいことですが、ブランドイメージまで変わると、将来的に良くない影響を与えます。そこで実用性の優れた2シリーズでも、BMW本来の走りの良さをアピールしています」。
このようにメルセデス・ベンツやBMWが訴求するのは、以前と同じ質感や走りの良さです。それでも販売が着実に伸びたのは、SUVの導入などと併せて、国産車との競争が有利に展開しているからでしょう。
■国産セダンが目指すところは輸入車に奪われた市場を取り戻すこと
国産Lサイズセダンの開発者に話を聞くと、「最近は国産Lサイズセダンの売れ行きが下がり、メルセデス・ベンツやBMWなどの輸入車が増えています。以前は国産車が販売面で同クラスの輸入車に負けることはなかったですが、今は状況が変わりました。従って今の国産セダンに求められるのは、輸入車に奪われたセダン市場を取り戻すことです」といいます。
かつて国産セダンには、1.5リッターエンジンを中心に搭載する5ナンバー車が多かったですが、今は4車種だけです。それ以外はすべて3ナンバー車で、大半が海外向けに開発されました。
その結果、価格が300万円を超える上級セダンで堅調に売れるのは、トヨタ クラウン程度になり、ほかはすべて低調です。トヨタが展開する上級ブランドのレクサスには、セダンが豊富に用意されますが、ミドルサイズのISでも登録台数は1か月平均で350台前後です。クラウンの14%前後にとどまります。
日産スカイラインは、かつて高い人気を誇り、1973年には「ケンメリ」の愛称で親しまれた4代目の1か月平均登録台数は1万3133台に達しました。2017年の日産ノートを上まわり、小型/普通車で販売1位のプリウスに迫る販売実績です。またノートは2018年上半期で、48年ぶりに小型/普通車の販売1位になりましたが、この1か月平均(1万2230台)よりも45年前のスカイラインは多く売れていました。2017年のスカイラインは1か月平均で243台ですから、当時は今の54倍も売れていた大人気車です。
スカイラインに限らず、ホンダではアコードの売れ行きが下がり、シビックは一時的に販売を中止しました。マツダ アテンザ、スバル レガシィも低調です。このように国産上級セダンは、デザインや車両の持ち味、ボディサイズなどが日本のユーザーから離れて沈んでいきました。そこに欧州車が入り込んだのです。
しかもレクサスなど今の国産上級セダンの特徴は、メルセデス・ベンツやBMWに似ています。欧州車風の国産車に魅力はなく、誰でも本家本元の欧州セダンを選んでいるのです。
国産セダンが以前から国内市場をもっと大切にしていれば、今ごろは世界に通用する日本独自の上級セダンが育っていたかも知れません。海外に目を向けた結果、国産セダンの良さまで失われたのは残念です。
その意味ではクラウンの役割が従来以上に大切になりました。ただし2018年6月26日に発売された新型は、走行性能、安全装備、通信機能などが大幅に向上した半面、欧州車とは違う「純日本的なクラウンらしさ」は薄れました。
走行性能を向上させ、デザイン面でユーザーの若返りをねらった結果、持ち味が欧州車に近づいたのです。これではユーザーがメルセデス・ベンツなどに逃げてしまうかも知れません。若いユーザーを獲得しながら、今後のクラウンがいかに国産らしさを取り戻せるか。それは国産セダン市場全体の行方を左右する重要な商品開発になるでしょう。
「国産 VS 欧州車」のセダン競争が激しくなれば、改めてセダンが注目されて活性化する可能性があります。逆に競争すら成立しなければ、国内市場では、軽自動車/コンパクトカー/ミニバンの販売比率がさらに増えることになります。今の日本でセダンはマイナーな存在になりつつありますが、クルマの楽しさや趣味性で選ばれる傾向は依然として強く、それゆえに欧州車が伸びているのです。
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