オランダから北京へ──。飛行機なら現実的だが、それがクルマなら? あるいはそれがクラシックカーなら? とてつもない現代のアドベンチャーに参加したジャーナリストのリアルタイムリポート。すでにツアーは6月30日にスタートしているが、ネット環境が確保できないので、原稿と写真が来たときの不定期連載となる。旅はすでに11日目を迎えトルコ・ドウバヤジットに到着している。REPORT&PHOTO◎高平高輝(TAKAHIRA Koki)
本当のスタートはトルコ
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4日間で2800kmほどを走ってイスタンブールに到着。ボスポラス海峡を挟んでヨーロッパとアジアが向き合うこの都市がシルクロードの西の玄関口と言っていい。かつてコンスタンチノープルやビザンチウムと呼ばれたイスタンブールは、現在およそ1500万人の人口を抱えるトルコ最大の都市である。
EU未加入のセルビアを通り抜け、ブルガリアに入る国境ではパスポートチェックにたっぷり2時間はかかったが、それに比べればトルコに入る国境手続きは比較的スムーズ、と言っても1時間半はかかった。EU圏外の国なので、パスポートだけでなく、保険、カルネをチェックされ、トルコの高速道路用発信機付きカードなどを入手しなければならない。
ブルガリア辺りから目に付くのは猛烈に先を急ぐアウディやBMWだ。今どき珍しく傍若無人にウィンカーを点滅させ、ハイビームを浴びせて飛ばしているが、それらは皆故郷へ帰るトルコ人ドライバーだというのがオランダ人の説明。「大抵黒っぽいアウディだ」と911カブリオレ(993)で参加しているベルギー人夫婦。「クラシックカーに対する敬意がない」と憤慨していた。オランダやドイツから走りっぱなしで2日間でトルコに帰るらしい。
大都市イスタンブールの郊外は高層マンションが林立し、街中を抜ける4車線の高速道路も東京並みに大渋滞、違うのは左右からグイグイ割り込んでくる地元のドライバーたちだ。イタリアやギリシャなど南欧を思い出させるカオスである。昔はこんなの慣れっこだったはずなのに、ドライバーの砂さんはなかなか馴染めない様子だが、これはまあ大都市だけなのでホーンを浴びせられても気にしないことにする。
イスタンブールではスタート後初めてのレストデイ(2泊する)があり、参加者の大半はブルーモスクなど市内の有名観光地を回るオプションツアーに出かけたが、メカニックたちには貴重なメンテナンス日となる。
このツアーにはパーツと工具を満載した2台の240エステートのサービスカーと4人のメカニックが同行しており、トラブルに対応してくれる。実は我がアマゾンもイスタンブールからアンカラに至る途中でエンジンが何となくおかしくなり、ネヴシヒールでの次の休息日(カッパドキア観光のためここも2泊)に点検してもらったところ、3番シリンダーのタペット調整ナットが緩んでいることが判明。最初はポイントかプラグのせいで失火しているかと思ったのだが、早いうちに手当て出来てかえってラッキーだった。
おかげで他のアマゾンが長い上り坂(標高2000m超の峠をいくつも超えた)でべーパーロックに苦しんでいるのに対し、我らがアマゾンは現在すこぶる快調である。11日目を迎えた今は、トルコ東部のドウバヤジット郊外のホテルで3度目のレストデイを迎えた。ノアの箱舟が大洪水の後にたどり着いたという伝説があるアララット山の麓に位置するこの町はイラン国境にも近く、明日はいよいよその国境を越える。要するにこれまでは序の口、これからが本格的なシルクロード・アドベンチャーである。
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