■子育てが終わってもミニバンのアイポイントの高さに慣れたから
近年はSUVの人気が高いといわれます。しかしここにきてこれまで好調だったSUV人気に陰りも見えてきています。まだまだ新型SUVの発売も控えている人気カテゴリーにいったい何が起こっているのでしょうか。
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これまでの日本のSUV人気事情としては、SUVがミニバンからの乗り替えに適していたこともあります。子育てを終えると3列のシートは不要ですが、アイポイントの高いミニバンに慣れてしまうと、背が低いセダンやステーションワゴンにはなかなか戻れません。そこでアイポイントもミニバンとあまり変わらず、外観のカッコイイSUVに乗り替える人が多いわけです。
SUVはミニバンと同様に価格が少し高く、1.5リッターエンジンを搭載したコンパクトな車種でも売れ筋は230~280万円です。2リッターエンジンのミドルサイズであれば、280~330万円ですから、メーカーや販売会社が受け取る1台当たりの粗利も多いことから、各社がSUVに力を入れました。
ところが最近は、SUVの人気に陰りが見えています。例えば2016年12月に発売されたトヨタC-HRは、2017年(暦年)には1か月平均で9775台を登録して大ヒットしました。ところが2018年の月別登録台数は、対前年比が34~60%と低迷が続いています。
トヨタC-HRが登場するまでは、SUVの国内販売トップを走っていたホンダヴェゼルも、今では発売から4年以上を経過して売れ行きが下がりました。日産エクストレイル、マツダCX-5なども販売は落ちておりSUV全般的に低調です。
そこでSUVの販売動向について、トヨタ系の販売店でSUV販売の現状について聞いてみました。
「SUVの売れ方は、以前のスポーツカーに似ています。人気を高められる車種は、発売されて1年程度は好調に売れます。しかしそれ以降は販売台数を下げてしまう。いわば打ち上げ花火的な売れ方です。これに比べてミニバンやコンパクトカーのような実用指向の強い車種は、新型車が登場して販売が急増することはありませんが、息の長い人気を保ちます」といいます。
これから発売が予定されている、トヨタ新型「RAV4」やホンダ新型「CR-V」が発売されると、売れ行きが再び急増するのでしょうか。
「売れて欲しいですが、SUVは外観のデザインなど、お客様の好みに合うか否かで販売状況が大きく変わります。新型『RAV4』に関しては情報が早い段階で出たことで、一定数は新型の発売を待つなど買い控えもあると思います。また以前はSUVのカテゴリーを新しく感じ、『SUVに一度は乗ってみたい』と考えるお客様も多かったのですが、最近はひと通り行き渡った感じがあります」と、SUVの目新しさはひと段落したということでした。
■ミニバンなどは新型登場時よりも売れ行き伸ばす
その一方でトヨタ「ルーミー&タンク」、日産「セレナ」の月別登録台数を見ると、新型車だった昨年以上に売れ行きを伸ばしています。
つまりSUVの人気は一種のブームで、最終的には空間効率の優れたミニバンや背の高いコンパクトカーが販売上位に入るようです。軽自動車も一時的に販売比率を下げましたが、最近は再び国内販売全体の37%前後を占めます。ミニバンと背の高いコンパクトカー、そして軽自動車は、普遍的に好調な売れ行きを保つカテゴリーといえるのです。
好調に売れるカテゴリーは、前述で記した通り、一定以上の室内空間を備えることが売れる条件になるのですが、趣味性の強いカテゴリーとしては、依然としてSUVが有望です。今後、ユーザーの好みに合うSUVが出せるか、開発メーカーの手腕が問われます。
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