■セダンも、ワゴンも、ハイヤーはほとんど「黒」
官公庁や企業の要人を運ぶハイヤーなどの運転手付きのクルマには、そのほとんどが重厚感たっぷりの「黒塗り」ともいわれる黒いクルマです。黒は汚れが目立つといわれますが、なぜ選ばれるのでしょうか。
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運転手付きのクルマといえば、輸入車ではメルセデス・ベンツやBMW、国産車ではトヨタ「センチュリー」や「クラウン」、レクサス「LS」などが思い浮かぶかもしれません。東京でトヨタ車のハイヤーやタクシー車両を取り扱う東京トヨペット(東京都港区)はこれに加え、「アルファード」や「ハイエースワゴン」などの車種も多いといいます。
東京トヨペットでは、そうしたワゴンタイプの車種も含め、ハイヤーにおいては「100%黒が選ばれる」といいます。東京都ハイヤー・タクシー協会もまた、「ほとんどは黒、次点が濃紺です。専属契約を結ぶお客様によってはグレーなどが選ばれる場合もありますが、黒以外を好まれないお客様もいらっしゃいます」とのこと。
現場レベルではどうでしょうか。ハイヤー大手の日本交通も、「当社では全車黒色で用意しています。ほかの色を希望される方がいらっしゃらない一方で、黒色をご指定されたり、黒であるかを確認されるお客様は多くいらっしゃいます」と話します。
一方で、黒は車体の汚れが目立つ色といわれています。なぜ黒がこれほど選ばれるのでしょうか。
■「汚れが目立つ」はそもそも気にもしない
東京トヨペットは黒が選ばれる理由として、「紺や他の色と比べて、格式が高いイメージがあり、どんなシチュエーションにも合うためでしょう」といいます。
日本交通も、なぜ黒色が望まれるのか詳しくはわからないとしつつも、「冠婚葬祭やフォーマルな場面でも使いやすい色なのではないかと考えられます。ハイヤーは格式が求められる場面で使われることが多いので、ハイヤーに高級感やステータスを求めるお客様もいらっしゃるのではないでしょうか」とのことです。
汚れが目立ちやすいことについて東京トヨペットは、「運転手付きのクルマは、その大半が毎日洗車することから、黒が汚れやすくても気にされないことが多いです」といいます。東京ハイヤー・タクシー協会によると、「ハイヤーの場合は、毎日の洗車・清掃によってピカピカであることが『当たり前』」だそうです。
日本交通では、「ハイヤーもタクシーも毎日洗車してきれいな状態を保つように取り組んでいますが、ハイヤー車両の場合、日々の水洗い、ワックスがけを遂行しており、洗車機の使用や乾拭きは、車体に傷がつくため行っておりません」とのこと。ハイヤー車両の場合、日本交通では4か月に1度、清掃状態をチェックする「愛車デー」を実施し、車両の内外はもちろんエンジンルーム内まで全職員で確認し、きれいな状態を保つよう取り組んでいるといいます。
ハイヤーの場合、さまざまな場面に合う色として黒が選択され、車両の美観を保つことまでがサービスの一環なのかもしれません。
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