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燃料電池トラックの水素使用量は乗用車の30倍、インフラ整備に追い風となるか

掲載 更新

有害な排ガスを出さないゼロエミッション車の主役は100%電気自動車というトレンドだが、日本では官民で水素社会を目指している。

その是非はともかく、電気という二次エネルギーが貯めておきづらいという特性を持っている限り、そのストレージ方法として「水分解により水素を生み出し、必要なときに電気に戻す」という考え方には一理ある。

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そして水素社会といえば燃料電池(FC)であり、現時点の主役は自動車になっている。すでにトヨタとホンダから燃料電池車が量産されており未来の技術ではない(トヨタの燃料電池車の名前はMIRAIとなっているが)。

FCを使ったクルマが量産され、水素を充填するステーションも用意されているが、その普及に弾みがつかないように感じるのは、インフラ整備が進んでいないからだろう。

しかし、いまのユーザー数では水素ステーションを採算事業とすることは難しく、補助金頼みである限り、ステーション数を増やすことも難しい。水素ステーションを採算のとれる事業とすることは水素社会の実現に向けて重要になってくる。

その意味で、注目したいプロジェクトが始まった。コンビニエンスストア最大手のセブン-イレブン・ジャパンとトヨタ自動車は2017年8月に店舗および物流における省エネルギー・CO2排出削減に向けた検討に関する基本合意書を締結しているが、その具体策としてFC冷蔵・冷凍トラックによる配送業務を都内の2エリア(羽田空港周辺、お台場・有明周辺)にて開始するというのだ。

そのためにトヨタは、冷蔵・冷凍機能を持つFCトラック2台をハンドメイドしたという。こうしたプロジェクトの性格として実証事業という面があり、それ単体での採算性は度外視するものだが、それにしても専用のFCトラックを手作りするというのは驚きだ。

そこには、水素社会の実現に向けた深謀遠慮がある。FCトラックの水素貯蔵量は、乗用車MIRAIに比べて1.5倍以上となる7kg。しかも、それだけの水素を一日で消費する。MIRAIの航続可能距離が満タンで650km(JC08モード)ということは、平均的な乗用車の走行距離からして年間で15~20回の充填でカバーできる。

しかし、配送に使われるFCトラックは毎日充電、しかも水素使用量も多い。控えめに計算しても一台ごとの比較として30倍以上も水素を使うことになる。つまりセブン-イレブンで採用するFCトラックはMIRAIが30台普及したのと同じだけのインパクトがあり、水素インフラの利用回数も増える。

もし、このプロジェクトが上手く進み、FCトラックが量産され、日本中の2万店舗を超えるセブン-イレブンで配送業務につくようになれば、水素インフラを整備するインセンティブになる可能性さえ感じられる。

さらに業界大手のセブン-イレブンが排ガスを出さないFCトラックにより配送しているということが市場イメージを高める結果になれば、同業他社も追従するであろうし、また宅配などの運送業者にもそのトレンドは拡大するだろう。

そもそも充填速度が速いという燃料電池車のメリットは業務使用こそ生きてくる。日本の水素インフラ整備はFCトラックの普及にかかっている。

(文:山本晋也)

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