現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > ジムニーやハイエースを戦車化? 公道も走れる究極の4WDシステム「クローラー」とは

ここから本文です

ジムニーやハイエースを戦車化? 公道も走れる究極の4WDシステム「クローラー」とは

掲載 更新
ジムニーやハイエースを戦車化? 公道も走れる究極の4WDシステム「クローラー」とは

■さすがの四駆車でも深雪や砂、泥には敵わない…

 高い悪路走破性を発揮する「四輪駆動(4WD)」システム。熟練した運転技術や車両各部の対策があれば、にわかには信じられないような地形を走ることができます。そんな4WDをさらにパワーアップできるのが、「クローラー」です。いったいどんなシステムなのでしょうか?

ランクル、サーフ時代のRVブーム再来? 今年はSUV当たり年、RAV4、ジムニーなど続々登場

 4つのタイヤをエンジンの力で回転させることで、優れた悪路走破性を発揮するのが、四輪駆動というシステムです。前から引っ張る力と後ろから押すという両方の力が働くために、二輪駆動車では走行できないようなシーンでも走ることができます。

 ですが、四輪駆動車が無敵というわけではありません。自動車が前に進むのは、エンジンの力(駆動力)に加えて、タイヤと路面の摩擦によって生まれる滑らない力(トラクション)があってこそ。深雪や砂、泥は力を加えると動いてしまうため、この摩擦力をうまく得ることができません。そのため四輪駆動でもタイヤが空転し、「スタック」というまったく走れない状況に陥ってしまうのです。

 砂漠や泥のステージを長距離走るラリーレイドというモータースポーツでは、出場マシンはスタックボードやサンドラダーと呼ばれる脱出アイテムを装備しています。四輪駆動車は最低で3輪がトラクションを発揮できれば前進できるため、空転したタイヤの下にこれらの”板”を敷き、人為的にトラクションを得るわけです。

■トラクターや戦車で実用化された「無限軌道」を自家用車に?

 これと同じ考え方のシステムがあります。「無限軌道」です。トラックベルトや履帯(りたい)などとも言われる無限軌道は、実は18世紀ごろから考案されている非常に古いシステムです。トラクションの得られない道を走るなら、自分たちで条件のいい道を造ってしまおうというわけです。無限軌道はトラクターで実用化され、20世紀に入ると一気に進化しました。

 昨今では戦車やブルドーザーなどの重機に多用されていますが(一般的な無限軌道車は2WD)、実は普通の自動車にも使える無限軌道があるのをご存じですか? 「クローラー」と呼ばれる簡易型の無限軌道です。

 四輪駆動のSUVやワンボックス車などのタイヤの代わりに、おむすび形の無限軌道システムを装着することで、驚異的な悪路走破性を発揮するシステムです。クローラー車のメリットは、本格的な雪上車に比べると価格がリーズナブルな上に、夏は普通の車として道を走ることができることです。

 日本においては90年代に特に注目され、いすゞの「ミュー・ウイザード」を皮切りに、三菱「パジェロ」やトヨタ「ランドクルーザープラド」と「ハイラックスサーフ」のクローラー車が自動車メーカーから発売されました。しかし販売台数が少なかったためか、現在では自動車メーカーは撤退し、全国で1社のみがクローラーシステムの製造・販売を行っています。

 それが20年以上もクローラー車の販売を行っている、長野県のノースウエスト特殊車両です。平野司社長に、クローラー車について聞いてみました。

■クローラー車を買う人はどんな人? メンテナンスは?

 同社は「ハイパーデルタ」という自社開発のシステムを販売しており、これが328万円から。これに取り付け工賃が50万円ほどかかり、車種によってはリフトアップ、フェンダーカットなどの改造工賃が約30万円かかるということです。車両代を含めればそこそこ高額になりますが、やはり四季を通じて使える汎用性や、重機の価格を考えて購入するケースが多いようです。

 どれくらい売れるのですか? という問いには「年間10台くらいですね」。主に、スキー場や山間部の温泉宿、電気・通信の保守会社などが購入するそうですが、「冬の狩猟に猟場を走り回るために、ハンターの人が買うことも多いですね」とのことです。  ちなみにこのクローラー車、公道を走ることはできるのでしょうか。

「乗用車登録ができる車種であれば、公道を走ることが可能です。商用車は耐軸荷重の制限があり、『ハイエース・バン』などは前輪の耐軸荷重の計算でNGになってしまいます」と、一部商用車両でNGもあるようですが、ほとんどのSUVやワンボックスワゴンは公道もOKとのことです。

 気になるのは、購入後のメンテナンス。ゴムの履帯は使用状況によって耐用が変わりますが、目安として5000?から1万kmで交換。1年に一度、内部メカのグリースアップが必要な他、消耗部品の交換などを行う点検整備を推奨しているそうです。ユーザーの平均的なクローラーでの年間走行距離は、約1000?ということなので、履帯は4~5年はもちそうです。

 深雪をはじめ、砂や泥で抜群の走破力を発揮するクローラー車。他人とは違うRVを…と考えている人には、ぜひオススメです。

こんな記事も読まれています

「背の低いマツダ」ついに出た! 新「マツダ6」じゃないよ「EZ-6」中国で発表 “電動専用車”に
「背の低いマツダ」ついに出た! 新「マツダ6」じゃないよ「EZ-6」中国で発表 “電動専用車”に
乗りものニュース
マツダが新型「ロータリースポーツ」登場へ!? 美しすぎる「和製スポーツカー」のスペックは?価格は? 期待高まる「アイコニックSP」どうなるのか
マツダが新型「ロータリースポーツ」登場へ!? 美しすぎる「和製スポーツカー」のスペックは?価格は? 期待高まる「アイコニックSP」どうなるのか
くるまのニュース
SHOEI「GT-Air 3 SCENARIO」 “REALM”に続くグラフィックモデル登場
SHOEI「GT-Air 3 SCENARIO」 “REALM”に続くグラフィックモデル登場
バイクのニュース
フィアット500/500C、新グレード「ドルチェヴィータ」追加、ブルーカラーの限定車も発売
フィアット500/500C、新グレード「ドルチェヴィータ」追加、ブルーカラーの限定車も発売
レスポンス
ミツビシが新SUV時代を迎えるSCBに電撃復帰。ランサー以来の『エクリプスクロス』でトヨタ、シボレーに挑む
ミツビシが新SUV時代を迎えるSCBに電撃復帰。ランサー以来の『エクリプスクロス』でトヨタ、シボレーに挑む
AUTOSPORT web
ベントレーが家具の新コレクション発表「ミラノデザインウィーク2024」に出展して存在感をアピール
ベントレーが家具の新コレクション発表「ミラノデザインウィーク2024」に出展して存在感をアピール
Auto Messe Web
新ブランド「N」のバッジは半端じゃない! ヒョンデが持ち込んだ「IONIQ5 N」はサーキットも全開で走れる異次元のEVだった【動画】
新ブランド「N」のバッジは半端じゃない! ヒョンデが持ち込んだ「IONIQ5 N」はサーキットも全開で走れる異次元のEVだった【動画】
WEB CARTOP
【特集:最新SUV「絶対試乗!」主義(2)】「SV」を冠するレンジローバースポーツには、たぶん敵わない
【特集:最新SUV「絶対試乗!」主義(2)】「SV」を冠するレンジローバースポーツには、たぶん敵わない
Webモーターマガジン
三菱自、ルノー・キャプチャーベースの欧州向けSUV「ASX」を大幅改良
三菱自、ルノー・キャプチャーベースの欧州向けSUV「ASX」を大幅改良
日刊自動車新聞
MotoGPスペインFP1|母国戦のマルケス兄弟がワンツー体制でスタート! 弟アレックスが好調トップタイム
MotoGPスペインFP1|母国戦のマルケス兄弟がワンツー体制でスタート! 弟アレックスが好調トップタイム
motorsport.com 日本版
いすゞとUDトラックスが「ジャパントラックショー2024」に共同ブースを出展! いすゞグループの商品やソリューションを展示
いすゞとUDトラックスが「ジャパントラックショー2024」に共同ブースを出展! いすゞグループの商品やソリューションを展示
くるまのニュース
ホンダ・ヴェゼルがマイナーチェンジ。内外装を見直し、アウトドアテイストの新グレードを追加
ホンダ・ヴェゼルがマイナーチェンジ。内外装を見直し、アウトドアテイストの新グレードを追加
AUTOSPORT web
カワサキ、SBKワークス活動は終了「レース成功への情熱は今も変わらない。両メーカーのファンに活気を与えられると願う」と伊藤浩社長
カワサキ、SBKワークス活動は終了「レース成功への情熱は今も変わらない。両メーカーのファンに活気を与えられると願う」と伊藤浩社長
AUTOSPORT web
VW『ポロGTI』25周年、記念の限定車を日本で227台販売
VW『ポロGTI』25周年、記念の限定車を日本で227台販売
レスポンス
映画で見る「パトカーの体当たり」はガチで行われていた! 日本とは全然違うアメリカ警察の装備や行動
映画で見る「パトカーの体当たり」はガチで行われていた! 日本とは全然違うアメリカ警察の装備や行動
WEB CARTOP
人気女性D1ドライバー下田紗弥加プロデュース!! カーシャンプー「ドリシャン・サヤカエディション」がジャバから発売
人気女性D1ドライバー下田紗弥加プロデュース!! カーシャンプー「ドリシャン・サヤカエディション」がジャバから発売
carview!
【北京モーターショー2024】マツダの中国専用EV、PHEV 「EZ-6」と電動コンセプトカー「創ARATA」を初公開
【北京モーターショー2024】マツダの中国専用EV、PHEV 「EZ-6」と電動コンセプトカー「創ARATA」を初公開
Auto Prove
スーパーカーはもちろん実用車でも才気煥発! 鬼才ガンディーニがデザインした4台の傑作
スーパーカーはもちろん実用車でも才気煥発! 鬼才ガンディーニがデザインした4台の傑作
WEB CARTOP

みんなのコメント

この記事にはまだコメントがありません。
この記事に対するあなたの意見や感想を投稿しませんか?

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

165.4200.2万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

11.8398.0万円

中古車を検索
ジムニーの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

165.4200.2万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

11.8398.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村