どんなに人気があって売れているクルマでも、必ず「ここがイマイチなんだよね……」という部分があるもの。万人が喜ぶ完璧なモノなどあり得ないのだから当然の話。
その「弱点」を超える「長所」があるからこそそのクルマは売れているわけだが、どうせ買うなら「弱点」を知っておいたほうが後悔は少ないというものだ。
そこで役に立つのがこの企画。今、売れている日本車と輸入車の「弱点」=「裏のカオ」をお伝えし、意外とそういう面もあるということを押さえておこうという趣旨。人気車って、売れゆきの勢いに押され、なかなか「弱点」が表に出てこないものだから、参考にしてもらえるとありがたい。
国産人気モデル12車の「弱点」を露わにするのは国沢光宏氏と渡辺陽一郎氏。輸入車は鈴木直也氏にお願いした。
※本記事は2017年2月時点のものです。
文:国沢光宏・渡辺陽一郎・鈴木直也
写真:ベストカー編集部
初出:ベストカー2017年2月26日号
■トヨタ C-HR
(国沢光宏)
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昨年(2017年)12月に発売したばかりだが、事前受注は2万9000台と好調。直4、1.2Lターボと1.8Lハイブリッドのラインアップ
すでに試乗したり見積もりを取った私の知り合いに聞くと、皆さん口を揃えて「思っていたより高いので考えました」。軽く350万円くらいになってしまうそうな。プリウスやCX-3などと比べたら高くないのだけれど、なぜか割高に感じるらしい。個人的には1.2Lターボの存在感が薄いと思っている。ハイブリッド以外のモデルを作るのなら、ハイパワーエンジン搭載のスポーティモデルなどあってよかった。
お薦め指数…85%
お薦めグレード…ハイブリッドG(290万5200円)
■トヨタ プリウス
(渡辺陽一郎)
’16年12月の販売台数1万920台。’16年は暦年でも1位という不動の人気車。TNGAシャシーで操安性が大幅に向上したと評判
サイドウィンドウの下端を後ろに極端に持ち上げたから、斜め後方と真後ろの視界が劣悪。15インチタイヤ車の最小回転半径は5.1mだが、17インチは5.4mで大回りになる。A以上のグレードはフロントコンソールトレイが乳白色で洗面台を連想させ、内装色が黒の場合はコントラストが強すぎる。後席は腰が落ち込む座り方で頭上空間も狭くて窮屈だ。カーブではよく曲がるが、後輪の接地性が相対的に低くC-HRよりもバランスが悪い。
お薦め指数…83%
お薦めグレード…1800S(247万9091円)
■トヨタ シエンタ
(渡辺陽一郎)
’16年12月の販売台数9640台。コンパクトなボディで3列シートを実現。エンジンは1.5Lのガソリンとハイブリッドだ
サイドウィンドウの下端が高めで、しかも後ろに向けて持ち上げた。後端のピラーも太く、斜め後方の視界が悪い。先代型は視界がよかったから落差が激しい。メーターをインパネの高い位置に装着したから前方が見にくく圧迫感を伴う。3列目シートを畳む時は2列目も動かす必要があって面倒だ。3列目は膝先空間が狭く、座面の奥ゆきは1列目よりも70mm短い。座り心地が不満。ノーマルエンジンの16インチタイヤ車は乗り心地が硬い。
お薦め指数…80%
お薦めグレード…1500X 7人乗り(181万6363円)
■トヨタ アルファード/ヴェルファイア
(国沢光宏)
’16年12月の販売台数7520台。直4、2.5Lのガソリンとハイブリッド、V6、3.5Lのガソリンと選択肢も豊富
アルヴェルの短所を探すのだけれど、困ったことに「なし!」。強いて言えば乗り心地の悪さか。とはいえ気になる人ならネオチューンするだけで簡単かつ大きな出費なく解決できる。私も孫ができた時に購入を考えたほど。なぜ買わなかったのか? こらもうアルヴェルにゃまったく責任ないのだけれど、私の趣味と違う方向だったりして。アルファードよりヴェルファイアのほうが売れているあたりを見てもわかっていただけるかと。
お薦め指数…90%
お薦めグレード…2.5G/2.5Z 8人乗り(395万3782円)
■日産 ノート e-POWER
(渡辺陽一郎)
’16年12月の販売台数1万2403台。発売直後から月販1位の快進撃。ワンペダルドライブが新鮮なシリーズハイブリッドだ
駆動用電池を前席の下に設置したので、後席に座る乗員のツマ先が前席の下に収まりにくく窮屈。e-POWERの車両重量はノーマルエンジン車よりも170kg重く(X同士の比較)、峠道では旋回軌跡を拡大させて曲がりにくい。HVはブレーキの協調制御を行わず、Dレンジのノーマルモードで走ると回生による充電効率が下がる。e-POWER・Sの燃費数値は優れるが、緊急自動ブレーキやエアコンを省き、公表された販売比率は0%だ。
お薦め指数…75%
お薦めグレード…1200X(195万9120円)
■日産 セレナ
(渡辺陽一郎)
’16年12月の販売台数は5976台。高速道路の自動運転装置、プロパイロットが人気だが、エンジンなどは旧型から継続している
プラットフォームは先代型と共通で床が高い。低床設計のステップワゴンやヴォクシーと床面地上高を比べると、セレナは約70mm高く、乗降性がよくない。重心も高まり、後輪の接地性を確保するために、操舵に対する反応が鈍い。3列目のシートは剛性が低く、固定された状態でも座面がグラグラと微妙に動く。プロパイロットの操舵支援は、白線を検知するために直進時でもハンドルが小刻みに左右に動き、しかも作動が頻繁に途切れる。
お薦め指数…81%
お薦めグレード…2000X(248万9400円)
■ホンダ フリード&フリードプラス
(国沢光宏)
フリード、フリード+を足した’16年12月の販売台数は8838台と好調。全販売台数の6割以上が1.5Lハイブリッドだ
ホンダといえばエアバッグを真っ先に採用するなど安全性を重視してきた。なのにフリードどうよ! アクセルレスポンスが不満なハイブリッドじゃなく普通のエンジンを選ぶとしよう(動力性能も1.5L優勢)。安全を考えサイド&カーテンエアバッグ付けようとしたら、あまり魅力的だと思えないコンビシートとセットになり23万2200円も高くなってしまう。全グレード標準装備しているスバルを見習うべき。
お薦め指数…70%
お薦めグレード…ハイブリッドGホンダセンシング 7人乗り(251万7600円)
■ホンダ ヴェゼル
(渡辺陽一郎)
’16年12月の販売台数は4883台で約7割がハイブリッド。C-HRの登場で熾烈な販売争いが繰り広げられそうなコンパクトSUV
4WDの最低地上高は170mmにとどまり、悪路のデコボコを越える時に不安が伴う。4WDの機能も悪路向けではない。乗り心地は発売当初の粗さを抑えたが、市街地では今でも少し硬い。HVの動力性能は高いが、4WDのJC08モードは売れ筋グレードだと23.2km/L。自然吸気エンジンと比べて燃費向上率が22%と低い。コンパクトSUVでも全幅は1770mmと広く後方視界もよくない。後席のドアノブは高い位置に装着されて使いにくい。
お薦め指数…70%
お薦めグレード…4WD 1500X ホンダセンシング(233万6000円)
■スバル インプレッサ
(国沢光宏)
’16年12月の販売台数3492台(新型のみ)で、約8割がHBのスポーツ。先日1.6Lが加わり、さらに販売を伸ばしそうだ
スバル車なら当たり前のように存在してきた「ハイパワーエンジン搭載車」がない。こう書くと「先代インプレッサからWRXと普通のモデルを分けたからしかたない」というスバルファンも多いかもしれません。されど今や普通のインプレッサと、NAエンジンに換算すれば4L程度のトルク出すWRXの「隙間」が大きくなり過ぎてしまった。3L級のスポーティモデルがひとつあれば、インプレッサも華やかになると思う。
お薦め指数…95%
お薦めグレード…2.0i-L アイサイト AWD(237万6000円:スポーツ)
■マツダ デミオ
(国沢光宏)
’16年12月の販売台数3684台。10月にマイチェンし、販売が回復。上級志向のダウンサイザーに人気のコンパクトカーだ
マツダ車に共通するのだけれど、明るさを感じないのだった。「優秀なれど暗い」と表現したほうが正しいかも。人間だって暗けりゃ人気出ないワな。デミオも燃費のよさなどクルマとしてのマイナス点をカバーしようと頑張っているものの、プラス点(楽しさですね)作りは熱心じゃない。オートサロンに出したって皆さん興味示さない、ということでありますね。プラス点をキッチリ打ち出してきたら、きっと明るさが出てくると思う。
お薦め指数…60%
お薦めグレード…XD(178万2000円)
■マツダ ロードスター
(国沢光宏)
’16年12月の販売台数771台で純スポーツカーとしては大健闘中。2Lエンジンを搭載するRFも加わり、さらなる拡販を狙う
一番の弱点は「華がない」ことだと思う。スポーツカーの楽しさって、やはり「最低必要なパワー」から出てくるブブンが大きい。だからこそアメリカ仕様は2Lエンジンを搭載しているのだった。日本仕様はなぜか開発者の好みを押しつけるように1.5Lしか用意されない。安っぽい国産ダンパー使うハンドリングもイマイチ。もう少し煮詰めればワンメイクレース仕様車のように超楽しいクルマになるのに! 惜しい!
お薦め指数…65%
お薦めグレード…NR-A(264万円)
■ダイハツ ムーヴキャンバス
(渡辺陽一郎)
’16年12月の販売台数6889台で軽3位。楽しさあふれるデザイン、カラーリングで軽の自由さをアピール。エンジンはNAのみ
後席は床と座面の間隔が不足して、足を前方に投げ出す座り方になる。座面の柔軟性も足りず、座り心地がよくない。後席の下に引き出し式の収納設備を装着したので、背もたれを前に倒しても座面が下降せず、広げた荷室の床に傾斜ができる。その収納設備は容量が小さい。リアゲートが少し傾斜するので大きな荷物を積みにくい。車両重量が920kgに達するから登坂路では力不足。使用環境に応じてターボ車を選びたいが設定がない。
お薦め指数…75%
お薦めグレード…660XリミテッドSAII(142万5600円)
【番外編コラム:ヒット車の裏のカオ・輸入車の場合】
ヒット車の裏のカオ、輸入車の場合はどうかを鈴木直也氏に伺った。’16年の年間販売台数上位5車を対象に、その「弱点」を探します!
年間販売台数上位5車は、さすがに「弱点」が見当たりにくいクルマが揃っている。
BMWミニはバリエーションが豊富でなかには500万円近くするモデルもあり、それはさすがに「このクラスでその値段は高すぎるんじゃない?」と思う。しかし、そのあたりはわかって買っている人ばかりのはずだから、ここでは価格に関しては取り上げない。
唯一気を付けたいのはミニクロスオーバーがまもなく3世代目にモデルチェンジするということ。本国ではすでに発表されており、日本でも3~4月頃には発売となりそう。「弱点」というわけではないが、今、あえてモデル末期を買う必要もないだろう。
VWゴルフもスキのないクルマだが、ディーゼル不正問題から日本でも販売が減少。そのため車種、グレードによっては大幅値引きが発生しており、これ自体は「弱点」ではなく「長所」となるものの、そのぶんリセールバリューにも影響が出ることは覚えておいたほうがいい。数年後に売る時、意外と安いと感じてしまうかもしれない。
また、ベーシックグレードのTSIトレンドラインとコンフォートラインはリアサスがトーションビームになっていることも覚えておこう。それで操安性に不満が出るわけではないが、上級グレードのマルチリンクと差が生じるのは当然のこと。これも知っておくべき情報だと思う。
ベンツCクラス、BMW3シリーズは盤石の体制だ。個人的に、最近のベンツはCクラスもEクラスも下位グレードと上位グレードの乖離が大きくなってきている印象を受けているのだが、あくまでも感覚的なもの。下位グレードでも、試乗して満足できるなら迷うことはない。
BMW3シリーズは最も安い(それでも400万円以上)318iが3気筒、1.5Lターボ。4気筒以上のエンジンとの差はさすがに大きく、ビーエムらしさを味わうには少々物足りない。
3~4月頃日本に導入されそうな3代目ミニクロスオーバー。ガソリン&ディーゼルターボに加え、ミニ史上初のプラグインハイブリッドも設定
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