ヨーロッパでは長いことハッチバックが多くのクルマに設定されてきました。そんな中BMWでは、小さなコンパクトカーは少数ラインナップしてきたことはありましたが、セダンとクーペがメインで派生した「ツーリング」と呼ばれるワゴンとの間にハッチバックを設けたことは長いことしてきませんでした。
ところが最近では、3シリーズと5シリーズに「GT」、クーペの4シリーズの「グランクーペ」という5ドアハッチバックモデルをラインナップに加えています。従来のセダンでもなくワゴンでもない。しかもユーティリティに振ったクルマでもない、ニッチな新しいピープルムーバーという立ち位置と言えるでしょう。デザイン的にはやや重め。スタイリッシュネスの観点では人によっては今ひとつな部分もあるクルマですが、その数字で示されるクラスを超えた大きな価値を秘めているクルマと言えるのです。ドイツからBMW530dのGT、日本には正規輸入されていない5シリーズ グランツーリスモのディーゼルモデルのレポートが届きました。
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最新のテクノロジーが搭載されたディーゼルエンジン
広大なトランク、ワゴンをも凌駕するルーミーな室内、そしてそうしたユーティリティを言い訳にしない乗り心地を実現しながら、最新のテクノロジーを盛り込んだディーゼルエンジンで力強く走るブルーパフォーマンスモデルです。最近一部の派生モデルでミニバンをリリースし始めてきましたが、長いことミニバンから遠ざかってきたBMW。しかし、人数という条件さえ譲れば、そういうクルマにも負けない懐の深さのあるモデル、ということもできるのです。6気筒のディーゼルエンジンは、聞くと乗るとは大違いの性能を持っています。最大トルクの発生回転数やそのスペックは少し前のガソリンV8モデルを軽々と凌駕するほど。そして鼻先はV8よりも軽く、低燃費。
たぶんクルマとしても、実はある程度の大きさのものを求める層には「理想的なスペック」を持ち合わせたクルマなのではないでしょうか。ガソリンモデルのみが日本に導入されていて、価格も比較的高価なこともあって、販売されている台数は比較的少ない状況にとどまっている5シリーズグランツーリスモ。実はキャラクター的にはディーゼルの方がより本質に近いのではなどと見ていて思ってしまいます。
ディーゼルを見直す気運を盛り上げているメーカー
マツダと並び、日本でのディーゼルを見直す気運を盛り上げているメーカーと言っていいBMWですが、もっと多くのディーゼルエンジンモデルが日本で選べればいいのにと思ったりもするのは、こういうクルマを見たときであります。今後のラインナップ展開に期待しないではいられませんね。もっとも並行輸入などで持ち込むという方法もない訳ではありませんが。
[ライター/CL編集部・中込健太郎 カメラ/ドイツ駐在員]
※当記事は過去公開した記事の再編集版です
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